#あたシモ

虹の向こう側

血みどろの「トランプ生首アート」は何が間違っていたのか

Kathy Griffin's Celebrity Run-Ins: My A-Z Index

ゲイに人気のコメディアン、キャシー・グリフィンが、ドナルド・トランプの「首切り」を模した写真撮影をしたことで、多くの仕事を失っています。

キャシー・グリフィンは、アメリカで有名で、エミー賞やグラミー賞も取っている、成功したコメディアンです。ちょっと口が悪いけれどどこか親しみが持てるようなキャラで、ゲイ・コミュニティでは特に人気です。リベラルな考え方でも知られ、Prop8の抗議の時は、ウェスト・ハリウッドでの抗議集会にも足を運び、同性婚を支持する演説をしていました。

そんなキャシー・グリフィンが写真家のタイラー・シールズと組んで行った写真撮影は、彼女が血の滴るドナルド・トランプの生首を掲げるというものでした。この、処刑や暴力を想像させる写真は大きな論議、主には批判を巻き起こしました。キャシー・グリフィンは、、大晦日のカウントダウン中継番組(日本の紅白的な番組)などにも何年も起用されていました。しかし、CNNは、写真が明らかになった翌日、大晦日番組にはキャシー・グリフィンをキャストしないと発表しました。また他にも多くのコメディーショーがキャンセルされてました。キャシー・グリフィンの評判と、コメディアンとしてのキャリアはかなりダメージを受けてしまったと思います。

このようなアメリカの世論はなかなか興味深いものがあります。ハリウッドやエンタメ業界では、政権の座についてから、事前予想を遥かに上回る酷さで毎日のようにニュースを賑わせているドナルド・トランプを批判することが、ほぼデフォルトのノリとなっているような印象すら受けますし、多くのセレブリティが政治的な発言を行っています。そんななかには、かなりエゲツない表現も見かけるのですが、この血のしたたる「首切り」写真は、暴力的でやり過ぎだと見なされるということなのですね。わたしは、彼らが「間違った」のはグラフィックの作り方だけではなく、世論の受け取り方を見誤った点にもあると思います。アメリカではこのような表現に嫌悪を覚える人が、彼らの予想より多かったのです。

もっともジム・キャリーなどは「やりすぎるのがお笑いの仕事。お笑いは、ドナルド・トランプに対抗するための最後の砦」としてキャシー・グリフィンの写真を擁護しています。

しかし、キャシー・グリフィン自身は、仕事のキャンセルの多さに驚いたのか「やりすぎ」だったと認めて謝罪をしています。

また、釈明のための記者会見も予定されています。

素早く利用する共和党w

さらに、この写真は、政治問題化してもいます。キャシー・グリフィンが支持しているジョージア州の民主党候補ジョン・オッソフへの攻撃材料として、この写真がテレビコマーシャルとなりました。製作したのは、共和党系のスーパーパック「Congressional Leadership Fund」です。

リベラルの過激主義者は行き過ぎだ。窓ガラスを壊し、車を壊し、アメリカを否定する。そして今度はジョン・オッソフ候補の支持者が、アメリカの大統領の首を切るというジョークをやっている。面白くない。こういう怒れるリベラルたちは、ジョン・オッソフを支持している。オッソフの寄付金の95%はジョージア州外のリベラルから来たもの。なぜならオッソフ自身もその一員だから……というような内容ですね。実際には、ウィメンズ・マーチを始めとする反トランプ抗議活動は、かなり平和的に行われているものがほとんどでしたが、今回のようなグラフィックが出てくると、それを使ってすぐリベラル全体への印象操作が行われます。

キャシー・グリフィンのこのスキャンダルがジョージア州の選挙にどう影響するかはわかりませんが、気になります。すごくタイムリーに製作されたパロディCMだと思います。

今月は、プライドイベントに合わせた抗議活動が多く予定されていますが、「過激なリベラル」と雑にまとめられて揚げ足を取られることがないよう、気をつけて抗議のメッセージやプラカードを作ろうと思います。

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