#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

クィア家庭に生まれた子供の苦悩はどこからくるのか?レズビアン家庭に育てられた子供自身が激白!

読みました。

レズビアンの母2人に育てられた女性が「ゲイの結婚に反対」を表明 http://irorio.jp/umishimaakira/20150320/215354/

以前英語圏でも話題になっていた記事ですが、日本語でも紹介されていたのですね。

わたしは、周りが子育て中/妊活中のゲイカポーだらけなこともあり、去年この記事が出た時はかなり切実な気持ちで自分事として読みました。

ヘザー・バーウイック(Heather Barwick)さんの母親は、彼女が幼い頃に父親と離婚。その後、ヘザーさんは父親とはあまり交流なく育ちました。ヘザーさんは、自分の辛さの理由は、ゲイの家庭に育ったことというより、父親がいなかったこと(これであればシングルマザー家庭も同様)に加え、彼女の母親と女性パートナーが「男なんていらない」という考えの持ち主であり、父親がいなくて辛いことを表明できなかったからだと述べています。

確かにいわゆる「婚姻関係にある両親から生まれた子供」ではない子供が「なんでうちの親は、隣のXXちゃんの家と違うんだろう」「なぜうちにはお父さん(お母さん)がいないんだろう」と悩んでしまうことは、絶対あると思います。そしてその理由が「離婚」や「死別」「養子縁組」などでもなくて、より珍しいケースである「親がゲイだったから」だとしたら、その悩みはより深いのかもしれません。

ゲイ家庭で育った子供たちは、まだまだ少数であり、メディアやフィクションのなかにおいても、描かれることが稀だからです。

もしも、自分がゲイの両親の元で育ったら、そしてそのことで辛い思いをしたならば……両親のことが好きであればあるほど、両親が素晴らしければ素晴らしいほど、「なんでお母さんたち/お父さんたちはゲイなの?」という不満や疑問を言えなくなってしまうのかもしれない……。と。もし、それを言えば「無知」だとか、「ホモフォビア」だと言われてしまう……。それはきっとものすごく辛い経験でしょう。

でもそんな子供を救うための解決法って何なのでしょうね?

同性婚を禁止することが答えなんでしょうか?

同性愛者が子供を持つことを禁止すること?

うーん。

わたしはそういうのが「子供を守る」解決法だとは思わないんですね。

同性婚が認められていなくても、同性同士のカップルの数は減らないし、同性愛者が子供を持つことをいくら止めなくても、子供を生む同性カップルは減らないと思います。パートナーシップや親権などの法整備が間に合っていない現状においでも、既に、日本でもクィアな家庭はどんどん生まれている。その流れは止められません。

そんな現実においては「子供がかわいそう!」という人自身が子供のことをより傷つけているんじゃないかなと思います。

実際、このヘザーさんのエッセイに対しては、同じようにレズビアン家庭のもとに、匿名の精子提供*1によって生まれた女性シドニー・スウィッアー(Sidney Switzer)さんが反論しています。

Dear Heather Barwick, Don’t Blame the Gay Community http://www.huffingtonpost.com/sidney-switzer/dear-heather-barwick-dont_b_6903252.html

シドニーさんは、ヘザーさんの生い立ちと彼女の感情に理解を示しながらも、「それをゲイコミュニティのせいにするべきではない」と言います。

父親と母親が揃っていても、機能不全家族は多くあり、父親や母親が「そこにいてくれなかった」ケースは多くあります。またレズビアン家庭の全てが「男なんて人生にはいらない!」と考えてるわけではありません。「父親についての自分の気持ちについて母親に話せなかった」というのは、ヘザーさんのお母さんが「ゲイであること」のせいなのでしょうか?

実際、同じようにクィア家庭で育ったステイシーさんは「わたしの中には埋めるべき心の穴はありません」と言い「自分の家庭が機能不全だったからといって、ゲイ家族全体について語ることはやめて欲しい」と反論しています。

ヘザーさんは「子供の権利アクティビスト」として同性婚に反対する活動をしていたようです。しかし、本当に子供のためを思うのなら、同性婚に反対したり、「子供がかわいそう」という言説で、クィア家庭を否定したりすのではなくて、多様な家族のあり方を肯定したうえで『同性カップルの間に生まれた子供たち』や『クィアな親を持つ子供たち』のコミュニティを作り、彼らだけが持つ、彼らだけの悩みや孤独を受け止めていけるような仕組みを作る方が、建設的な子供へのサポートになるのではないでしょうか。

今、現状では確かに、ゲイカップルの間に生まれた子供へのサポートはまだまだ少ないのだと思います。

けれど、時代は変わっていく。

わたしたち一人ひとりが変えていくのです。


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*1:精子提供には、子供が大きくなった時、身元を明かすことに同意するものと、完全に匿名のものがあります