#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

ドキュメンタリー『ザ・パンク・シンガー』で元気もらった。

先日オリンピアに行った時、ライオット•ガールについて調べていた。わたしはライオット•ガールについては全く無知で、インディーっぽいイメージしか持っていなかった。

物知りの友達Claireが「わたしビキニ•キルとか好きだったよー!」というのでとりあえずYouTubeで聴いたりはしてみたものの、「お、おう」ッて感じだった。←付け焼き刃。

しかし、その後、ビキニ•キルの「キャスリーン・ハナ」を扱ったドキュメンタリー映画『ザ・パンク・シンガー』がポッドキャストで紹介されていたので、観てみたら、「おおおおああああ!ビキニ•キルの人ってこの人だったのか!」と。

ニルヴァーナの『スメルズ・ライク・ティーン・スピリット』の「ティーン・スピリット」って何やねんと思ったことある人多いと思うけど、この曲名のインスピレーションを与えたのがキャスリーンだったのね!(←ビキニ•キルのバンドメンバーで、ティーン•スピリットというデオドラント製品を使ってたトビーとカートが当時付き合ってた)

この逸話はウィキペディアにも載ってるし、うっすら覚えてたけど、頭のなかでつながってなかった。

あと、キャスリーンはビースティー•ボーイズのメンバーと結婚してるのもびっくりした。←彼がアウォードを受賞した時のスピーチで、フェスで多発するレイプ事件について言及するように促してたりしている。

何より、自分が一番びっくりしたのは、「ル・ティグラの人じゃん!!!」ってこと。わたしビキニキルは聴いたことなかったんだけど、ダンサブルなル・ティグラの曲はロサンゼルスのクラブとかダイクデー定番だったんだよね!もう既にかなり昔の曲だったことに驚き。

そこでいろんなことがつながって、おおお、なんというか、めちゃくちゃ有名なんじゃん!びっくりした。それなりに音楽は好きなつもりなんだけど、ぜーんぜん知らないことがいっぱいあったんだなーと。

もうさ、知ってる人にとっては全部「何今さら言ってんの!」的な話だと思うんだけどね(汗)

でも改めてドキュメンタリーで知ったキャスリーン・ハナは可愛くて、カリズマティックで、パワフル!

はじめはスポークンワードとして自らの思いを発表したキャスリーンだが「今どきスポークンワードに来る人なんていない。聴いて欲しいならバンドをやらなきゃ」とアドバイスを受け、パンクバンドビキニ•キルを結成。フェミニスト的でリアルな歌詞とパフォーマンスで一世を風靡した。カート・コバーンたちとつるんでいたのもこの頃だ。

しかし、同時にレイプや虐待経験などにフォーカスしてスキャンダラスな報道をするマスコミに嫌気がさしたキャスリーンは引退。しばらくの空白の後、ミュージシャンのジョハンナ・フェイトマンに渡されたジン(手作りの小冊子)がきっかけで彼女と再びバンドを組むことに。そうしてできたのがよりエレクトリックでダンサブルなサウンドのル・ティグラだった。ちなみにインタビューに答えているJDサムソン、可愛い。

すべてが絶好調であるかのように思えた時突如、「もう音楽でやるべきことはすべてやった」と引退を表明したキャスリーン。実は、友人にもバンドメイトにも夫にも言えなかったが、実は彼女は長らく体調不良に苦しんでいたのだ。しかし、病や他人などの外的要因から自らの行動を決められることを嫌うキャスリーンは、「これは自ら決めたこと」と言い聞かせるために、理由をつけて引退した。本当は引退などしたくなかったと回想する彼女は涙ぐんでいるように見える。これまで人々に救いを与える「ヒーロー」であったキャスリーンは、自らが他人に助けを求める方法を知らなかったのだ。

実際に何が起こっているのか知らなかったのは、バンドメンバーばかりではない。一般のファンにもずっと知られていないことだったが、キャスリーンは、これまで末期のライム病で苦しんできたことを公にした。これは、最近アブリルラビーンも闘病してきたことを告白して話題になった病気だ。ライム病はアメリカにおいて、エイズ、ウェストナイル熱、エヴィアンフルーを合わせたよりも感染者の多い病気だ。ダニに噛まれることで感染するのだが、すぐに症状が出ないため、なかなか診断されず、原因不明のまま苦しむ人も多いという。

自らの苦しみを抱え込むことで、夫やバンドメンバーなど、周りの人をも傷つけていることに気づいたキャスリーンは、徐々に心を開き、自らの痛みをわかちあうことを覚える。

Julie Ruin

Julie Ruin

そして、彼女は新しいバンドジュリー・ルーインを結成し、新たな一歩を踏み出す。←自宅でMicroKORG使ってた!デビューショーの前、これまで夫や親しい人にしか見せていなかった病気という要素を持ちながら公の場に出ることに、不安を感じている姿がリアルだったが、感動した。ずっとヒーローだったキャスリーンのが、自分の弱さを受けいれ、観客や仲間に向かって心を開いていくのがわかったからだ。

キャサリーンは、今もこのバンドジュリー・ルーインで活動し、ツアーもしている。昔と変わらない、キュートでクレイジーな声だ。

いやあ、キャスリーン・ハナは、すごいなー!小手先のセルフブランディングーとか、マーケティング的なものが必要ない、真のアーティストだね。

男の言うことはいっつも無条件に信用されがちで、同じことを女が言うと軽視されだがちだよねー。とか、いっつも男って無意識に真ん中に陣取って、女の子を隅に押しやってるよね!とか、日々溜まっていく鬱憤を晴らしてくれた。フェミニズムって難しく考えだすと、わかんなくなっちゃうけど、結構生身の感覚を素直に出すこともフェミニズムだよねーって。かなり元気でた。ジョーンジェットとか、キムゴードンとかも出てる。

この映画を作る時も、キャスリーンは「男の登場は最低限にすべき」と主張してたんだって。もちろんバンド関係の仲間の男で好きな人や尊敬している人はいるけど、男の専門家が出てきてお墨付きを与える……みたくしたくなかったと。なんかそういうところもものすごくよい。

最近わたしいろいろぼーっとしてたんだけど、なんかめちゃくちゃ力もらえた。

SEE YOU LATER!

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