#あたシモ

虹の向こう側

トランプ支持者の頭の中 :シリコンバレーのリベラルな僕が、全国の100人のトランプ支持者と会って話した結果

シリコンバレーで、ベンチャーキャピタルを運営しているサム・アルトマン(Sam Altman)が、選挙の後、トランプ支持者100人に会って話しを聞いたブログ記事がバイラルしている。

この記事がものすごーく興味深かったので、以下紹介します。

2年後の中間選挙、そして4年後の大統領選挙のために、「どうすれば、トランプ支持者の考えを変えられるのか」ということを考えているリベラルは多いと思いますが、こういう行動に出て、そしてこういうパースペクティブを示してくれる人はそうそういませんね。

「トランプに投票するお前は差別者だ!」と指差して責めるだけでは、分断は深まるばかりなんですよね……。

以下、ざっくり訳しましたので、詳しくは原文にあたってください。

  What I Heard From Trump Supporters

by Sam Altman

ぼくは、全米の100人のトランプ支持者に会って話を聞くことに決めた。ぼくは、国の真ん中に行き、州の真ん中に行った。そして多くの人とオンラインで話した。

これは、とても興味深くて、ためになる経験だった。キミにもぜひおすすめするよ!3人の例外を除いて、ぼくは、話した人皆の何かしらを好きになることができた(…といっても彼らの言うことのほとんどには全然同意できなかったんだけどね)。

あと、こんなにいろんな人々がトランプに投票したということは驚いた。本当は、投票データーを見れば、驚くほどのことではなかったんだろうけど。このプロジェクトを通じて、こんなに沢山のイスラム教徒やメキシコ人、黒人、それに女性たちと話すとは思わなかったよ。

ほとんどの人がインタビューに心よく応えてくれたものの、ほとんどの人が自分の名前は伏せたがった。ものすごく赤い州(共和党支持者が多い州)に住む人ですら「自分がトランプに投票したとバレたら、シリコンバレーの人に攻撃される」ことを心配していたんだ。秘密保持契約に署名してくれと言ってきたシリコンバレーの女性もいた。もしもトランプに投票したことがバレたら、会社にいられなくなるんじゃないかと心配していたんだ。

ぼくは、トランプ支持者が、大統領のどこを気に入り、どこを気に入っていないのか、知りたかった。彼らが何を心配しているのか。そして、左派の反応についてはどう考えているのか。そして、一番重要なことなんだけど、何をすれば将来彼らをトランプに投票しないように説得することが出来るんだろう?ということを知りたかった。

もちろん、これは世論調査じゃないし、「データ」でもない。でも一人ひとりの語りというのが大事だと思っている。

というわけで、これがぼくの聞いた話だ。

長すぎて全部は読めない!という人のために、一言で言うならこういうことになる。

「次にトランプをやっつけることはできる。君らがぼくらのことをずっとからかい続けたり、意見を聞くことを拒否したり、切り捨て続けたりしないのならね。トランプをやっつけるのは民主党ではなく、共和党だろう」

トランプのどこが好き?

「政治的に正しくないところ」※この意見は沢山聞いた。たぶん1/3くらいの人がこれを口にしたんじゃないかな?

「人気のないことについて真実をいうところ。もしも問題について語れないのなら、それを解決することはできない」

「わたしはユダヤ人のリバタリアンで、祖父母はホロコーストを経験した。過去数年間、左翼は、自分のポジションに疑問が投げかけられるたびに、討論するのではなく相手を罵ったり、人格攻撃をするばかりだったよ。この雰囲気は、とてつもなく抑圧的で、わたしを含む、オバマの政策に同意しない人々を脅かすようなものいなってしまったんだ。知的な話し合いというのは珍しいものになってしまった」

「実際にはソ連で行われていた政策論争みたいなものだよ。明らかな事実を認識することができず、規制がどこまでも広がっていくところはてもイライラしたよ。そして個人的には、もっと繊細な論争をできないことがとてもイライラした。物事は白黒はっきりしているわけではない。でも、政治的に正しい答えは『白』なのだといって、灰色について話すことはできないんだ」

「彼は妊娠中絶に反対だから」※この意見も沢山耳にした。ぼくが話した何人かの人々は、彼が何をしようが気にしないと述べ、今後もいつだって「より中絶に反対かどうか」で投票する候補者を決めるだろうと述べた。

「アメリカを第一に考えるという考え方が好きだ。アメリカの政策は、アメリカ人が得をするように決めなければいけないし、それが政府の仕事でしょう」

「反移民なところ」※この意見も多く聞かれた。一番驚いたのは、この意見が経済的理由でというよりも、「自分たちの文化が失われる」とか「安全性」とか「コミュニティ」とかそういう恐れと「奴らvs俺たち」という考えによって支持されているらしいことだった。

「彼はわたしたちの文化を守ってくれる。文化の保護は、たいてい良いことだと思うし、アメリカ文化のよいところを保護することの何がいけないんだ?」

「彼がヒラリー・クリントンじゃないところ」

「わたしはメキシコ人だけど、壁を支持するよ。あそこに残っている人がメキシコを破壊したわけで、今になって彼らは国を出たがってるけど、今度はこちらでダメージの原因になるんだ。国境警備を強化する必要があるけれど、そういう政策はなんでも『人種差別』になってしまう。トランプはそれをはっきり言った始めての人間だよ」

「僕は社会的にはとてもリベラルだけど、経済的にはとても保守的なんだ。僕は支持政党はこれまで一度も持ったことがない。もっと社会的に保守的な時代に育ち、選挙においては『2つの悪のなかでよしマシな方』に投票した。今では社会的にリベラルな人たちは大きな政府やより巨額の支援を望むけれど、それには財源が必要だ。毎週の給与明細から何が差し引かれてるのか、わかるよ。僕は金持ちにならなくてもいいけど、もっと安心したいし、それは政府の支出を増やすことで得られるものではないんだ」

「国境というのは、社会のあらゆる側面において必要だ」

「少しくらい社会正義の実現が遅れてもいいよ。外国の政策に干渉しないわけで、それによって人が死んだり。その逆というのは、生命の危険をもたらす」

「茶色い人(ラテン系人口)はいつも『余所者』なんだよ。結局は、自分がトランプを支持した理由は、それが一度でも『身内』になるための方法だったからなんだろうな」

トランプのどこが嫌い?

「彼が女性についての話し方というのは、卑劣極まりない」

「彼のセンスとかかな。でもセンスなんてどうでもよいくらいこの選挙は大切だと思ったので、彼に投票しました」

「彼についてのほとんどのことが気に食わないよ!2つの酷い選択肢の中からマシな方を選ばなきゃいけなかったということなんだ」

「この国が長い目で見て生き延びるためには、トランプ主義が必要だと思う。そして、彼に投票することの迷いや戸惑いなどもその前には叶わなかった。自分がトランプに関して感じる問題点は、彼自身だ。私は、彼が、彼のムーブメントについての正しい伝道者ではないような気がしている。でも私たちには彼しかいないのだから、彼を応援しているんだ」

「正直いって、移民関係の大統領令は、大混乱の象徴だと思う」

「今では、イスラム教徒の入国禁止は、我々にとってより危険だと思う」

「今になって孤立主義とか、保護主義というのは、頭がオカシイよね。前にもやったことあるわけだから」

「わたしだって、彼の嘘つきなところは心配です。ロシアとの関係とか、女性との関係とか。金銭的にいろいろとあやしいこととか。それらはすべて心配ですし、もしもこういう状態が続くなら、彼に対する尊敬はすべて失うでしょうね」

「彼はいつでも自分のファンを怒らせるようなキャラクターを演じるのです。反ユダヤ主義とか。白人のナショラリズムとかを受け入れたり、必要以上に憎悪を注ぎ込んだり。ソーシャルメディアやテレビや食事の場でで憎悪の真真空地帯を作り上げたりして。例え彼の政策が、最近の共和党の大統領のものと似ていたとしても、こんなに子供っぽい振る舞いは、子どもに悪影響だち、多くの文化的規範を損なうことになります。それは何より私たちの社会的基盤を脅かすことに繋がるのです」

「いつでも報道機関を疑い、信用を傷つけようとしているのは気に食わないね。これはものすごく悪いことの予感がする」

トランプが大統領であることによって何が心配ですか?

「一番心配なのは戦争です。それによって全世界が破壊されかねないこと。もしかしたらその危険を甘くみていたのかもしれませんね。投票した時に思っていたよりも、彼は、ずっと男らしくて強いアルファな男だったので。それ以外の点においては、まだまだ彼のことは好きですよ」※戦争について心配してる人はそんなに多くはなかった。もっとよくあるコメントというのはこういうものだった。

「彼が外交的に強硬な姿勢を取っているのは知っているけれど、交渉ごとにおいては、目立った変化を起こすために、やらなければいけないことはある。それに、全国民に見られているときにポーカーフェイスを保つことは難しい。でも、彼のビジネスの記録を見れば、多分このまま安定していくんじゃないかと思える」

とか

「トランプはクレージーだけど、それは外国が我々に舐めたことをしないようにするために必要な戦略だ」

「彼が私たちを国として分断するのではないかと心配している。彼がそれをやめると言った時は、その言葉を信じたけれど、今のところ、その兆候は見られない」

「本当に彼が精神的に病んでいるのではないかと心配」

「もしかして、これまで一生懸命戦ってきた社会的変化を、本当に昔に巻き戻そうとしているのではないかと心配。でもそうじゃないことを祈る」

左派の反応に対してはどう思う?

「左派の人たちは、私たちに『お前たちは悪い人間だ!』と責めることなく、もしかして自分らが間違っていたのかもしれないと認める機会をくれるべきだと思う。実は私は、既に自分が間違いを犯した気がしている。でも、自分のコミュニティから追放された気がしている」

「左派は、右派よりも不寛容だ」※このコンセプトもよく出てきたものだ。それ以外は楽しい会話のなかに、真の敵意を持ってよく現れた。

「僕達のことを『レイシスト』とか『バカ』とか呼ぶのはやめてくれ。僕達はそうではないのだから。なぜそうじゃないのか僕達が説明しようとする時に、ちゃんと耳を傾けてほしい。あ、あと、僕達をからかうのもやめてくれ」

「外国のイスラム教徒に対して見せた怒りの十分の一でいいから、ここにいる私たちの生活について、怒りを見たい。あなたは私たちの生活がどんなものか、全然知らない」

「『白人特権』について聞くのはもう飽き飽きなんだ。私は白人だけど、あなたの世界に住んでいる黒人よりも、全然恵まれてなんていないんだ。私の人生がこの先少しでもよくなるなんて、全く思えないんだ」

「黙らされ、悪魔化されていると感じるのに疲れた。大体私たちは皆同じゴールを持っているけど、そこに行く道筋が違うだけなんだ。間違っているのは君かもしれないし、私かもしれない。でも、トランプを試してみたかっただけで、私たちすべてが悪魔呼ばわりされるのにはもうこりごりだ。私はヒラリーが大嫌いで、彼女はこの国を破壊しようと思ってると思うけど、彼女の支持者を悪魔呼ばわりなんてしない」

「左派は、これまで全然存在するひどいシステムに怒っていなかったくせに、今こんなに怒っている。そのことに僕は怒っている!」

「トランプへの攻撃は、自分自身についての何かを教えてくれた。私はトランプを擁護しようとして、本当は信じていないこととか、支持していないことを言ってしまった。なぜなら、攻撃されて言い返さなきゃ!って思ったから。抗議活動をしている人たちは、多くの人をこういう方向性に押し込んだのだろうけど、でも、究極的にはこれは自分たちの責任だし、やめないといけない」

「トランプを悪魔視して、彼や支持者をナチスとかKKKとか、白人至上主義者とか、ファシストと呼んだりするのは、トランプ支持者を彼の周りに集まらせるために有効だと思う。こういう攻撃は事実とは異なるし、トランプを助けていると思う」

「今のところ、この選挙は、国を分断している。でも今のところ、その分断は左翼から来ていると思う。恥を知ってほしいね。ニクソン時代ほど悪いわけじゃないけど、確実にそっちの方向に向かっている。ニクソン時代、私は両親と話ができなかったものだ。政治的な分断がひどすぎたのでね。サンクスギビングとか祝日というのは、40年前のあの時に似ている。もっともっと両極に引き離されている。それは、世代の問題も多少はあるだろうが、それだけではないだろうね。西海岸と東海岸、地方と都会、人種、ジェンダーなどの分断が怒っている。これはひどいことになる危険性を秘めているね」

「左派による暴力的、経済的な攻撃はひどいものだ。わたしは妻とベイエリア(サンフランシスコ周辺)に最近引越してきた。わたしはアイデアが実力主義で取捨選択されていくような土地柄を期待していたのだれど、実際には皆が皆を常に『思想犯罪』を犯していないか監視しているような土地柄だった」

「シリコンバレーはオルタナティブな考え方を、信じられないくらいに歓迎しない。もしもあなたの好奇心が真実のものなら、これはものすごく稀な例外だと思う」

「左派が、自分たちは統一する者で、分断する者ではない!とか主張しているのは何か偽善的だよね。彼らは『包摂的』だけれど、現代世界の人口の半分を、知性と無関心のコメントとともに『排他』しているんだ」

何がもってすれば、トランプに再び投票する気持ちを変えられますか?

「戦争は許されないものだよね」

「もし、ロシアの件が本当なら、彼から背を向けるよ。彼のツイッターじゃなくて、そこに注目しないか?」

「もしもよい選択肢があるなら、それでわたしたちはハッピーになれるよ。でも中道じゃなきゃダメだ。サンダースはダメ」

「誰か他にいれば、喜んでそちらに投票するよ。トランプの嫌なところは沢山あるからね!でも、僕らの暮らしは基本的にめちゃくちゃになってるし、彼はそれをなんとかしよう!といった初めの人間だったんだ」

「わからないな。ものすごーい汚職とかがあれば、投票しないかも」

(この話を聞いていたもう一人)「汚職があっても気にしないよ。皆ヒラリーに投票したんだろうけど、ヒラリーは歴史上もっとも腐敗した政治家なんだから!」

「彼と左翼がやりあいすぎて、法制度が壊れてしまうんじゃないかということだね。もしもそんなことになれば彼に責任を追及するよ」

「もしも、アメリカが大きな軍事的紛争に巻き込まれたら(実際には、この確率は、ヒラリーの時より減ったと思うのだけれど、間違っているかもね!)。あとは、もしもビジネスをするための費用が高くなった場合(例えば規制を増やしたり、増税するなどして)」

「わたしは社会的にとてもリベラル。もしも、彼が麻薬の規制だとか、LGBTの権利を制限しようとしたり、妊娠初期の中絶を困難にしたり、危険にするのだとしたら、自分の立場を考えなおすと思う。でも、そういうことは相当起こり得ないと思う、特に、数年後に選挙があり、社会全体がリベラルになっている今」

「もしも、また2008年のリーマンショックみたいなことがあったら(もうすこしトランプが大統領を務めた後に。その方が因果関係がはっきりするので)、支持基盤は消えると思う」

「政治の話以前に、トランプの歴史に基づけば、彼は人種差別者や、性差別者、ホモフォビックや偏狭な人間ではないと思う。もしも、彼がそういう人間ならなら、これまでの民主党がやろうとしたどんな表現の自由の規制や、大きな政府にしようという提案よりも、もっとひどい個人の自由への制限ということになる。もし、そんなことになれば、これはトランプに対する意見を変えなければいけなくなるだろう」

What I Heard From Trump Supporters - Sam Altman

ドナルド・トランプ 劇画化するアメリカと世界の悪夢 (文春新書)

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