#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

よしながふみ『愛がなくても喰ってゆけます』感想文

きのう何食べた?』と、『大奥』しか読んでないよしながふみ初心者のわたしですが、ようやく読みました。

愛がなくても喰ってゆけます。

愛がなくても喰ってゆけます。

それでも、以前から、よしながふみの食べ物評は「本当に食べてるし、作ってるなこの人は」っていうのがひしひしと伝わってくるなぁーと思っていたのだが、こちらの本を読んで確信した。よしながふみさんって本当に本当に食べるのが大好きなのね!決して凝ったボキャブラリーや珍しい食材のウンチクで読者を煙に巻くことはしない。「おいしー!」「うまーい‼︎」地に足のついた素直な言葉で語られる料理は、その好みの微妙な偏りも相まって、非常にリアルである。

狙ったであろう変名主人公「YながFみ」と周囲の人間関係の描写も興味深い。決してエッセイ漫画とは書かないがどこまで実話でどこから創作なんだろ?と読者か考えてしまうことくらい、作者は織り込み済みなんだろーな。

それにしてもよしながふみの客観視の能力やバランス感覚に脱帽だ。頭のよさからくるものなんだろうけど。すっぴんのYながの誇張されながらもリアルなブサイクさや、周りの人々のYなが評など。ゲイを描く時も、ありがちなステロタイプに陥ることをあざやかに裏切りつつ、力の抜けた感じですいっすいっと「リアルさ」を描いてみせる。力の抜けた線と整った絵柄も相まって、その器用さが「あざとく」感じられた時もあったのだが、ここまでされたらもう笑うしかないよね。もう、なんか、好きになっちゃいました。

きのう何食べた?』のレシピは下手くそながら自分で作ってみたりもしたけれど、こちらはレストラン紹介なので、なかなか実際に行けないのが悔やまれる。……といっても、もう10年前の本なのでさすがに、日本にいてももう行けない店もあるのかな?

あーっ、美味しいものだらけの日本に行きたーい!