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アメリカで働くレズの徒然

エマ・ワトソンが美しすぎるッ!実写版『美女と野獣』の感想と「ゲイキャラ」について

美女と野獣 オリジナル・サウンドトラック - デラックス・エディション-<英語版[2CD]>

ディズニー映画『美女と野獣』の実写版観てきましたよ!

監督は、『DREAMGIRLS』や『トワイライト』シリーズを手掛けたビル・コンドン。主演はエマ・ワトソン様。

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あらすじ

森の奥にある城に、若く美しいがとても我儘で傲慢な王子が住んでいた。ある夜、醜い老女が城を訪ね、一輪のバラをあげるかわりに城に一晩泊めてほしいと頼む。しかし王子は老女の醜さを理由にそれを断る。老女は「見かけで人を判断すると、心の奥底の真実が見えなくなってしまう」と忠告するが、王子は聞く耳を持たず再び追い返そうとした。するとその瞬間に老女は美しい魔女に変わり、優しい心を持たず人を見た目で判断する王子と、王子をそのように育てた召使いたち、さらにその城全体に魔法をかけてしまう。そして王子は恐ろしい野獣の姿に、召使いたちは家財道具の姿になってしまった。自らの醜い姿を恥じて城に閉じこもった王子に対し、魔女はどんな物をも映し出す魔法の鏡と初めに見せた一輪のバラの花を置き消えていった。そのバラの花びらが全部散るまでに、王子が人を愛し人に愛されるという「真実の愛」を見つけなければ、王子たちにかけられた魔法が解けることはない。王子は絶望し、失意の内に十年の歳月が流れた。

とある街に住む発明家モーリスの娘・ベルは街一番の美貌の持ち主で、読書と空想が大好きな父親想いの娘だった。ベルはそんな自分の夢見がちな性分を風変わりと捉える街の人々に馴染めず、街一番のハンサムで人気者だが乱暴で下品なうぬぼれ屋である狩人・ガストンの執拗な求婚に辟易していた。

モーリスが発明大会に出かけた日、愛馬フィリップが父を乗せぬまま戻ってきたのを見たベルは父に何かあったに違いないと考え、フィリップと共にモーリスとはぐれた森の奥地の城へとやってくる。モーリスは森で道に迷った上に狼達に襲われてフィリップとはぐれ、たどり着いた城で一夜の宿を頼んだ。それを見かねた蝋燭のルミエールとティーポットのポット夫人はモーリスをもてなそうとしたのだが、怒った城の主である野獣に不法侵入者として牢に捕らえられていたのだ。解放を願うベルは父と引き換えに自分が城に留まることを申し出る。野獣はその条件を受け入れ、反対するモーリスを強制的に魔法の馬車に乗せ街へと追い返してしまった。

こうして城に残ることになった失意のベルを、ポット夫人やルミエール、置き時計のコグスワースなど家財道具に変えられた城の召使たちは快く受け入れもてなしてくれた。ベルも次第に気を取り直し城の生活になじもうと努力するが、礼儀知らずで我がままな野獣の凶暴な振る舞いに耐えかねて城を飛び出してしまう。そして吹雪の中で野生の狼に襲われるが、すんでの所で駆けつけてきた野獣に救われる。その事件をきっかけにベルは醜く横暴な野獣の心の中に残る優しさに気づき、野獣も彼女の優しさに触れお互いに心を通わせるようになる。また日々をともに過ごしていく中で、野獣は徐々に人間らしい心を取り戻してベルに想いを寄せるようになり、ベルもまた、野獣に惹かれていくのだった。

(Wikipedia より)

感想

一言でいうのなら。

「ビジュアルは素晴らしくて、文句なしっ。モダンにしようと頑張ったのもわかる。しかし、いかんせん物語が古すぎる」

あっ、全然一言ではありませんね。失礼しました。

エマ・ワトソンが美しすぎて苦しい

エマ・ワトソン、読書好きのため、村ではちょっと変わり者扱いを受けている少女を演じているのですが、すごい美しかった。というか神々しかった。エマ・ワトソンの知的な笑顔とよく似合っています。ドレスアップしても、可愛い。大画面でカメラ目線で笑いかけてくれた時は息が止まりそうになりました。うう、美しすぎて直視できない。。。

ミュージカル好きは満足!ビジュアルもすごい!

冒頭から、ばっちりミュージカルな感じで、原作にかなり忠実なようです。またCGを思い切り、しかも自然な形で取り入れていて、目を楽しませてくれます。

特に、アンティークと化した使用人たちがベルをもてなすディナーのシーンは、ものすごい楽しいですよ〜!

やっぱストーリーが古いよね

しかし、不満だったのはストーリー。

これ、ツイートでも書いたんですが、結局、『美女と野獣』って可愛い女の子と、莫大なリソースを持った男のロマンスなんですよね。ベルが野獣に惹かれだすのも、結局、野獣が、本好きのベルの興味を引くような本を一杯持ってたからじゃない?とかね。なんかサブカル女子を食ううんちく男……じゃないけど、そんな構図が頭に浮かんだり。

それから、野獣のキャラ造形も(原作からしてそうだからしかたないのだろうけど)そもそも、ワガママで自己中な性格だったんでしょ。それがいつのまによい人になったわけ?いくらそもそもはよい子だったのが、育てられ方でそうなったという説明は入れられているとはいえ、一度、嵐の夜助けを求めた魔女を追い返すような性格に育った野獣が、野獣になったくらいで、そんなに簡単に心を悔い改めるのだろうか?というのが疑問でした。

あと、悪気はないのだとしても、バンバンドアを叩いたり、怒鳴ったり、普通に怖いよ!野獣!その時点で、もうこんな暴力的な男に最後心を開くとか、ましてや愛するとか、ないないないw とか思ってしまって……。いろいろ無理でした。

それから、ここは、個人の好みもあるのだろうけど、別に野獣は醜くはないしかっこいいです。くりくりした可愛い目をしてます。声も低くてしぶい。むしろ、王子に戻った後の方が、変です。野獣のままの方がガタイもいいし、かっこよかった。毛深いし。

というわけで、ラブストーリーとしては古臭いと思ったし、イマイチ入り込めませんでした。一応、流行りの「強くて自立した女の子」風味を入れてみたり、人種的多様性を入れてみたり、いろいろとモダンにするための工夫を入れてはいるのはわかるのだけど、いかんせん入れ物が古すぎる(汗)

オリジナルに忠実にしたのはわかるのだけど、これなら、思い切ってもっとリメイクしてしまってもよかったのでは?と思いました。

でも、これは、わたしがエマ・ワトソン好きすぎて、野獣に嫉妬してたから、冷静に観れてない可能性もかなり大です(爆)

で、ゲイキャラクターって誰なのよ?

さて、実写版『美女と野獣』の本題というわけではないのですが、これは触れないわけには行かないでしょう!

この実写版『美女と野獣』には「ディズニー史上初の、オープンリーゲイのキャラクターが登場する」ということで話題を呼んでいました。

この「ゲイキャラ」の存在がメディアで騒がれだした時に、わたしは実は結構淡々としていて「そんなに騒ぐことですか?」とか思っていたんです。ところが、その後、このゲイキャラが原因で「実写版『美女と野獣』をボイコットしよう」という動きが広まり、実際アラバマ州の映画館などでは、実写版『美女と野獣』が上映中止となりました*1

マレーシア(男性間の性交渉を違法としており、映画でのゲイ描写は、ネガティブな描き方のみ許されている)も、ゲイシーンを含む4分間38秒間の削除を求めたところ、ディズニーはそれを拒否*2

そんな論争を巻き起こしているのを知った時、わたしは「絶対にディズニーを応援しよう。実写版『美女と野獣』を、公開週に観に行こう!」と心に決めたのです。

映画を観ながらもずっと「いつゲイキャラが出てくるのかしら」とドキドキしていました。そして、前半で「この人かな」とあたりをつけた人(Aさん)はいるのですが、最後の方まで、そんなにはっきりとした「ゲイな瞬間」は訪れません。

ゲイっぽい瞬間は二つあり、一つ目は、ドレッサーが、魔法で男たちにヘアメイクを施してしまう場面です。他の男たちはひゃーっと逃げていくのですが一人(Bさん)だけは、うっとりとして鏡に向かって微笑みかけています。

この段階でわたしは「あれ?ゲイなのってAさんかと思ったら、Bさんだったのかな?」と思ったのですが、来ましたよ。最後のダンスシーン!わたしはここで「絶対ここに男同士のダンスが含まれているはず!」と思ってずーっと目をさらにして見ていたら、やっぱりそうでした!最後男二人のダンスシーンが、画面の中央に映されたのです。「実は後ろで、踊っているのが男同士ですね」みたいなトリビア的なのではなく、はっきりと、脇役の一人(Aさん)と、さっきヘアメイクでうっとりしてた男(Bさん)の二人に数秒間ですがフォーカスがあたっていました。

*3

画面はすぐに移動し、キスなどの描写はありませんでしたが……。「やっぱり、Aさん、ゲイだったんだ!」しっかりと「ゲイ」であることがわかる描き方でした。もちろん、この描き方も「ステロタイプにハマってるー」とかいくらでも批評とかは出来ますが、わたしはもうここまで来たら、「とりあえずありがとう」といいたいです。この数秒間を入れないこともできたし、カットすることもできたでしょう。でもまずはこの数秒間から全てははじまるのかなって。同性二人のストーリーが堂々と描かれるのはいつだろう?そう思うとまだまだ先は長い気もしますが、それもまずは一歩を踏み出すことから。そしてその一歩を小さくても前進だと認めて、評価することからではないでしょうか。

ディズニーを支えたゲイのクリエーター

実は、これまでも「どうみてもゲイ」キャラを出しながらも、「ゲイ」とは公言は避けてきたディズニーなのに、今回しっかりと監督が「ゲイ認定」をした裏には、一人のクリエーターの存在があると言います。アニメ版『美女と野獣』を含める多くのミュージカルナンバーの作詞をしたハワード・アッシュマンです。アッシュマンは、ゲイであり、『リトル・マーメイド』のなかの「アンダー・ザ・シー」でアカデミー賞を取ったばかりでしたが、『美女と野獣』の製作に入る前にAIDSだと診断されていました。

アッシュマンは、『美女と野獣』を、ミュージカルにすることを提案し、さらに、それまでは主に「ベルのストーリー」だった『美女と野獣』に、野獣側の視点を入れ、二人を対等な主人公にすることも提案しました。ゲイであると同時に、当時死の病だったAIDSという二つのスティグマと戦ったアッシュマンは自分の経験を「野獣」に注ぎ込んだのです。

「呪い」に苦しみ、真実の愛を見つけることで呪いが解けるかもしれないという奇跡を望みながらも、自らに残された時間の少なさに苦しむ野獣は、AIDSと戦いながらも奇跡を求めたアシュマンの経験と重なります。また、村人たちが「野獣を殺せ!」と盛り上がるシーンの歌は、当時悪魔視されていたAIDSへの偏見という文脈を踏まえて読むと、よりリアリティを持って聞こえてきます。

自分たちが理解できないものなんて嫌いなんだ。/本当のところ、怖いんだ。/このモンスターは謎だらけ。/ 銃を持て、ナイフを持て。/ 子供と妻たちを救うんだ。 / 村と命を救うんだ。/野獣を殺せ!

アッシュマンは、死にゆく病床でこれらの歌詞を執筆し、40歳という若さで亡くなりました。アニメ版『美女と野獣』は大成功し、ディズニーアニメとして初めてアカデミー賞の最優秀作品賞にノミネートされ、さらに、アカデミー作曲賞を受賞したのですが、その成功をアッシュマンがその目で見ることはなかったのです。今回、自らもオープンリーゲイであるビル・コンドン監督が、あえてこの脇役を「ゲイです」と認めた背景には、アッシュマンへの追悼の意味があると言われています*4

ディズニーのこれまでと今後

ディズニーは、その莫大な影響力故にさまざまな期待をされ、そしてまた批判も受ける存在です。過去にも、プリンセスの描き方がステロタイプ的だとか、人種的に偏っているだとか、色々言われてきました。今回のゲイキャラにも批判はありますし「アッシュマンに対して失礼」とかそういう声もあるようです。

しかし、最近のディズニーは、そんな風に四方八方から来る批判を受け止め、全てを克服するのは無理だとしても、一定の方向へ乗り越えようと挑戦しているのが、新作ごとにひしひしと伝わってきます。

日本語で「ポリコレ」と言うと、なんだか単純で薄っぺらい印象がついてしまってますが、ディズニーの近年の多様性についての気配りは、そういうものではありません。よりリアルで、より人々の心に響くよい物語のために、ディズニーは挑戦を続けているんだと思います。

実際、今回の実写版『美女と野獣』も全世界で高い評価を受けており、興行収入はぶっちぎりの記録を叩き出しています。北米で170ミリオン、全世界で350ミリオン。PGものとしては、『ファインディング・ドリー』を抜いて1位、全ての映画のなかでハリポタを抜いて7位、また公開週の売上としては『スター・ウォーズ・ローグワン』や『バットマンvsスーパーマン』なども抜いているそうです。マレーシアのでの上映中止なんてものともしない感じですね。ふっ。

今後もディズニー/ピクサーの新作が楽しみです!『ムーラン』の実写化、くれぐれも「白人救世主」ものにしないでくださいねぇええええよろしくお願いします!

評価

  • エマ・ワトソン美しい度 ★★★★★
  • 都合がよいラブストーリー度 ★★★☆☆
  • 目と耳に嬉しい一大スペクタクルミュージカル度 ★★★★★

日本公開日

実写版『美女と野獣』は2017年4月21日から日本公開中です!

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*1:http://variety.com/2017/film/news/beauty-and-the-beast-gay-character-alabama-theater-1202001627/

*2:https://www.theguardian.com/film/2017/mar/16/beauty-and-the-beast-disney-gay-scene-malaysia

*3:というか、もう書いちゃいますが、このゲイ役を演じている ジョシュ・ギャッドは『アナ雪』でオラフをやっている人ですw なんかもうそれだけで大好きになっちゃいますね

*4:http://www.vanityfair.com/hollywood/2017/03/beauty-and-the-beast-gay-lefou-howard-ashman