#あたシモ

虹の向こう側

トランス女性であることを告白したブルース・ジェンナー

今日は、ブルース・ジェンナーのインタビューを観てた。

The Evolution of Bruce Jenner (English Edition)

ジェンナーは、70年代に活躍したオリンピック選手で、十種競技で金メダルをとるなど、アメリカのヒーローとして讃えられた陸上選手だった。わたしはその時アメリカにいなかったのでよく知らなかったのだが、アメリカ生まれアメリカ育ちのFionaによれば「超有名人だよ!知らないのぉ!?」なのだという。

スーパースターとして人気を集めたジェンナーは引退後、セレブリティーとして有名になり、キム・カーダシアンの母として知られるクリスと再婚。ここ数年、カーダシアンのリアリティ番組を通じて、ますます有名になった。

Kris Jenner . . . And All Things Kardashian

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しかし、最近ではブルース・ジェンナーの外見の変化が話題になっていた。男らしい肉体美で知られる彼だが、どうも女性らしい容姿に変化していく。「ブルースはトランスらしい!」という噂がタブロイド紙やウェブサイトで駆けめぐった。

今日、ジェンナーはとうとうテレビの前でインタビューに答え、「自分は女性だ」と語った。「彼」(トランジションが終わるまではまだ公的には「ブルース」で、今回の番組でも「彼」として語られていた)は子供の頃から女性の性自認を持ち、80年代には既にホルモン療法をスタートしていたという。クリスと出会ってからは、トランジションを一時停止していたが、娘たち(ケンドル・ジェンナーとか、キム・カーダシアン!)にもドレスを着ているところを見られたりして、家族のなかでは、ブルース・ジェンナーがトランスであるということは、既に知られていたことのようだ。

「But I'm nothing, if I can't be me. If I can't be true to myself」

というカニエ・ウェストの言葉を引用し、「嘘」に終止符を打つことにしたブルース・ジェンナーの勇気に拍手を送りたい!アメリカでは、ゲイやレズビアンに比べて、まだまだトランスに対する無知や誤解が問題となって残っているが、かつてスーパーマンのように活躍したジェンナーの告白を聞いて、トランスに対する偏見を改めた人も多いことだろう。

Legacy

Legacy

わたしも、性自認や性指向のラベリングについていろいろ考えさせられた。まず、注目したのは、上で書いたように、ジェンナーは「ずっと女だった」と語っていると同時にトランジションが終わるまでは「彼」として言及されることを望んでいること。これは、ジェンナー自身の選択なので、当然尊重されるべきなのだが、ちょっと意外だった。これまでずっとジェンナーを「ブルース・ジェンナー」という男として取り上げることに慣れきっている、メディアの混乱なども想定しているのだろうか?しかし、その場合、まだトランジションの最中にジェンナーのことを「彼女」と言ってしまった場合は、失礼にあたるのだろうか?

また、セクシュアリティについても、「ゲイですか?」と聞かれて、否定していたところなどが、ちょっと混乱した。トランス女性と女性の関係性は「ゲイ」になると思うのだが。インタビューアもそこは突っ込んでいたと思うのだが「性自認と性指向は別だから」みたいな話になって(←いや、それはわかってるつもりだよ!)と……。なんとなく「????」のまま終わった。英語力の問題もあるかもしれない。わたしは個人的にMtFレズビアンとのつきあいがあるが、彼女たちの言い分とジェンナーの説明の仕方がかなり違うことに意外性を感じた。

ここで、「内面のホモフォビアの現れだ!」とか「混乱をまねく!」などと批判することもできるのかもしれないが、「ゲイ」か「ストレート」かというのも、究極にはその当人の自認次第だよなあとも思った。特に「レズビアン」とか「ゲイ」とかっていうのは、関係性の問題だから、一概に自分だけで自称するわけにもいかない。仮に、ジェンナーが、(女性の自認を持っている間)ずっと「レズビアン」だったと決めつけてしまうと、クリスとか、過去の妻たちの関係が「レズビアン」関係ということになるが、彼らは自分たちの関係が「レズビアン」だとは思っていないだろう。これから先、カムアウトもトランジションの終えたジェンナーが女性と関係を築く場合、それは「レズビアン」と見なしてもよいかもしれないが、彼らとの関係においては、ジェンナー自身も「ノンケだった」と考えているのかもしれない。