#あたシモ

虹の向こう側

LACMA行ってきたよー!エド・モーゼス(Ed Moses)の「線画」の進化

久々にLACMAに行ってきた。LACMAはロサンゼルスの美術館。ミラクルマイルと呼ばれるおしゃれなエリアのなかにある。

今回観た展示でメインのアーティストの一人がビジュアル アーティスト「エド・モーゼス(Ed Moses)」。ロングビーチ生まれで、UCLA出身。まさにLAアートを代表する大物と言われている。常に実験的な手法を取り入れ、過去のスタイルを捨てていくことで知られるモーゼスだが、彼の60年代70年代からのドローイングが展示されていた。

 モーゼスの基本 『メカニカルドローイング

航空会社にてテクニカルイラストレーターとして働いていたモーゼスは、アーシル・ゴーキーに影響を受け、60年代初頭には「メカニカルド ローイング」という陰影ではなく線を効果的に使ったスタイルを発達させる。建築の設計図のような静謐で知的な印象。

60年代初頭 『花』 

バラなどのモチーフを繰り返し使いながら、紙の上の模様をグラファイトで塗りつぶしていくアート。一つ一つのモチーフは繰り返されるうちに抽象性を増し、あたかもエッシャーのだまし絵のような印象を持っている。

60年代中盤 『グリッド』

60年代中盤になるとモージズのモチーフは「花」から四角いグリッドへと以降する。模様の中を鉛筆で、緊密にグラファイトの線で塗りつぶす手法は、「花」時代と同じだが、よりミニマルになったそのスタイルは、同時代のミニマル・アートの作家であるアグネス・マーティンやエヴァ・ヘッセなどと比較された。色彩はほぼ黒で、明るい黄色が背後から差し込む光のように使われている。幾何学的な模様だが、この黄色と、微妙にずれているグリッドの配置が、どことなくユーモラスで明るさを感じさせる。

70年代前半 『ナバホ模様』

60年代後半に、モージズは、ナバホ・インディアンの毛布を知り、その幾何学的な模様に惹かれるようになる。彼はナバホ族の持つ線が生み出す模様と、モンドリアンの後期の作品に見られるようなグリッドを使った作品との類似に注目し、「チーフタイプ」と「ウェッジ・ウェーヴ」という二つのスタイルを、自らの作品に取り入れた。モダンなモンドリアンのスタイルと、伝統的なナバホ族の模様を組み合わせることにより、「芸術家がつくり上げるアート」と「職人がつくり上げるクラフト」との境界を曖昧にした。

色彩はより豊かになり、画材も、水彩、ティッシュ、レジンなどバラエティー豊かになった。10年以上書いていなかったキャンバス上に描いた作品も、伝統的な「キャンバスをストレッチする」という方法を取らず、まるでタペストリーや動物の皮のようにだらんと垂れ下がっている。

70年代中盤 『斜めのグリッド』

初期から見られていた斜めのグリッドは70年代中盤になると、モーゼスのメインの作風となった。45度の角度に傾いた線を繰り返し回転させることで、幾何学模様を作り出し、さらにキャンバスを傾けることで、絵の具が垂れ、にじむことでさらなるオーガニックさを増している。「線画」が知られるモーゼスだが、線はより太くなり、「絵画」に近づいている。

モーゼスは、その後もスタイルを次々と変えながら精力的に制作を続けている。今回の展示には含まれていなかったが、2000年代の作品は、より大胆で色彩とエネルギーに溢れた抽象画に以降しているようだ。一人の作家の作風の変化を追うのは興味深い。

他にもいろいろ気になるアーティストがいたが、それはまた今度。