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#あたシモ

虹の向こう側

かんどーさんの『ひとりストリップ: かんどーのブログに書けないあけすけな話』を読みました!

ひとりストリップ: かんどーのブログに書けないあけすけな話

かんどーさんの電子書籍『ひとりストリップ: かんどーのブログに書けないあけすけな話』を読みました。

電子書籍の出版おめでとうございます。

かんどーさんは、わたしがはてなブログに来てから知った人気ブロガーです。

www.kandosaori.com

会社経営者という立場でありながら、「ええっそんなことまで」というあけすけっぷりが小気味良く、気づけば毎日訪れるブログとなっていました。こういう自分が愛読しているブロガーさんが作った本を読むのは、よくある「本を読む」のとはまた違った親密な楽しみ方ができますね。

あらすじ

内容は「さつき」という主人公による連作短編集です。ブログに既に書かれているエントリを元にしたものもあり、「自伝的なところもあるフィクション」のようですね。

  • 目次
  • ご挨拶
  • エピソード1 愛人になるはずだったけど結婚した話
  • エピソード2 自殺未遂者を自宅に停めて誘惑した話
  • エピソード3 K市役所で婚姻届けをビリビリに破いた話
  • エピソード4 レトルトカレーとパックライスの思い出
  • エピソード5 結婚式の出席代行アルバイトの話
  • エピソード6 お尻踊りのさつきちゃんの話
  • エピソード7 悪い子のさつきちゃん
  • エピソード8 セックスは共通言語だから
  • 最終章 壊れる
  • あとがき

感想

読みやすくて面白かったです!

かんどーブログの文章はそのままに、でも、それがもっと「物語」という枠組みを経て、まとまった感じ。「美しい文体」とか「凝った表現」というよりも、「伝わりやすさ」優先の文体で、推敲しまくってしているというよりは(いや、もちろん推敲もされているのでしょうが)、頭のなかに浮かんだものをぱっぱっと映しとって出しているような、勢いのある文体で、わたしは好きです。フィクションを読み慣れていない人でもすらすら読めると思います。

あと何と言っても愛人とか出席代行とか、変な男を拾ってきたりとか……持っているネタが強いから、普通に面白い。ブログの愛読者にとってはお馴染みのエピソードもあったりするのですが、まあ何度読んでも面白いよね。発達障害とかADHDネタも含まれていて、ここはかなり共感しました。

んで、意外とエロくはなかった。

さつきさんにとって大切な「性愛の話」はもちろんかなりのボリュームを持って描かれています。イクときの感じとか、乳首でイケるとか、「あけすけ」に書かれているんですが、文体がサバサバしてるからかな?わたしがセックスについてあまり知らないからかな?男とセックスするのが好きな女の人って、こんな感じなんだー。「その最中」の時こういうことを考えてるんだー!というのが面白かった。「秘豆」という表現には笑ってしまいました。これって、官能小説の定番用語なんですかね?難しいよね。「アレ」とか。

愛人から妻へ

どのエピソードも面白いのですが、一番気に入ったのは、やっぱりエピソード1「愛人になるはずだったけど結婚した話」です。一番パンチがあったし、起業の話なども含まれていて濃いし、なによりなまなましくてよかった。さつきさん素直で可愛いけどちょっと面倒くせえええwwwーと思いつつも。それを受け止めてくれる「Iさん」の包容力がしみじみと伝わってきました。

こういうぐっと年上の知識も教養もある存在に導かれる、プリティー・ウーマンみたいの、わたしちょっと憧れます。うん。わたしはこれまで年上といっても、最高3〜4歳年上の人としかつきあったことがなくて、基本的にはいつも対等な感じのつきあいしか知りません。だからこういう「圧倒的に上」な存在にすごい勢いで影響を受けて、守られて、育てられて……みたいなのは憧れる!

普段かんどーさんのブログ読んでても、かんどーさんが旦那さんのことを大好きなんだなーというのは伝わってくるんだけど、小説のなかでも、さつきさんが、Iさんに会えて本当に本当によかったです!

どこか危なっかしい魅力

この本は、夫となる「Iさん」との出会いが第一章にあり、それから章を追うようにして、主人公の過去の話が綴られていく。そして、最後は「いろいろあったけどIさんと出会えてよかったね」とハッピーエンドとして終わるのかとおもいきや、最終章「壊れる」で一気に不穏な感じへ突入。

最終章だけが、他のエピソードの章とノリが全然違うんですよね。えーっと、わたしも昔いろいろあったけど「Iさん」と出会って変われました、ちゃんちゃん……じゃなかったの?

「あなた」ってIさんだよね?「男」ってIさんだよね?(「髪の束をつかんだ」とあるけど、Iさんはハゲていたという描写があったことを考えるともしかして別人であることのほのめかしている?…ってそれはないか……)

最終章はストーリー的に何が起こるというのではなく、主人公の内面の吐露が圧巻なのですが、一見明るく前向きに見えるなかにひそんでいる弱さと「でも、それでいいんだ」と開き直ることの強さの間に引き裂かれ、最後ちょっと落ち着かないような、放り出されたような気分になってしまいました。

あと今後婚外セックスに前向きであるような描写も見て取れるので、今後さつきさんがどうなっていくのかな?と…興味津々。まあなんというか「ちゃんちゃん」って収まる感じじゃなくて、ちょっと危なっかしい。危なっかしいんだけど、そこが魅力なのかなと思いました。

「フィクションです」と書かれてるのに、筆者のかんどーさん自身と重ねあわせることが、野暮であることは百も承知なのですが、なんか少しやっぱりそういう読み方をしてしまいました。

かんどーさん、次回作執筆も頑張ってください!

yuichikawa.hatenablog.com

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