#あたシモ

虹の向こう側

安心してトイレに行けない生活 --ノースカロライナ州のHB2が意味するもの--

photo by P u n k c o r e | v n ☮

想像してください

外出先で、トイレに行く時、いつもつかっている自分の性自認に合致するトイレを使うことが、「違法」とされ、逮捕されかねないとしたら?法律によって、自分の自認する性別と異なるトイレを使わなければいけないとしたら……?

「なんでここにいるんだ?」

「男子トイレはあっちですよ」

「この女はここで何をしているんだ?」

「もしかして、こいつはゲイなんじゃないか?」

「男女!」

人々の好奇の視線にさらされ、からかいやひやかし、もしかしたら暴力の対象になってしまうかもしれない。落ち着いて用を足すところではありません。

トランスジェンダーの人々が置かれた現実

先週HB2が成立してしまったノースカロライナ州のトランスジェンダーの人々は、今こんな状況に置かれています。

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ノースカロライナ州でHB2が登場したのは、州内最大の都市シャーロット市で「トランスジェンダーの人々に対して、自認するジェンダーに沿ったトイレ使用の権利を保証する」内容の反差別法が成立したことがきっかけでした。

保守派やマクロリー知事は「HB2は人々のプライバシーや安全を守るために必要だった」と主張していますが、これは、事実に反します。ノースカロライナ州だけでなく、これまで多くの地方自治体でトランスジェンダーの権利を保証しようとする際に「男が女子トイレに入ってくる!」「性犯罪が増える!」というプロパガンダがなされてきましたが*1、これまで反差別法を制定しトランスジェンダーの人々が自認する性別のトイレ使用を認めた自治体において、嫌がらせや性犯罪など「差別を禁止したことによってプライバシーや安全が脅かされた」というトラブルの報告はありません。

そもそも、トランスジェンダーであろうとなかろうと、犯罪は裁かれてるわけであり、トランスジェンダーに適切なトイレ使用を認める「反差別法」によって性犯罪が増えたという立法事実がないのに、彼らのトイレ使用を制限し、「生まれた時の性別以外のトイレを使うことを違法にする」というのはトランスジェンダーの人々への嫌がらせとしか思えないわけです。

トイレ問題の重要性

安心してトイレに行けないって公共の場所での活動がものすごく制限されますよね。実質的には、この法律の発するメッセージは「お前ら外で活動するな」に近いものがあります。

f:id:calibaby:20160330110034p:plain Image by Democracy Now!

ノースカロライナ州への訴訟の原告となった Payton McGarry さん。ノースカロライナ州の法律HB2は、彼が男子トイレを使うことを「違法」とし、女子トイレを使うことを要求している。やれやれ。

既に、この法律に対しては「憲法違反である」として撤廃を求める裁判が起こされています。全米で同性婚が実現したのも「同性婚の禁止は、憲法違反である」という法廷闘争の結果でした。結局少数派の権利保証については、立法に加えて、「司法」の果たす役割が大きいことを実感します。この悪法が一刻も早く撤廃されることを望みます。

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