#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

大麻の学校「オークステルダム大学」を見学してきたよ!

昨今、同性婚と並んで急速に変化しているのが「大麻」をめぐる法律です。

アメリカではカリフォルニア州を含める23の州とワシントンDCで医療用大麻が認められており、ワシントン州コロラド州の二州では医療用に限らない嗜好用大麻も認められています。またアメリカ国外を見ても、ジャマイカやオーストラリアをはじめ、世界中で大麻非犯罪化の流れが加速しています。

そんな急速な法の変化に伴い、今、大麻の栽培や、大麻関連ビジネスが非常に注目を集めています。

オークランドにある「オークステルダム大学」はそんな大麻起業家(ガンジャプレナー)たちに対し、大麻ビジネスにまつわる知識や技術を教える大麻の専門学校です。日本語での紹介記事も出てきていますね。

rocketnews24.com

このオークステルダム大学を見学してきたので、ご紹介します。

Oaksterdam University
1734 Telegraph Ave, Oakland, CA 94612
(510) 251-1544

オークステルダムとは

2007年に出来たオークステルダム大学は、オークランドのダウンタウン北部に位置します。オークステルダムという名前は、「オークランドをオランダのアムステルダム*1のようにしよう!」という計画のもと名付けられたそうです。オークステルダム大学の看板がついた建物がブロードウェイ通り沿いにありますが、こちらは単なるディスペンサリー*2で、医師の診断書がないと入れません。オークステルダム大学は、隣のテレグラフ通りのビルの一階にあります。こちらは、セミナールームと博物館からなっており、ディスペンサリーは併設されていません。

博物館

展示コーナーには、大麻にまつわる様々なリソースが置いてあります。

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スタッフのムスタファさんに案内してもらいました。

大麻は吸い過ぎると、眠ってしまうため、オーバードーズ健康被害や死亡例がないこと、また、大麻は身体的依存性が低く、タバコやコーヒーの方が依存性が強いことなど、一通り教えてもらいました。

大麻解禁論者は、医療用の大麻を広めようとしているだけでなく、繊維や、食用としてのヘンプの産業利用も広めようとしています。しかし、製薬会社と同じくコットンやシルク業界などの強敵が立ちはだかっていると考えているようです。

来年の選挙では、カリフォルニア州をはじめ多くの州で、大麻解禁をめぐる住民投票が行われます。大麻解禁州は増えるのでしょうか?

有名スナック菓子そっくりのデザインの「エディブル」*3

ムスタファさんは、こういう↑カジュアルなアプローチには反対で、「子どもが間違って食べてしまいかねないこのようなデザインではなく、しっかり薬のような外見にして、『薬』というアプローチを摂るべきだ」と言っていました。

また大麻は、「ハーブ」という非常に多くの成分が複雑に組み合わせあった状態で摂取することで効果が現れるため、科学的に特定の成分のみを抽出したり精製することには否定的な考えを持っているようでした。

聞く分には気持ちよい理論ではありますが、ここらへん個人的にはちょっと疑問。大麻以外の、化粧品や健康食品にも言えることですが、植物から取れる有益な成分は、産地や年によって、組成が大きく異なります。そこで、精製して一定のクオリティーを保つことは品質管理上欠かせません。嗜好品ではなく医学的な目的で使用するならなおさらですよね。

また、植物原料をそのまま使うと、多様な微力成分がそのまま摂取できるのは事実ですが、それがアレルギーだとか、予期しない作用を引き起こしたりもするので、必ずしも「まるごと」とりいれることが素晴らしいとは言えないと思っています。植物で人死んだりしますからね!全然マイルドじゃないですよ。自然なものが人体にやさしいとかってホント嘘ですよ!シリコンとか、ワセリンとか、医療用ステンレスとか、そういうのの方がよっぽど安心して使えたりしますからね!……ってすみません、話それました(汗)

大麻コミュニティが大企業の参入に対して持つ危機感というか、警戒心も理解できます。すでに兆候は見えていますが、大麻の解禁と共に、製薬企業やシリコンバレーからのマネーがこの業界に進出し、大麻エキスを精製し、大規模な栽培を行い、完全にパッケージされたサプリメントや処方薬が売られるようになってしまったら……?今インディーな空気が流れている大麻業界の空気は一変してしまいます。大麻が結局大規模な「搾取」システムの一部に組み込まれてしまうのは、きっと大麻コミュニティの望むところではないのでしょうね。

しかし、大麻がこれからどんどん合法化され、ビジネス目当てで大麻に関わる人が増えるにつれ、大麻ビジネスは洗練されていくでしょう。その動きは既に始まっています。今大麻の周りにある「ヒッピーっぽさ」はだんだん消えていく運命なのかもしれません。将来は今コーヒー業界に起こっているイノベーションが大麻業界でも起こる気がします。

教室のなかの様子

オークステルダム大学の授業を覗かせてもらいました。皆真剣に授業を聞いています。

生徒は、結構外国からも来ているそうで、特に最近はオーストラリアの生徒が多いとのこと。

日本ではまだまだ大麻解禁の日は遠いと思いますが、知識を持つのはよいことだと思います。そのために本を読んだり、コンベンションに行くのもいいし、こういう学校で実地で習うのも一つの方法でしょう。

コースの種類

オークステルダム大学では、大麻にまつわる法律、歴史、園芸方法、安全性、採取の仕方、大麻と経済、肥料の与え方、換気法、抽出法、患者とのつきあい方、ビジネス・マネジメントなど、実にさまざまなことを教えてくれます。講師陣は、化学の教授から現役弁護士、そして園芸のプロまで専門家が勢揃い。

基本的なコースは以下のとおり(値段などは変更の可能性があります)。

  • クラシック・セメスター(14週間)1245ドル
  • コンプリヘンシブ園芸セメスター(14週間)1545ドル

また2日間の集中コースも用意されています。長期滞在が難しい旅行者にはこちらが便利です。

  • ベーシッククラシックセミナー(2日間) 545ドル
  • アドバンストクラシックセミナー(2日間)545ドル
  • ベーシック室内栽培セミナー(2日間) 1045ドル
  • アドバンスト室内栽培セミナー(2日間) 1045ドル

おすすめ書籍

大麻についてもっと知りたい人はこちらの電子書籍を読んでください。

みんなが大麻について知らないこと

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大麻の働きや心と体への影響についてよくわかります。カリフォルニア州在住のせんしみほさんの書籍です。

マリファナ合衆国: アメリカの合法化政策を通して学ぶ、大麻との上手なつきあいかた

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アメリカで、大麻をめぐってどういう動きがあったのかよくわかります。コロラド州在住のLove S. Doveさんの書籍です。

*1:大麻自由化しており、大麻を提供するコーヒーショップが多いことで有名

*2:大麻を取り扱う会員制店舗

*3:大麻入りの食品