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アメリカで働くレズの徒然

LAの住宅問題の救世主?仮設トイレを使ったタイニーハウス!

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ロサンゼルスの深刻な住宅不足とホームレス問題を解決するためにトイレを使って「タイニーハウス」を作るというユニークなプロジェクトがあることを知りました。

http://www.ourownbackyardhomes.org/

高騰するロサンゼルスの住居費

プロジェクトの提唱者JKデバインさんは、ロサンゼルスは住宅危機に晒されているといいます。引越してくる人は増えているのに、新しく作られる住宅の数は追いついていません。住宅の価格も家賃も高騰しています。そんななかで住居費は、人々の家計を圧迫しています。

現在ロサンゼルスで1ベッドルームの平均家賃月額は2,060ドルであり、ロサンゼルスの世帯別平均年収は55,909ドル(一人頭27,749ドル)です。←ざっくり考えて年収550万円で家賃20万円ってキツイですよね?だからシェアとかしないと全然やってけないんです。

参考記事:

仮設トイレで作るタイニーハウス

このような状況を憂いている自らも4年間ホームレスとして車など様々な場所で暮らしてきたJKデバインさんは、イベントなどで使われる仮設トイレ(英語でporta potties)を利用して、タイニーハウス「ポータホーム」を作り、格安な住居を必要な人々に与えることを提唱しています。

なんでわざわざトイレなんだwという質問に対し、デバインさんは、仮設トイレは忌み嫌われる存在である。そこには「狭い住居」に住むことと同じようなスティグマがあり、それを打破したいのだと答えています。

仮設トイレは、トイレ機能を取って、あくまで家の構成の一部として使われ二つの仮設トイレをつなげることで、ツインベッドもおけるくらいの「タイニーハウス」が出来る計画だとか。実際の「トイレ」は家の外に別途設置されます。

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ボランティア募集中

現在彼らは、クラウドファンディングを利用した寄付金集めと同時に、ポータホームを裏庭に置かせてくれる人(もちろん家賃は発生します!)、このポータホームに住みたい人、ポータホームの建設に協力したいボランティアなどを募集しています。

わたしはタイニーハウスに住むこと以上に「建てる」ことに興味があるので、今度機会があれば建設のボランティアをしたいです。

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タイニーハウスムーブメントは「経済運動」でもある

タイニーハウスムーブメントについて調べていると、実は、この可愛らしい住宅のブームが決して単なる「おしゃれなトレンド」ではなく、環境問題や貧困問題と強く結びついていることがわかります。わたしはどちらかというと「小さいおうちめっちゃ可愛い♥」から入ったくちなのですが、YouTubeなどを見ていると、タイニーハウスや車生活をしている人のなかには、経済的な理由でその暮らしを選んだ人も結構いるのです。

もちろん「元Google」とか「元投資銀行」とか、さぞ稼いでいたんだろうな〜という人がすべてを捨て、タイニーハウスや車上でのミニマリストな生活に移行しているケースもあるので、何も「経済的困窮」だけがタイニーリビングの動機ではないと思いますけどね。ちなみに、タイニーハウスに住んでいる人の職業で圧倒的に多いのはライターですw あとはグラフィックデザイナーとかウェブ系が多いイメージです。

「ホームレスの定義」とタイニーホーム

ちなみに、今回の記事を調べていてもう一つ印象的だったのは「ホームレス」=路上生活者とは限らないということです。

ロサンゼルスには、いわゆる「ホームレス」が多い地域があり、そこには、薬物依存や精神疾患など治療が多い人々がサポートを受けながら暮らしています。しかし、最近ではホームレスの定義が広がっています。公な定義だけでも複数あるのですが、路上生活者だけではなく、友達や親戚の家に居候したり、車で寝泊まりしている人を含む人もホームレスと言われています。しかし、彼らは、仕事をして車を持っていたり、シャワーなどできちんと浴びているため、周りはまさか彼らがホームレスだとは思わないし、彼ら自身も「自分が『ホームレス』だとは思わなかった」という人も多いのだそうです。

LAタイムズによれば、カリフォルニア州立大学の学生の十人に一人はホームレス、そして五人に一人が十分な食べ物を得ていないという研究結果があるそうです。しかし、多くの場合彼らはそのことを恥ずかしく思っているため、その状況を人に言ったり、助けを求めたりはなかなかしないそうなのです。JKデバインが語る「スティグマ」というのはこういうことなのですね。

参考記事:

1 in 10 Cal State students is homeless, study finds - LA Times

上の記事の動画でUCLAで機械工学の博士号の学位を取りながら、車上で「ホームレス生活」を送っているアジア系学生にインタビューしています。彼は「初めて公にホームレスであることを言った」「恥ずかしがることではないと思うが、自分のなかにやはり恥ずかしく思う気持ちがある」と語っています。

タイニーハウスでの暮らしを選ぶ理由はさまざまですが、タイニーハウスを通じてさまざまな社会の姿や人々の哲学が窺い知れるのは、非常に興味深いです。

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