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アメリカで働くレズの徒然

危険地帯って本当?ロサンゼルスのワッツに行ってみた!

こんにちは!せっかくロサンゼルスに住んでいるので、ロサンゼルス旅行に役立つ情報を書いていこう!と心に決めたイチカワユウ(@yu_ichikawa)です!

ワッツに行ってきた

この前、ワッツに行ってきました。ワッツは、ダウンタウンの南、ロサンゼルス国際空港から二十分くらい東に位置します。サイモン・ロディアという人が一人で作り上げたモニュメント「ワッツタワー」がある街として知られます。ダウンタウンの南、コンプトンの北に位置し、治安がよくないことでも有名です。

ちょっと検索しただけでも、こんな感じ。

正常な精神をお持ちの方は、一生そんなところには立ち入らないだろう

 「WATTSに行ってみようと思う」と口にするや否や、周囲のアメリカンたちから、絶対にやめておけ! と釘を刺された。

「何をバカな事を言っているんだ。お前、死にたいのか?」 「しょっちゅう殺人事件が起きる場所だぞ。黄色い肌のお前が、涼しい顔で車を走らせてみろ、襲われて身ぐるみ剥がされるに決まっている」 「本当に死ぬぞ。あそこの住民は、生きるためなら簡単に人を殺すんだから」

ワッツ、すごい言われようです。ちょっと言い過ぎでは?と思って調べてみると、実際犯罪の件数は多いです。過去三ヶ月間を平均すると、一週間あたり、十三件の暴力犯罪、そして、22.5件の財産犯罪が起きているそうです。ランキングではコンプトンやハリウッドよりも上位にランクインしていました。

Violent Crime Ranking - Mapping L.A. - Los Angeles Times

この地図ではロサンゼルス郡の犯罪件数をリアルタイムで見ることができます。

わたしも、これまでで、ワッツに訪れた経験は一度しかありませんでした。

【アングラ】ロサンゼルスB級観光案内【サブカル】(1) ワッツ・タワー - 押して、押して、押し倒されろ!

以前訪れた時は曇っていて、当時将来について思い悩んでいたわたしは「それがよい」と思ったのだけれど、改めて訪れた週末は、これでもかというくらいの南カリフォルニアっぽい陽気。というか、むしろ猛暑w

105フリーウェイのウィルミントン出口を降りた瞬間に、リカーストアの前でたむろしている人たちや、車道をふらふら歩いている人がいて、一気に緊張が高まります。車を運転していて「怖い」と感じることはめったにないのですが、久々に感じてしまいました。わたしは、やたらと「ワッツは危険」「ワッツは怖い」と騒ぎ立てるのは好きではないのです。でも同時に「治安の悪い地域」では、車に向かってゴミを投げてきたり、車道をふらふら歩いている人に出くわす率が高いのも事実。慎重に運転していきます。

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現地につくと、そこは既に観光客で溢れかえっており……っていうのも大げさですね。それでも7〜8人いたんではないでしょうか?こちらでタワーを見上げているのは、白人ばかりでした。

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50年後もまだ息ができない

ワッツタワーの隣には、ワッツタワー・アート・センター美術館があります。中にはいると、「50 years and still can’t breathe(50年後もまだ息ができない)」と題した、ワッツ暴動50年を記念したグループ展示が行われていました。「can’t breathe(息ができない)」というのは、警察に殺されたエリック・ガーナーが最期に繰り返し訴えた言葉であり、「ブラックライブズマター(黒人の命は大切だ)」運動のなかの重要な言葉です。

で、なぜ「50年後もまだ息ができない」なのかというと、約50年前からこういう問題は続いているのです。1965年、白人のハイウェイ・パトロール(高速道路警察)が、道路上を蛇行運転していた黒人男性を尋問し、当人と弟・母親を逮捕。これを切っ掛けにワッツ暴動*1が発生し、警察官の襲撃から市街地における集団略奪や放火へ発展。州兵を投入して鎮圧する事態にまで及びました。当時、ワッツの住民はほとんどが黒人であり(今はラテン系の方が多い)、対して警察には黒人がほとんどいなかったため、警察のなかには人種差別的な意識があり、住民と敵対的な関係にあったことが、この暴動の理由として、背景にあったと言われています。

最近ブラックライブズマター(黒人の命は大切だ)運動の盛り上がりとともに、注目を集めている警察による黒人への人種差別と暴力は、何も最近始まったわけではなく、奴隷制、そしてジムクロウ法などから脈々と続くアメリカの人種差別の系譜のなかに位置づけられているものだということを改めて実感しました。

ワッツタワー・アートセンターの設立者、ノア・ピュリフォイの作品もありました。ワッツ暴動の翌年に、アーティストを集めて『66 Signs of Neon』というグループ展示を行なったピュリフォイの展示は、去年LACMAでやっていた時にも見に行きました。彼のスタイルは「ジャンク・アート」と呼ばれています。ゴミや不要物を使い、貼り付けたり組み合わせてアートを作るという手法は、ワッツタワーに影響を受けていると言われます。ワッツタワーには、瓶、割れたお皿、貝殻、タイルなど、身の回りのものがうまく材料として活用されており、それはピュリフォイの作品を彷彿とさせます。

ワッツタワーを建設したサイモン・ロディア自身はイタリア移民であり、特にこのタワーに政治的な意味は込めていなかったと思いますが、今もワッツに残るこのタワーは、今はワッツコミュニティの象徴として、そして「抵抗」する市井の人々のシンボルとして、独特な意味合いを帯びているような気がしました。

ちなみに、ワッツタワーはポケモンGOのジムであり、近所の美術館や公園も含めると3つくらいポケストップがありましたよ!

ワッツを変えたい!セレブシェフの挑戦

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さて、ワッツに来たのは、LOCOLというロイ・チョイのレストランに行くためでした。ロイ・チョイは、Kogiトラックで有名になり、近年次々とレストランをヒットさせている韓国系のセレブシェフです。最近、アジア系やさまざまなエスニック料理をモダンにアレンジしたような料理が流行っているのですが、それ系の草分けだと言えます。

そんな彼が今年のはじめに、ワッツにオープンしたのが、LOCOLです。既に様々なエリアに多様なコンセプトで複数の店舗を展開しているロイ・チョイですが、LOCOLに関してはコミュニティを再生するという思いを持っているようで、あえて治安が悪い立地を選び、ワッツにつづいては、サンフランシスコのテンダーロイン地区(夜歩いたことがあるけど、怖かったです)、北カリフォルニアにも同様のコンセプトでLOCOLをオープンさせているそうです。

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このような社会的な意義を持ったレストランは是非応援したいと思って、行きました。訪れたのは、週末のお昼過ぎ頃。店内には数人お客さんがいました。日本人女性らしいお客さんもっ!さてさて肝心のお味はどうでしょうかー。

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実際に食べたみたところ……味が濃い!

チリはまずくはなかったのですが、とにかく塩味が濃く、それ以外の風味が感じられませんでした。

横にあるのは、ベジタブル・ナゲット。これは、「ベジタブル食材」だからかもしれませんが、奇妙な食感に、酸っぱいソース(タバスコ?)で、どうも食べなれず。こちらもソースの塩味が濃かったです。あと、ソースに使っているナゲットが柔らかくなってしまって、食感も微妙だったので、ソースをサイドにしてオーダーすればよかったです。

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フライドチキン・バーグ。やや小ぶりのサイズのバーガー。ビスケット地のようなフラットブレッドに、フライドチキンと、コールスローがサンドされています。わたしはフライドチキンが好きなので楽しみにしていましたが、これも微妙。何なのでしょうねー。風味にパンチが足りない。ブレッドは美味しかったですが、肝心の具がものすごく残念な感じでした。

緑色のものは、ソウルフードの店に行くと必ず出てくるサイドディッシュです。一体何の野菜なのか?と思っていたら、コラードグリーンという、南部では一般的な野菜のようです。色や食感はちょっと高菜に似ています。食べるとほんの僅か苦味があり、ケールのような感じもありますね。わたしは、食べ慣れているわけではないので、一体この味付けが美味しいのかどうかわかりませんでしたが、正直な感想を言うと「うーん」という感じでした。

ジュースはまあ普通に美味しかったです。暑かったしね。

デザートは、バニラとチョコのアイスをミックスしたなかに、キャラメルソースが入っていて、上にアーモンドスライスがふりかけてある。これはめっちゃ美味しかったです!

…というわけで、一番美味しかったのは「アイス」でしたorz 前コンプトンにあるソウルフードのレストラン行ったんですが、そっちの方が素直に美味しかった。なんなんですかねー。

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LOCOLの店内にはブラックライブズマターの張り紙などがあり、「地域に必要なのは警官ではない」というようなメッセージが掲げられていました。ダウンタウンなどで行われる抗議活動とはまた違う、日常に根ざしたメッセージが、問題の根深さを改めて浮き彫りにしているように感じました。

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というわけでものすごく観光客っぽく、表面しか見ていないのですが、それでもいろいろなことを考えさせられたワッツ訪問でした。普通のロサンゼルス観光はもう飽きた、という方は、ぜひ一度ワッツを訪れてみてください。サンタモニカやビバリーヒルズだけではわからない、アメリカのニュースがよりリアルに感じられることと思います。あっ、とは言え、ワッツは事実として犯罪の多い地域です。必ず昼間に安全な格好で、ガソリンをしっかり入れた車で出かけるようにしてくださいね(バスや電車などで行こうとしない方がよいです)。

yuichikawa.blog.fc2.com

  • Watts Towers Arts Center 1727 E 107th St, Los Angeles, CA 90002

  • LOCOL

1950 E 103rd St, Los Angeles, CA 90002 LocoL

yuichikawa.hatenablog.com

Battle of Los Angeles

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*1:1992年のロサンゼルス暴動とはまた別です!