#あたシモ

虹の向こう側

『ヨイコノミライ』に描かれてる“闇”は、オタクだけの話じゃないね

ヨイコノミライ』が話題になっていたので読んだ。

togetter.com

あらすじ

まじめに活動しない高校漫研に所属する井之上広海はある日、いつも保健室に通いつめている青木杏という女子生徒にそのことを相談すると本格的な部誌を作ることを提案される。

広海と部員は早速部誌作りにいそしむが、杏は裏で漫研のように口先ばかりで何もしないように見える者たちに対する「夢つぶし」を行っていた。部誌作りはうまくいかず、更に杏の暗躍により漫研部員達の心の闇が浮き彫りになっていく。

Wikipediaより

高校の漫画研究部を舞台にした人間ドラマ。「オタクってこうだよねー」というのをやや大げさに戯画化してある&人間関係がかなりドロドロの展開なので、中には不愉快に思う人もいると思う。しかしわたしは楽しめた。

外見一つで簡単に「ときめき」を覚える男。 現実を自分に都合よく捻じ曲げながら、現実との直面を避ける女。 自分では何も生み出さないのに、批評家気取りの男。

いるいる。いるよねぇっと。

この漫画が最近注目を浴びた理由は、創作を志す人々の世界の闇というか、ダークさの描写ゆえだと思うが、漫画家という商売の人がここまで漫画家志望の世界を客観視して書いているのはすごいと感じた。

わたしは、いわゆる「オタク文化」自体にはあまり詳しくないので、オタクネタの部分に共感はできなかった(一輝と駿とか……わからんよ)。しかしそんなオタクたちのノリを「外部の目線」で冷徹に見つめ、もっと一般的な人間の闇や弱さとしてネタ化しているところが非常に面白かった。

登場人物のなかで、一番興味を抱いたのは、平松さん(togetterの引用でも、彼女の「嫉妬」が中心となって紹介されている)。オカルト、漫画がうまい友人に嫉妬、恋愛も下手、前世、人の気持がわからない……といろんな意味で「痛い」子だが、その吹っ切れっぷりがよかった。彼女は、その語り口調から、行動、思考回路、全てにおいて戯画化された「オタク」のそれなのだが、その本質的な特徴である「自分に都合よく事実をゆがめるエネルギーの強さ」はオタクに限った問題ではない。これは、「色恋詐欺詐欺(Catfish)に引っかかる人」にも通じるものがあるな……。深刻なものは、病名が付けられて、治療の対象になったりするのだろうが、どこからが「本当におかしい」と決めつけるのは難しい。

あと、彼女が執着する相手である同人作家さんとの出会いを描いた番外編も終了されてるのだが、これはほっこりするよい話だった。うう。「ちょっとよい話」から始まって「怖い話」になっちゃうの、悲しいよぉ。

あともう一つのこの漫画から読み取れるのは「マニピュレーター」と呼ばれるような人(作品内では青木さん)の危険性だ。これも、オタク界隈に限らない問題。彼らの特徴は、言葉巧みに人の気持ちを操る(マニピュレート)すること点だ。頭の回転がはやく、様々な人を批評したり分析したりようなことを言いながら、「あなたは違う。あなたのことは認めているから言える」などと妙に自尊心をくすぐって「この人に認められたい」と思わせるような術に長けていたり、自分の魅力を使って様々な人を魅了しながら、「あの人には気をつけた方がいいよ」などと猜疑心を煽るようなことを言いながら、徐々にグループのなかの人間関係を壊していくんだよね。頻繁に嘘をついたり、言うことがコロコロ変わったり、また、妙に性的に積極的だったりするのも特徴。自分の場合は、かつてこういうタイプに振り回されまくったのでいろいろ学び、それからは「初対面で異様に魅力的な人」に対しては非常に懐疑的に見るようになった。←可愛くて派手で面白くて人を引きつけるような子の方が「地雷」が多い気がするのよね。今では地味だけどじわじわくる魅力の方に惹かれる。

可愛くて巨乳だけど、行動は危険な青木さん。ヨイコのミライでは、登場後は完全にマニピュレーターだったが、徐々に彼女の行動の背景にある家庭事情も明かされ、ラストではパワーダウンしてた印象。登場人物の幸せを願うなら、あの展開でよかったのだろうが、お話の展開という意味では、もっとキレたまま突っ走って欲しかった気持ちはある。

あとはリストカットとか共依存とかストーカーとか、オタクの世界に限らないいろいろな「闇」が書かれていてよかった。痛いんだけど、こういうリアルさのある話は好き。


作中の「平松さん」のエピソードについて興味を持ち、調べてみたところ、同人界を中心に、「押しかけ厨」というのは実際に多く発生していたようだ。

押しかけ厨 http://homepage3.nifty.com/kazano/oshikake.html

G県厨 http://dic.pixiv.net/a/G%E7%9C%8C%E5%8E%A8

↑これは、これ自体一つの作品!?ってほどの衝撃を受けた。 事実は小説より奇なり……!

他にもいろいろな「押しかけ」の事例が載っている。 http://sasakama.s13.xrea.com/index.html

押しかけした側の気持ち 
http://nazonews.seesaa.net/article/321967274.html