クリスマスにやっていたサイエントロジー教会
クリスマスは、アメリカにとって「お正月」みたいな季節だといつも思う。ほとんどのビジネスは閉まり、街は静まり返る。
その年のクリスマス、恋人もいなければ、一緒に過ごす家族もいなかったわたしは、レズビアン友達二人と一緒に「開いているケンタッキー・フライド・チキン」を求めて街中をドライブしていた。
ハリウッドの近くでようやくフライドチキンにありついて、その後、家に向かうためにハリウッド大通りをドライブしていた時、わたしたちの目に止まったものがあった。
「SCIENTLOOGY」
それは、サイエントロジーの教会だった。
荘厳な雰囲気の教会のなかに、巨大なクリスマスツリーが飾られている。サイエントロジーでもクリスマスツリーは飾るんだ。でも、サイエントロジー教会は、クリスマスの当日にも開いていた。
なかは当然ガラガラだ。
ちょっと行ってみようよ! あまりに暇だったわたしたちは、サイエントロジー教会に行ってみることにした。
サイエントロジー教会内部ではサンタ帽を被ったスタッフが、メリークリスマス‼と迎えてくれました。ツリーもあったよ★てか皆さんコーヒーとかクッキーすすめられたり親切すぎで恐ろしい。。。 http://twitpic.com/3jqc12
— イチカワユウ (@yu_ichikawa) 2010, 12月 26
↑当日の浮かれたツイート。
サイエントロジーの勧誘手法「無料の性格診断」
サイエントロジーは無料で「無料のストレステスト」を受けられるというのが売りで、いろんなところで、宣伝していた。もちろんそれは彼らの「勧誘」の第一歩なのだということは皆知っているのだけれど、それでも、いったいどんなテストなのか?自分にはどんなストレスがあるのか?どんな結果が出るのか?興味があった。
日本でも、駅前とかで「手相の勉強をしているんです」と声をかけてくる人がいる。そんな時「これって結局何かの勧誘なんだろうな」と思いながらも、純粋に「さて、自分の手相には出ているのか」という興味で見てもらったことはないだろうか?その時の心境はそんな感じだった。あと、本当に暇だったしね。
教会のなかに入って「テストを受けたいんです」というと、紙と鉛筆を渡される。ブースに座って、マークシート式で200問の質問にイエス・ノーで答える。なんか、試験を受けているみたい。質問の中身はこんな感じ。
- あなたは考えなしに発言なしして、あとで公開することがありますか?
- 失敗することは、あなたにとって難しいことですか?
- 数日間にわたってとても活動的なことがありますか?
- あなたの行動は他の人からみて予想が難しですか?
……。
実際には、これは「ストレス診断テスト」ではなくて「パーソナリティーテスト(性格診断)」だったみたい。簡単かと思ったら意外と時間がかかる。ふぅ。
結果はコンピューターから出力されるのだが、教会の人と1対1になって、またブースで説明を受ける。鉛筆でぐりぐりと結果の紙に書き込みをされながら「あなたの弱みはここですね」みたいな分析をされる。「ほら、ここが凹んでいるでしょう?」でもこれこれこういうセッションを受けると、その偏りが治って、もっとバランスがとれた人間になれますよーという感じ。
↑サイエントロジーのコース受ける前(下)凸凹が多いが、サイエントロジーのコースを受けた後(上)よりバランスが取れている。ということらしい。勧誘きたきた。わたしはそれくらいで、あまり勧誘されなかった。
ちなみに、その時受けた3人のパーソナリティーテストの結果。当たり前だが、皆図形が違う。
残りの友達二人はかなり長い間説得されていた。そしてその後も何度も電話がかかってきて「あなたこのままでいいんですか!変わりたくないんですか!」的な勧誘をされたそうな……。なんでわたし勧誘されなかったんだろ……。
トム・クルーズのビデオが観放題!
友達がコンサルテーションから出てくるのを待つ間、わたしはロビーに設置された機械で、かたっぱしからビデオを見た。もちろん日本語字幕を選べる。「トム・クルーズが見たい」程度の理由だったが、実際トム・クルーズが出てきた時は感動した。
動画はかなりたくさんあったんだけれど、特にこの二つのビデオが印象的だった。
- 麻薬について
- 精神科医について
一つは、麻薬について。わたしは当時、薬物に興味があり麻薬は非犯罪化されるべきだと考えていた。しかし、サイエントロジーは麻薬については「ダメ・絶対!」な考えのようだった。しかも、大麻も他の薬物も全部一緒くたにしてるのね。(あーそれ系ですか……)って思ったのを覚えている。
もう一つは、精神分析や精神科医について。わたしはよく知らなかったのだが、サイエントロジーは精神科医や薬物治療について否定的な考え方を持っていた。うつも、ADHDも、ありとあらゆる疾患が「サイエントロジーで治る」みたいな動画を見て「うわー、こういう考え方って危険だわー」と呆れた。
ロビーにはコーヒーとクッキーも置いてあり、割りと自由にウロウロしたりビデオを観たりできて楽しかった。
日本語の書籍も充実
売店コーナーにはさまざまなL・ロン・ハバードの本があり、正典的著書『ダイアネティックス』だけではなく、いろいろある。そして、それらが驚くほど多くの言語に翻訳もされていた。日本語版もある。
「サイエントロジーってお金があるんだなー」と思ったのを覚えている。
もう一人の友達はL・ロン・ハバードの本を買っていた。『仕事で成功する方法』とかそれ系だったかな。わたしも借りて読んでみた。しかし、直訳体の日本語が非常に読みづらく、ちっとも頭に入ってこない。
(なんで、こんなのが人気なんかな?っていうか、誰がこの翻訳したんだろう?)わたしはサイエントロジーに対する興味を失った。
しかし数年後、サイエントロジーは意外な形でわたしの前に再び姿を表すことになる。
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