火曜日の夜8時から30分間、ABCチャンネルで『フレッシュ・オフ・ザ・ボート』というアジア系コメディをやっています。
Fresh off the boat(略してFOB)とは、「船から降りたて」つまり、アメリカに来たばかりの移民一世(特にアジア系)を指すスラングです。これは、台湾系アメリカ人のセレブシェフ、エディホアンの書いた同タイトルの回顧録を原作としたコメディで、レストランをオープンするというアメリカンドリームのために90年代にワシントンDCからフロリダ州オーランドに引っ越したホアン家が主人公です。アメリカンドリーム実現のためにいろんなものを犠牲にしたと思っている台湾訛り丸出しの親と、アメリカに溶け込もうと必死の子供たちが生み出すドタバタ劇が描かれています。
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アメリカのテレビドラマには、ラテン系の家族はかなり出てくるようになってますが、アジア系の出演者、ましてやアジア系の家族を描いたものはまだまだ少数派。
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1995年に終了したマーガレットチョーの『オール・アメリカン・ガール』以来、なんと20年間も(!)アジア系のテレビ番組がなかったのでアジア系アメリカ人のコミュニティーではこのテレビ番組について、皆がわくわくしています。特にわたしの友達は台湾系アメリカ人がおおく、皆エディホアンと同世代なので、フロリダとLAの違いはあるにしろ、かなり「あるある」らしいです。
と言ってもこの番組ははじまる前から手放しで支持されてたわけではありません。はじまるまでは、アジア系をバカにしすぎてるんでは?とか、アジア系コメディって果たして面白い、笑えるものになるんだろうか?とか、かなり心配したり、懐疑的なアジア系アメリカ人も多かったのです。少数派としての自分たちが取り上げられるのは、嬉しくもあるけど、ちゃんとフェアな形で描かれるのか、不安でもありますよね。これは、ゲイとかレズビアンがマスメディアに登場するときの不安と似ているかもしれません。
番組が始まる前に行われた記者会見で、アメリカ人のジャーナリストがこの番組についてバカな質問をしたことも、 この番組が果たしてアメリカでちゃんと受け入れらるかどうか疑わせる原因となりました。
「自分はアジア文化が大好きです。てゆーのは、お箸のことなんですが。お箸はドラマに登場しますか?それとも、もっとアメリカナイズされた感じになりますか?」
でも、結果的にはこのテレビ番組はなかなか成功しているようです。imdbで8.3/10、rotten tomatoでも90%とレビューもかなり高評価になっています。
今日は、ちょうどゲイネタで、ゲイでもありアジア系でもあるうちらにとってはかなり笑える回でした!お母さんの元カレが遊びにくるんですが、カレはどう見てもゲイ。←ゲイダー壊れすぎのお母さんは気づかなかった。またこのお母さんはゲイダー壊れすぎなので、落ち込んだ時一人で飲み行くバーがレズビアンバーだったりするんです。笑。お母さんかわいい。そして、ケチ。←笑。
興味がある人は観てみてくださーい。わたしは、ぶっちゃけ、こーゆーのより『デス妻』の方が好きなんですが、一応アジア系の端くれとして、メインストリームメディアにアジア系の表象が少なかったりステロタイプのものしかないのは問題だと思うので、この番組は応援してます。
ちなみに、父親を演じているのは、映画『インタビュー』で北朝鮮の金正恩を演じた韓国系アメリカ人の俳優、ランドル・パークです。
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追記:日本では『フアン家のアメリカ開拓記』という名前でFOXスポーツ&エンターテイメントで放映されています。 公式ページはこちら。 フアン家のアメリカ開拓記|FOXスポーツ&エンターテイメント|FOX ネットワークス