#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

米:「独立宣言」で怒り出す、恥ずかしい「愛国者」たち

USA

7月4日はアメリカの独立記念日でした。

アメリカに引っ越してきた直後は「深く考えずアメリカばんざーい!」と無邪気に祝福していたわたし。しかし、「独立記念日」の歴史を知るにつれ「そうだったのかッ!」ってショックを受けたことがあります。

「白人男性」のための独立記念日

前回、[オレゴン州が設立した当時のレイシストな状](http://www.atashimo.com/entry/oregon)況などを紹介しましたが、実は、このようなメンタリティーはなにも、オレゴン州に限ったことではありませんでした。

オシャレな インテリアに レプリカ風 アメリカ独立宣言 ポスター 52×42cm

トーマス・ジェファーソンが起草し、1776年に、5人の委員が署名したアメリカの独立宣言は「全ての人間は平等に造られている」と唱え、不可侵・不可譲の自然権として「生命、自由、幸福の追求」の権利が謳われています。しかし、実はこの理想は「白人男性」のみを対象としたものでした。黒人や女性は「平等」の枠外から外されていました。だって、彼らはmen(人間)じゃないし!ってことです!これは知った時、結構衝撃でした。

トーマス・ジェファーソンを初めとする多くの政治家は、奴隷を所有していましたし、奴隷制は1865年まで続きました。また、アメリカで女性に参政権が認められたのは1920年のことでした。

もちろん、だからといって、この「独立宣言」の内容の大切さが損なわれているわけではありません。公民権運動も、女性参政権運動も、皆、この独立宣言で謳われた「平等原則」をテコにして主張され、その対象を押し広げてきたわけですからね。

そういう意味ではやっぱり、独立宣言は今もアメリカの基盤となる考えを示した偉大な文書なのです。

独立宣言を聞いて「プロパガンダ」だと怒り出す人

そんな「独立宣言」ですが、今年は面白い事件がありました。アメリカにはNPRという公共放送がありまして、過去29年間、独立記念日に、独立宣言を読み上げて放送してるんですよね。そして、今年はそれをツイッター上でもやったわけです。ツイッターは、一度に140文字しかかけないので、NPRのアカウントは延々と少しずつ独立宣言をツイートしていったんですね。

ツイッター上は、これが「独立宣言」だと気づかず、これをトランプ大統領への批判と捉えた人もいるらしく、さまざまな反応が集まりました。

「NPRのアカウントが乗っ取られた」

「NPRが革命を呼びかけている」

「フェイクニュースだ」

「プロパガンダだ」

「他所でやれ」

「NPRが政治的な立場を明らかにするのはよくないのでは」

「やれやれ」

いやいや、あなたたち、自分の国の独立宣言もわかんないの?Make America Great Againって歴史も知らずに言ってるの?やっぱりトランプ支持者って

上のようなツイートをしてしまった恥ずかしい人々の多くは、後にこれが「独立宣言」だと気づき、自分のツイートやアカウントを削除しています。なかには「間違えたよ!でも平均的なアメリカ人は、あれが独立宣言だなんて気づかないよな?」と間違いを認めているアカウントもありました。

皮肉なもので、外国人がアメリカ市民権を取る時って、簡単なテストがあるのですが、これに独立宣言についての問題がでるので、外国人は結構独立宣言の内容とかについて勉強してるんですよ。「平均的なアメリカ人」の知的レベルはわかりませんが、もしかしたら、外国籍から市民権を取った人の方が、独立宣言やアメリカの成り立ちについて詳しい可能性ありますね。笑。

No, NPR is not trying to start a revolution - CNN.com

Some Trump supporters thought NPR tweeted ‘propaganda.’ It was the Declaration of Independence. - The Washington Post

でも、日本でも、仮に憲法の条文が読み上げられている時、「あっ憲法だ」って気づけない人って、結構いるのかもしれません。わたしも途中の条文言われてもわかんない気がしてきた。

↑芦部憲法がKindleで読める時代っ!

ま、独立記念日は花火とバーベキューだよね?

といっても多くのアメリカ人にとって、独立記念日は「花火を見て、肉を焼く日」です。

BBQ 2011

わたしも、友達の家で花火を見ましたよー。楽しかったのですが、日本の花火が懐かしくなりました。単にわたしの好みかもしれませんが……日本とアメリカの花火は全然比べ物になりません。「お寿司」以上に差がある気がします。これから花火大会の季節。ぜひ楽しんでくださいね。

www.atashimo.com

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