突然ですが、わたしは薄っぺらいキーボードが嫌いです。かちゃかちゃと、タイプライターのように一文字一文字確かな手応えを感じながら文字を打ち込んで行くのが好きなのです。
技術の進歩により、パソコンはより高速に、より大容量に進化していますが、キーボードのクオリティーという点ではぶっちゃけ退化しています。もちろん、コスト低減という面では大きな技術を遂げたのだと思いますが、手にした時の高級感や、耐久性という面では、昔ながらのキーボードの方が優れています。
最近、そんな「昔ながらのキーボード」の人気が高まっています。なかでも、カルト的人気を誇るのがIBMの作っていた「モデルM」というキーボードです。
伝説のキーボード「IBMのモデルM」
既に生産終了しているヴィンテージのキーボードですがバックリング・スプリング機構を採用したつくりは、堅牢で、20年もの30年経った今も、USB互換ケーブルさえ用意すれば、最新のパソコンと一緒にしっかり使うことができます。打鍵音はこんな感じ。
押し心地はやや硬く、かなり金属的なカチャカチャ音が特徴的です。
日本語でもいろいろな情報が出ています。
魅惑のレトロ・キーボード「IBM Model M」をビジネスにした男 « WIRED.jp
プリンストン大学のITマネージャーは、IBMのモデルMに惚れ込んで、買い集めるうちに、中古のモデルMを取扱うオンラインショップClicky Keyboard社を設立。キーボードを清掃、整備して、ファンに売り続けています。
エルミタージュ秋葉原 – 巨人IBMが生み出した至高の鍵盤“Model-M” 「1390131」の麻薬的な魅力
麻薬とか魅惑とか、キーボードを表しているとは思えないような単語が飛び交ってますねw
IBMのモデルMは既にヴィンテージですが、IBMでキーボードを作っていた部門が「Unicomp社」として独立。こちらの会社では今も昔ながらのIBMモデルMっぽいキーボードを作り続けています。新品のキーボードが欲しい人には嬉しいですね。オリジナルのIBMモデルMではできない、USB接続ができますし、Mac用もあります。
↑こっちは、コンパクトなMac用モデル。
しかし、UnicompはIBM時代からの古い金型を使っており、バリが残っていたり、キートップが歪んでいたりするため、日本の代理店ダイアテックは消費者に注意喚起を呼びかけています。まあこれも、メイド・イン・アメリカ!て感じの無骨さと言えなくもないですし…IBM直系の末裔が手頃な価格で手に入る点がたまらないかもしれませんが……。
実際Unicompの主力ビジネスは、銀行や学校向けのカスタムキーボードでしたが、B2Bキーボードの注文が減るにつれ、彼らのビジネスは苦境に立たされているようです。マニアックな消費者向けのマーケットは小さい上に、Unicompのキーボードは頑丈で一度買うとなかなか壊れないのも、彼らの苦境に拍車をかけているのです。皮肉なものです。
わたしは、最近かちゃかちゃ系のキーボードが欲しくていろいろ検討していたのですが、同じくIBMのモデルMからインスパイアされたメカニカルキーボード「Das Keyboard」などのセクシーさと比べると、Unicompはブランディングに微妙に失敗している気がしてなりません。
↑キーボードの上の印字がない、Das Keyboardの「アルティメート」モデル。かっこよすぎるでしょ!Unicompは技術の特許などを持っているので、もう少しブランディングとかマーケティング頑張ったら、化ける気がするんですけどね……。
おまけ
薄っぺらい最近のキーボードでも、タイプした音で楽しめる、さまざまなウェブアプリを紹介します。
IBM Model M Keyboard Simulator IBM Model Mキーボードの音が楽しめるシミュレーター。 かちゃかちゃ音がでないキーボードを使っている人でも、キーボードのレジェンド!な「IBMモデルM」の音を楽しめます。
Patatap タイプすると!面白い!子供とかも楽しめそう。
Typatone 木琴的な感じで楽しいです。