「シンデレラ」をトランスジェンダーものとしてリメイクした動画が公開されています。
ストーリー
ジェイミーは、働きものの女の子。
毎日、掃除をしたり、意地悪な兄たちの車やバイクを整備したり、こきつかわれ、いじめられていました。彼らには妖精のゴッドマザーがいて、兄たちの望みをすべてかなえ、甘やかしましています。しかし、この妖精、ジェイミーには、辛くあたりました。
ジェイミーには、一つの願いがありました。それは「自分の肌のなかで心地よくなること」。
ジェイミーが心のなかで感じている気持ちは、鏡のなかでの姿とは一致しなかったのです。
ジェイミーは兄たちに、彼らの洋服を貸してもらえるよう、そして髪を切ってくれるよう頼みました。しかし、いじわるな兄たちは「服は貸さないよ」「僕のハサミをつかってはない」と言うのでした。
そんなジェイミーにも友達はいました。天井裏にいるネズミたちです。
ある冬の日、ジェイミーの家に王様からの舞踏会への招待状が届きました。
しかし、兄たちは、言いました。お前なんて行けるわけないだろう!
「お前は着ていく服なんてないだろう!」
「髪の毛も変だし、いつも埃とアブラまみれじゃないか!」
兄たちはジェイミーを置き去りにして、舞踏会へとでかけてしまいました。
「でも、自分だって、行っていいはずだ。そのためには何が必要だろう。まずは移動手段だ……それに、着る服と……それに、兄たちに見つからないように変装しなくては」ジェイミーは、かぼちゃを改造し、車をつくりました。そして、スーツを自分で作り、ネズミたちの力を借りて、髪の毛を切りました。
そして鏡を観たジェイミーはとても幸せでした。しばらく沈黙していたジェイミーは、ついに「自分が誰か」を知るのです。
「僕は……男の子だったんだ!これまでもずっと!」
ネズミたちはそんなジェイミーを抱きしめます。
いよいよ舞踏会。多くの人が舞踏会を楽しんでいました。皆着飾って、ダンスしたり食べたり、笑っています。しかし、一人だけつまらなそうにしている人がいます。お姫様でした。
そんなお姫様に話しかけてるのは、怠け者の兄たちです。
「ぼくらには、妖精のお母さんがいて、どんな願いでも叶えてくれるんです」
「全然働かなくていいんですよ」
兄たちの話を聞いた、お姫様はただ笑って立ち去りました。お姫様はもうパーティーにうんざりしてたんです。
その時、かっこいい車が停まり、ジェイミーが登場しました。
「踊ってくれませんか?」
皆は驚きましたが、お姫様はすっかりジェイミーと踊りました。ジェイミーは全てを正直に話しお姫様はジェイミーのお話にすっかり夢中になりました。
「車もスーツも自分で作ったの?すごい!」
そしてお姫様はジェイミーの頬にキスしましたとさ。
最後、はしょってしまったので、興味ある人は見てみてください。シンデレラの話にトランスジェンダー要素いれるだけだと、ヘタしたら、ものすごいおふざけのものとかもできると思うんですが、この「ジェイミー」は、主役がトランスジェンダーなだけでなく、「魔法に頼らない勤労」や「正直さ」の価値を訴える、ごくごくまっとうで真面目な話になってます。
「お伽話」が子どもに与える影響
実際にこの動画に出演したルイス・ルイスハンコックさんもトランスジェンダーですが「子どもの頃は、トランスジェンダーについてわからず、ただ自分の気持ちしか知らなかった」といいます。
「ジェイミーのように、クールで前向きで、子どもたちが尊敬できるようなキャラクターを作ることで、きっと世界を変えられると思ったんだ!」*1
子ども向けの童話や昔話にかぎらず、物語のなかでマイノリティーがそもそも存在するかどうか、そして、彼らがどんな風に描かれているかは、わたしたちのなかに深く刻み込まれ、自尊心や偏見などに深く影響していると思います。この動画では、ジェイミーが、外見を変え鏡を覗き、「これが自分だ」と認識する感動的な瞬間の描写が丁寧に描かれています。こういう「自己を見出す」というエモーショナルな瞬間を、物語で見られるというのは、マイノリティの子どもにとって、大きな助けになることでしょう。
このように「多様なストーリー」を生み出し、語り続けることは、きっと次の世代にとって、良い影響を与えると信じたいです。