#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

今日体験した人種差別の話

今日、公園でランニングをしました。わたしは音楽を聴きながら走っていたのですが、Fちゃんがあることに気づいて、憤慨しています。

 

「あの男、うちらとすれ違う度に、ミン!ガオ!って言ってる」

 
はぁ?
 
最初意味がわからず、なんでFちゃんがそんなに怒っているのかも謎だったのですが、どうもこのミン!グァオ!とかってのはチン!チョン!みたいなのと同様、中国語を真似た差別的な言葉らしいのです。
 
日本で育った日本人からするとピンと来ない部分もあると思うのですが(わたしもピンと来なかった)、アメリカでは、このようなモノマネはアジア系への差別としてなされる典型的な言葉であり、これまでも、「チンチョン問題」は何度も問題になり、炎上を繰り返してきました。
 
 UCLAを自主退学にまで追い込まれた学生がいたり、レシートに書かれた「チンチョン」が原因で一億円の訴訟になったこともあります!
 
わたしは半信半疑でイアホンを外し、その男性と連れの女性とすれ違うことにしました。
 
男性は背が高く、女性は携帯で話しています。そしてすれ違う瞬間。 
 
男は、まっすぐ前を向いたまま、しかしはっきりと、
 
 
「がぁ〜お!」
 
 
と言ってきたのです。   
 
 
文字にするとわかりづらいんですが、明らかに中国語のアクセントを真似たものです。Fちゃんの指摘は気のせいではなかった。
 
カチン←切れた音。
 
わたしは、通り過ぎようとする男性を呼び止めて「すみません、今なんて言いました?」と聞きました。   
 
すると男性は突っかかるように、「え?こんにちは!と言ったんだよ。僕は社交的な人間なんでね 」と言って来ました。←目が笑ってない。
 
大嘘つきっ!

 男性は、わたしたちと目を合わせてもいなかったし、そして彼の言葉は「ハーイ」でも「ハロー」でもありませんでした。

 
わたしはこの公園によく来るし、知らない人とすれ違いざまにハーイ!とかハローなんてのは、よくある話です。今日も、実際、その男性以外の人で挨拶した人はいました。
  
Fちゃんが「あなた、過去2回私たちとすれ違う時に『みんがお!』って言いましたよね?」と言うと、男性はそれを無視して、覆いかぶせるように「僕はジョン!君は?」と半ば喧嘩腰に手を出してきました。連れの女性は携帯を耳に当てたままニヤニヤしています。
 
ムムムムカつくぅーと思いましたが、喧嘩がしたいわけではなかったので、とりあえず握手。また別の方向へ歩き始めたのですが、わたしは「えーっ!こーゆーことって本当にあるんだ!」と呆然としてしまいました。もう走るどころじゃありません。
 
それまでも、ニュースなどでチンチョン!ネタは耳にしていたし、「ハモサビーチでこんなこと言われた」とか、間接的に体験談は聞いたことあっても、直接体験するとまた違いますね。
 
厳密には、昔も一度そーゆー差別に遭遇したことがあるのですが、鈍くて気づかなかった。
 
 
だから今日もはじめは正直言って「Fちゃんってば神経質だから気にしすぎなんじゃないー?」と内心思ったりもしたのですが、本当にガァ〜オ!と言われた時の衝撃は物凄かったです。  
 
わたしはアジア人だけど、日本で多数派として育ったので、あからさまな人種差別についてはほぼ経験がなかったのです。
 
わたしの住む南カリフォルニアはアジア系が多く、その公園で走っているのもアジア系がものすごく多いんです。中国語とか韓国語、日本語で話しながら散歩してる人も多いです。ラテン系も、黒人もいるし、白人の方が少ないかもしれませんね。そんな南カリフォルニアで、こんな、アジア系だらけの公園で、こんなこと言う人いるんだ?ってゆーか、すれ違うアジア系全員に言ってるの?←すごい数になるぞw それで楽しいの?  
 
 
歩き続けること10分。また例の2人組が近づいてきました。
 
 
わたしはさりげなくビデオをセットし、また男性がミン!と言うところを録画するぞ!と思いながら近づいて行きました。   
 
 しかし、彼は今度はミン!とは言わず、少し手前から「よい1日をー!」と喧嘩腰に吐き捨てるように言って立ち去って行きました。
 
あームカムカ。でも、ほとんどの人がこの嫌がらせを無視している(もしくは気づかない)であろう中「やめてくれる?」とささやかながら立ち向かうことができただけでもよかったのかな?と思います。
 
 動画はのせませんが、写真は一応フィルター入れた上で公開します。
 
 
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チンチョンネタで差別されているのは、中国人だけではなく、アジア系全体

 
さて、この話には続きがあります。
 
わたしはこの体験を誰かに伝えたくて、友達にちょっと聞いて聞いて〜、と泣きついてました。
 
すれ違う瞬間に「短小!」って言ってやればw とか、いろいろ楽しいアドバイスももらえたのですが、話を聞いてくれた一人の日本人の友達が
 
「それはひどいね〜!自分は(中国人じゃなくて)日本人だって言ってやった?」
 
と言ってきたのです。
 
……えーっと、そこ?  
 
いやいやいやいや、怒るとこ、そこじゃないだろー。
 
わたしが、ミン!ガオ!やチン!チョン!と言われて抗議するとき、それは、アジア系全体に対する差別に抗議してるのであって、自分が中国人だと思われたことに対して怒ってるわけではありません。もちろん、アジア系といえば中国人と思ってるようなアメリカ人に、いやいやアジアにもいろいろいますよ〜と地理教育をしてあげるのはよいアイデアなのかもしれないけど。
 
今日のような路上のからかいのケースは、わたしが中国人ではなくて日本人だと知ってたら、がお!と言ってこなかったかと言うと、それは違うと思うんだよね。国籍ではなくて、アジア系の見た目に見えることに対して嫌がらせしてるわけだから。
 
日本人が思うほど、アメリカ人は、日本人と他のアジア系を分けて認識してません。「中国人や韓国人は差別されてるけど、日本人は特別」何てことはなく、中国人や韓国人が差別されるようなレイシズムかはびこる土壌では、ほとんどの場合日本人も差別されています。
 
それに、仮に中国人前提で差別的なからかいをされたとき「自分は中国人ではない」と反論する、なんか違うよね。自分がもし中国人だったら、そーゆー言動は許されるの?違うでしょ。わたしが何人だろうと、やっぱりそれは差別的だし怒るべきでしょう。
 
わたし自身、以前は、チンチョン系の差別が話題になるたび、中国語話者でない自分にはその失礼さがいまいちピンと来なくて、なかなか自分ごととしてとらえられなかったのです。しかし、結局、人種差別をしてくるレイシストって「中国人」に見える人(アジア系)を全員対象にしてくるので、結局それに対しても声をあげなきゃいけないんですよね。
 
自分はゲイじゃないから、ゲイ差別は関係ないやと思ってても、実際は「ゲイに見える」「ゲイっぽい」という理由で、ストレートも被害にあうのだから、ストレートも、ホモフォビアの当事者なんだよという話と似てます。