カトリックの精神的指導者であるローマ教皇フランシスコが、宇宙の始まりについての「ビッグバン仮説」や人類の進化についての「進化論」は神聖なる創造主である「神」の役割と矛盾しないと述べた*1。
「創世記を読む時、私たちは、神をまるで何でもできる魔法の杖を持つ魔術師であるかのように想像してしまう危険を犯してしまうが、それは違うのだ」
カソリック協会の教えは実は進化論とさほど対立してきたわけではない。1950年のローマ教皇、ピウス12世は、カトリックの教えと進化論に相反するところはないと宣言し、1996年には、ヨハネ・パウロ2世がこの宣言を改めて支持した。
もちろん、全てのローマ教皇がそのようなスタンスだったわけではない。先代のローマ教皇であるベネディクト16世は、インテリジェント・デザイン(「知性ある何か」によって生命や宇宙の精妙なシステムが設計されたとする説)を支持しているようでもあった。ベネディクト16世と親しい実力者である枢機卿クリストフ・シェーンボルンは2005年、ニューヨーク・タイムズに寄稿し、進化論を否定している。
しかし今回のフランシスコの宣言によって、カトリック教会が進化論を否定しないことが明確になった。フランシスコはまた、2013年には同性愛者に対し「裁く立場にない」と発言*2、少しずつではあるものの、カトリック教会の姿勢が柔軟化していることが話題になった。「裁く立場にない」だけだと、ぬるく感じるかもしれないけど、同性愛は罪であるとか地獄に堕ちるとか言う認識がデフォルトだったことを思うとものすごい変化!←それでもまだ同性婚には反対(パートナーシップ制度には賛成)で、女性の聖職者に対しても否定的など、まだまだ保守的ではある。
一方、アメリカの保守的な福音主義キリスト教は進化論を学校で教えることに反対したり、創造説をベースにした博物館を立てたりしている。カトリック教会への不満を持つ、宗教改革で生まれたプロテスタントの一部が保守的な主張を保っているのに対し、現代のカトリック教会がこのように時代に合わせて進化していっているように見えるのは興味深い。
(とはいえ、私自身はキリスト教会のメンバーではなく、キリスト教の教えや、それぞれの教会の実態については無知なので、この印象は、あくまでニュースを見て感じただけという無責任なものであることをご了承ください。もしも実際に教会のメンバーで、ゲイの方や同性愛や進化論に関する話題がどう扱われているかご存知の方がいらっしゃいましたら、どうぞコメントください)