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アメリカで働くレズの徒然

(ネタバレ)映画『デッドプール』感想&「醜い男の苦悩」について

Deadpool (2015-) (Issues) (10 Book Series)

マーヴェルの新作映画『デッドプール』を観てきたよ〜!そもそもスーパーヒーローものにはあまり興味がなかったのだけど、驚くほどの興行収入*1に「これは観ておかなきゃね」と思ってチェック。

あらすじを抜かして、「醜い男の苦悩」に飛びたい方はここをクリック。←こちらも軽くネタバレを含むのでご注意。

『デッドプール』あらすじ(以下ネタバレを含みます)

ニューヨークの闇社会で傭兵として働いていたウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は、エスコートのバネッサ(モリーナ・バッカリン)と知り合い恋に落ちる。婚約もし、幸せの絶頂だったウェイドだが、末期がんであることが発覚。バネッサは一緒に乗り越えようと言うが、ウェイドは、バネッサに死ぬところを見られたくない。

そんな時、友人のウィーゼル(T.J.ミラー)が経営する行きつけのバーで謎の男に「がんを治す方法がある」「誰もが夢見るような力を手に入れ、スーパーヒーローになれる」と誘われる。一度は断ったウェイドだが、治療を受けることを決め、地下の怪しい治療室に運ばれる。そこで出会ったのは、同じく元患者であり突然変異を遂げたエイジャックス(エド・スクライン)とエンジェル・ダスト(ジーナ・カラーノ)だった。ウェイドは回復力のある薬剤を注射されるが、突然変異を遂げるためには、極度のストレスにさらされなければならない。水をかけられたり、氷につけられたりするが、なかなか突然変異できないウェイド。

そんな時、エイジャックスの白衣からエイジャックスの本名が「フランシス」であることを発見したウェイド。そのことでエイジャックスをからかうと、エイジャックスは、ウェイドの酸素濃度を低くして虐待する。実はウェイドたちの実験の目的は、スーパーパワーを持った奴隷を開発して、裕福な買い主に売り飛ばすためだったのだ!憤怒に萌えたウェイドは突然変異に成功し、がん細胞を克服すると同時に不死の体を手に入れるが、同時に副作用として皮膚全体がケロイド状になってしまう。火事を起こし、ベッドから抜けだしたウェイドは、エイジャックスを殺そうとするが、「皮膚は元通りになる」と聞いて追撃の手を緩め、エイジャックスは逃走する。

バネッサの元に戻りたいが、外見のことで思い悩むウェイド。ウィーゼルに相談し、「エイジャックスを捕まえて、元の外見に戻してもらおう」と決意。「デッドプール」という名前と決め、手作りの赤いマスクを装着し、関係者を一人ずつ殺しながらエイジャックスを追い詰めていく。とうとう、高速道路でエイジャックスを捕まえ、顔をもとに戻すように迫るが、そこで、X-MENの二人であるコロッサスとネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドが登場し、デッドプールを止めたため、エイジャックスは逃走。

コロッサスは、以前から無差別な殺戮を繰り返すデッドプールを快く思っておらず、同じようにスーパーパワーを持つ突然変異体(ミュータント)たちのチームX-MENへとデッドプールを勧誘していたのだった。デッドプールを手錠で繋いで連れて行こうとするコロッサスだが、デッドプールは自分の手首を切って逃げ出した。デッドプールの手に入れたスーパーパワーはどんな傷も癒やすことができるので、手もまた生えてくるのだった。

エイジャックスとエンジェル・ダストは、ウィーゼルのバーに登場し、デッドプールの情報を聞き出そうとする。ごまかそうとするウィーゼルだが、以前撮影したポラロイドがきっかけでバネッサの顔が割れてしまう。デッドプールとウィーゼルはバネッサの働くストリップクラブに行き、危険が迫っていることを伝えようとするが、一足早く、エイジャックスがバネッサを誘拐してしまう。

バネッサを救うため、コロッサスとネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドに助けを求めるデッドプール。エイジャックスの牙城に乗り込み、戦いを挑むが……やばっ、武器を詰め込んだバッグ、タクシーに置き忘れてきたかも?

さあ、一体どうなる〜!?

『デッドプール』感想

普通にお笑いアクション映画として楽しめました。

スーパーヒーロー物っていろいろ登場人物とか世界観がつながっていて、どこから観始めればよいのかわからない……という人もいると思うのですが、『デッドプール』は『X-MEN』シリーズをまったく観たことがない、予備知識ゼロの人でも充分に楽しめると思います。

あらすじだけ読むと、シリアスなアクションヒーローものっぽくなっちゃいましたが、全然違うんですよね、これw いちいち間が抜けていたり、シモネタだらけだし、細かいインサイダージョークが挿入されていたりで、とにかく笑えます。 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』もそうなんですけど、最近は「シリアスすぎないスーパーヒーロー」が流行りなのかもですね。

デッドプールも裏社会出身で、お金のために平気で人をぶちのめすし、汚い言葉使いまくるし、そういう決して「正しいタイプ」ではないんだけど、「正義の味方」的な清廉潔白なのが苦手な人にはグッと来ると思う。バネッサとの出会いの場面でお互いの「恵まれない境遇競争」みたいのやってたり。なんか、スーパーヒーローとかって疲れるんだよね〜!という人にはピッタリです。

『デードプール』のよかった点

キャストがよかった!

ライアン・レイノルズがハマり役でした。ちょっと意外だったのですが、彼ってコメディアンだったのね。とてもよい感じでした!もちろん、脱いで肉体美を魅せつけるシーンもあるので、お楽しみに〜!

あと、個人的にはエンジェル・ダストを演じたジーナ・カラーノに注目。もともと彼女は、総合格闘技の選手として有名だったのですが、それを活かしたかっこいい役でしたー。

『デッドプール』のイマイチだった点

結構アクションが暴力的&シモネタ炸裂な作品なので、苦手な人もいるかもしれませんねー!あと、ジョークが独特なので、通じない人もいるかも。あと「チミチャンガ」とかさ、日本でわからない人多そうだぞ!(ちなみに「揚げたブリトー」ね) あと、「緑色のスーツは嫌だ」とかね。わたしもわかってないジョークたくさんあると思う。

醜さに悩む男たち

本題とは離れるのだけれど、デッドプールを観て、気になったのが「醜さに悩む男」についてです。

デッドプールは、突然変異の結果、醜い外見になってしまいます。道行く人にジロジロ見られたりするので、それが原因で彼女のバネッサの元にもなかなか戻れないし、それが「復讐」のモチベーションだったりもするし、最後女性誌で特集されるような「イケメン」のお面をかぶって出てくるようなデッドプールのこじらせっぷりが、世の中の平均的男性の共感を得た理由の一つなのかとも思います。

でも、実際には、バネッサは、最後デッドプールの顔を見て一瞬驚きますが、それでもキスをしてあっさり受け入れています。つまり、実は男が気にするほど、女の方は外見を気にしてないんですよ。

しかし、その割には「イケメンじゃないからダメだ」みたいな「醜さに悩む男」の描写って結構多いです。「ただしイケメンに限る」とかのネットスラングにも感じますし『美女と野獣』とかでも『オペラ座の怪人』でも「醜い男の苦悩」が描かれています。『バニラ・スカイ』でもイケメンのトム・クルーズが交通事故によってブサイクになってしまい、人工的なお面を作ったりして苦しむ、みたいな描写ありましたね。

まぁ「美しくあれ」という呪縛や外見で判断されて苦しむのは男女ともに同じなのです(なのだけど、それでもどっちかというと女性の外見に対する抑圧の方が強いと思う)。さらに、ブサイク男が「ありのままのあなたが好き」って受け入れてもらえるストーリーは比較的あるのに対して、逆は稀。ブサイク女は、痩せるとか眼鏡を取るとか多少外見的な改善がないと「そのままの君が好き」っていう感じの展開にはなりにくいよね?とか思いました。

女の子の顔がデッドプールみたいにボロボロになってしまい、女の子が醜くなったことに苦しみ、それでも彼氏に受け止められてハッピーエンド!みたいな作品ってあるのかしら?ちょいぽちゃのままで最後両思いになる『ヘアスプレー』とかはそれに近いのかしら?

というわけで、「外見」についていろいろ考えさせられましたよー。

『デッドプール』は続編の製作も決まっているので、引き続き注目していきますね。

『デッドプール』日本公開予定

『デッドプール』の日本公開は2016年6月1日です。予告編はこちらから!

評価

  • お下劣度 ★★★★★
  • アクション度 ★★★★★
  • ラブストーリー度 ★★★☆☆

*1:R付きの作品としては、『マトリックス・リローデッド』を抜いて歴代第一位!