事実上のデフォルト状態に陥り、国民投票の結果が注目されるギリシャ。このギリシャを救おうとしているクラウドファンディングが話題になっている。
2億円近くが集まっているというが、目標額には程遠く、また仮に全額集まったとしても、ギリシャにどうやって資金を渡すのか、ギリシャがそもそも受け取るのか不透明だし、仮に受け取ったとしても、問題の根本的解決にはならない、などなんだかんだ言われている。
・・・のだが、なんとなく、「みんなで3ユーロ(約400円)ずつカンパできたら、きっとすごくクールなことなんじゃないかな。いろいろとお世話になってきたギリシャのためにね」という呼びかけ人ののんきさ熱さが気に入り、3ユーロ寄付してみた。
↑これだけ集まっても、まだ目標額の0% orz
↑とりあえず、「ツィプラス首相の絵葉書」コースを選択。送料の1ユーロが加算されて、合計4ユーロを支払う。
↑支払い完了!
わたしも、クラウドファンディングによってギリシャが救えると思っているわけではない。しかし、これはギリシャ危機がなぜ生まれたのか、そしてそのツケは誰が払うのか、について考えるよい機会だと思った。
ギリシャ国民が怠惰で働かないから本日の危機を招いた……と大雑把な印象を持ってしまっていたのだが、これは偏った見方であり、OECDのデータによれば、ギリシャ時間の労働時間は国際的に見て長い方だ。
Average annual hours actually worked per worker
「借りたものを返すのは当然」という前提はその通りなのだが、どう考えても借金が返せない状況に陥ることはある。不幸にもそうなってしまった時は、「やりなおす」という選択肢が与えられるべき。個人に対してだって、債務整理や破産という選択肢があるのだから、国家だってそれは同じである。さらにそれは、経済の健康な成長とともに成し遂げられるべきであり、絶対返せない借金を抱えた国に対して、追い貸しして、緊縮財政を押し付けたって、景気が悪くなるばかりで、問題の根本的な解決にはならない。
慶應義塾大学経済学部教授の竹森俊平さんが、TBSラジオ『Session 22』で2009年にギリシャの財務状況が明らかになった段階で、借金は返せないということが明らかになっていたのだから、そこでもっと思い切った債務の減免などの処理をするべきだった、という趣旨のことを発言されていた。
当時ギリシャにお金を貸していたのは、ほとんどがドイツやフランスの民間の銀行。ここでギリシャへの債権放棄させてしまうと、銀行が損失を被ってしまう。そこで、IMFやEUなど公的機関が参入する「ベイルアウト」という形が取られた。一見救済されたのはギリシャのように見えるが、実際にはここで救われたのはギリシャに金を貸していた大銀行だったのだ。そしてその負担は「緊縮財政の押し付け」という形でギリシャ国民が払うことになった。また、経済危機が波及すれば、本当に困るのはギリシャを含めたヨーロッパ、そして全世界の人民である。
今回のクラウドファンディングが成立しないとしても、結局危機の負担は市民一人ひとりが支払わされるのだ。
- 作者: 竹森俊平
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