一ノ瀬文香さんの本『ビアン婚。』出版おめでとうございます。アメリカに届いたよー!ありがとうございます。読みまーすっ!@ichinoseayaka pic.twitter.com/5Tt2vCneh6
— イチカワユウ (@yu_ichikawa) March 2, 2016
レズビアンであることをカムアウトして活動しているタレント一ノ瀬文香さんの自叙伝を読みました!
献本くださいまして、誠にありがとうございました。
本の内容紹介
目次はこんな感じ。
- 序章 ささやかな幸せ
- 1章 孤独
- 2章 性の目覚め
- 3章 新宿二丁目での出会い
- 4章 空虚
- 5章 愛を知る
- 6章 決心
- 7章 運命の出会い
- 8章 最高にハッピーな日
- 終章 これからの二人
「ビアン婚。〜私が女性と、結婚式を挙げるまで〜」というタイトルの通り、奥さんである女優件ダンサーの杉森茜さんとの同性結婚式や、婚姻届の提出、さらに「同性婚に関する人権救済申立」など、同性婚をめぐる話題をクライマックスとしながらも、内容は実に多彩。
一ノ瀬文香さんの生い立ち、性の目覚め、初恋、恋愛、二丁目デビュー、性別違和、ナベシャツ、ADHD、カムアウト、メンタルヘルス、芸能界での仕事、猫のみーちゃんとの出会いなど、彼女のこれまでの人生が赤裸々に、そして力いっぱい語られた盛りだくさんの一冊でした。
感想
とにかく、読みやすい!自叙伝なのですが、まるで小説のようで、するするーと読了できました。教科書的な意味での用語集などはないのですが、一ノ瀬文香さんの人生や実感を通じて、自然とセクシャルマイノリティーの世界や、業界用語なども分かるような作りになっています。
個人的には、一ノ瀬文香さんの好きなところは、ものすごくリアルなところですね。もともと一ノ瀬文香さんのことを知ったのは「グラビアアイドル、カムアウト!」というニュースから。当時は芸能人としての一ノ瀬文香さんのことは存じておらず「誰だろうこの人?」と思っていたくらいだったのですが(大変失礼)、その後、レズビアン&クィアカルチャーWebマガジン『Tokyo Wrestling』でのインタビューなどを拝読し、当時彼女が作っていたセクシャルマイノリティーについてのDVDについてなど調べていくうちに、かなり彼女が聡明でなおかつ情熱を持った人であることが伝わってきました。
【参考】Tokyo Wrestlingによる一ノ瀬文香さん関連記事
その後、一ノ瀬文香さんのブログを読み始めたのですが、ところどころに二丁目でお店やイベントなどを主催しているコミュニティー内有名人名が出てくるのも、「コミュニティ密着型」という感じでリアルでよかったです。「あ、グラビアアイドルが男性の気を引くために『レズです』とか言ってるのかなぁ〜」と初め想像したりしてたのですが(大変すみません)、実は全然違って、めちゃくちゃビアンコミュニティーの人じゃん!って。ここらへん、地方在住の人だと違うかもしれませんが、わたしも以前は「二丁目」の片隅にシルバーフィッシュのごとくひっそり生息していたので、一ノ瀬文香さんの語る二丁目の感じとか懐かしくて、ちょっとうるうるしました。ここらへんのリアルさは、今回の自叙伝でもばっちり生きています。
さらに、FLASHでのカムアウトについて書いた彼女のブログ(既に消滅しているのだけど、わたしはTumblrにメモっておいた)にはこんな硬派な発言も。
異性が好きなフリをするレズビアンが多いのは、ゲイと同じように、世の中に誤解と差別が根強くあるからです。特に、レズビアンは、ポルノのような想像しかされなく、性の対象にされがちです。
そうなんだよぉ!カムアウトについて、「カムアウトするかしないかは、同性愛者の問題」として涼しい顔をする人もいるけど、カムアウトできるかできないかは、「世の中」の問題でもあるんだよ。でも、今存在する「世の中」のイメージ自体を打ち砕いていくために、「誰か」がカムアウトして、声を上げていかなきゃいけない。
その時は、まだ彼女が将来同性のパートナーと知り合って結婚式を挙げることになるなんて想像もつかなかったし、ましてや「同性婚」をめぐってこのように活動したり、本を出版するなんていうことも知らなかった。でも、もうカムアウトした時から、一ノ瀬文香さんは、こういう硬派なところがあって、なんかわたしはそこにめちゃくちゃぐっと来て、それからずっと好きだったんだなあ(告白)。
あ、自叙伝の方は、そういうリブリブしい話をしているわけではないのでご安心。むしろ、そういうアクティビズム的な内容は少なくて、上に書いた二丁目の話だけでなく、元カノとの話や、性の話、ワンナイト(出会った日にすぐベッドインすること)、「超肉食系行動」など「えーっと新婚さんなのに、そこまで書いて大丈夫!?」と心配になるようなあわわな内容も含まれていましたが、読む分にはめちゃくちゃ面白かったです。
「レズビアン」や「タレント」と聞くと自分とは遠い世界の話だと感じてしまう人も多いかもしれませが、この本を読むと「メディアに出ているレズビアンの芸能人って言っても人間なんだな……」ってつくづく痛感します。や、当たり前のことなんだけどね。読み終わった時は、これまでよりもずーっと「一人の人間」としての一ノ瀬文香さんへの親しみが湧いていました。
というわけで、本書は一ノ瀬文香さんのファンはもちろん、全然知らないけど「同性婚って何?」と思ってる人や「レズビアンの知り合いがいないけど、ぶっちゃけ何を考えてどんな風に生きている人たちなんだ?」と思っているような人でも楽しめると思います。おすすめー!
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