『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』って邦題またすごいことになってるなw 原題Little Womanなのだから、邦題もシンプルでいいじゃーんと思ったけど、それはさておき。観ましたよ!2019年の大晦日に映画納めの一本です!
本作はオバマ元大統領が選んだ2019年のベスト映画にも選ばれてます。
Next up are my favorite movies and TV shows of 2019. Of course, there’s also American Factory, a film from our own production company, Higher Ground, that was recently shortlisted for an Oscar. Here’s the full list: pic.twitter.com/PEcgwotcxm
— Barack Obama (@BarackObama) December 29, 2019
オバマ元大統領センスいい!ここに載ってる作品全部観たいな〜!
『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語(原題:Little Women)』あらすじ
ニューヨークで作家修行中のジョー・マーチは、住み込みの教師をする傍ら、短編を新聞社に売ってお金を稼いでいる。教師仲間のフレドリックに作品を酷評され、プライドを傷つけられたジョーは、妹のベスの病気が悪化していることを知り、看病のため実家に帰る。
長女のメグは、結婚し双子に恵まれながらも、新しいドレスを買うお金もなく、苦しい生活をしている。末っ子のエイミーは、裕福なおばとともに訪れているヨーロッパで絵画修業をしながら、金持ちの男と婚約することを目指している。そんなエイミーが偶然出くわしたのは、幼馴染でかつで、ジョーに求婚しフラれたローリーだった。姉妹は7年前、一緒に暮らしていた頃のことを思い出しながら、それぞれの人生を切り開いていく。
『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語(原題:Little Women)』感想(ネタバレあり)
よかった〜!地味な時代劇というか文芸モノだと思っていましたが、編にアートに走りすぎず、観終わった後は「ほっこり」。もちろん途中は笑いあり、涙あり、メロドラマありなのですが、非常によくできてます。
エマ・ワトソンは脇役
エマ・ワトソン目当てでいったんだけど、エマ・ワトソン演じる長女メグは脇役ですね。あと、メグは女優になりたいという夢を持つ美女という設定なのですが、あまり知性や野心を感じないキャラなので、エマ・ワトソンがハマり役か?というと微妙でした。ジョーの方が多分エマに向いてますよね!
シアーシャ・ローナンがイイ!
でもね!ジョーを演じたシアーシャ・ローナンがよかったです。ま、主役なので当然ですが、エマ・ワトソンより輝いてました。
若手ながら長いキャリアを持ち、賞レースの常連でもあるシアーシャ・ローナン。飾らないチャーミングさがある。お転婆だけど強い意思を持ったジョーのことを自然体で演じています。最近アメリカってこういう馬面というかちょっと間延びした顔がキテる気がしますね。
大画面でみるのは、殺人マシンとして鍛えられた『HANNA』以来でしたが、「大きくなったなあ〜」とシミジミしました。
ティモシー・シャラメが可愛い
しかし、ティモシー・シャラメ、こんなに可愛かったっけ?って目をゴシゴシしてしまったよ。『君の名前で…』とか、彼の出演作何作か観てるけど、前は美少年だけど、ふぅ〜ん、って感じだったけど(アーチーの方が好きだった)、今回はほんと可愛いなと。
— イチカワ❄️アメリカで働くレズ (@yu_ichikawa) 2019年12月31日
ティモシー・シャラメ、性別を超越した可愛さがあります。美少年だけど、ダメ男っぷりもありで。まあこれはモテますよね!着飾ってるメグに対して意地悪なのはムカつきましたが、自分は虚飾の世界に生きてるくせに、そこに入っている女は気に食わないってどういうこと?とね。まあ違う世界に生きている人に惹かれるのはわかりましたが。でも、それなら、なぜエイミーのことは好きになったのでしょうか?ローリー自身は本当にエイミーのことを愛していたのかな?ちょこっと疑問でした。
エイミーがはじめからローリーが好きな感じはとても伝わってきました。
姉妹愛
マーチ姉妹で髪を巻きあったり、慰め合ったり、喧嘩シーンもあるのですが、すぐにくっつく4人がとにかく可愛い!
結婚するメグに対して、ジョーが「私が稼ぐから一緒に逃げよ!いなくなってほしくない」とかほんと可愛くて。そして、「いなくなるわけじゃないよ」と慰めるメグお姉さま。ああ、尊い…!
仕事が女の生きる道!ジョーがかっこいいぜ!
そんなモテ男、ローリーから求愛されてもきっぱりと断るジョー。途中家族のケアのために夢を諦めそうになったり、心が折れて「寂しい・愛されたい」って泣き言言ってフラフラしたりもしますが、基本的に、ジョーは「本を出す」という自分の夢に向けて走り出します。その瞬間のジョーがすごいかっこいい。
をう考えると、ローリーが、エイミーとくっついてジョーと結婚できなかったのは、ジョーにとっては結局よいことかな?と思いますね。
結婚するのは生活のため?女の人生について考えさせられる
さて、この原作は1868年に発表された自伝的小説をもとにしています。その中では女性がお金を稼げる道が限られていることが示され、「生活のために男と結婚しなければいけない」ことが語られます。かといって結婚すればすべて安泰なわけでもありません。お金がない男と結婚してしまったメグは「貧乏な生活にはうんざりなの」とこぼします。
この夫のキャラがまた薄いし、なんでメグ結婚したのかよく伝わってこなかった。メグは脇役なのはわかるけど、なんでそこまでして結婚したかったんだろうね……。まだ「金持ちと結婚する」って決めてるエイミーの方がプラクティカルでよいと思った。子供を二人抱えて貧乏に苦しむエマ・ワトソンなんて……悲しすぎます。
ちなみにジョーは本当に結婚した?本当は原作者はジョーを結婚させたくなかった?
ところで、この映画の構成で面白いのは、映画のなかでおそらくジョーが本を執筆している「今」と「7年前」の回想が、目まぐるしく切り替わるところです。複雑な時系列ではないので、そこまで混乱することはないと思いますが。時々「えっとこれは、今?それとも昔?」ってなります。
こちらの、タイムラインとして二つの軸があるのは皆すぐ気づくと思うのですが、この作品にはもう一つの「重複的な構造」があります。それはマーチ姉妹の物語と、その物語を紡いでいるリアルな「ジョー」のものが立ちです。この構造は、作品全てに出てくるわけではなく、ジョーがフレドリックと再会して追いかけているシーンで明らかになります。
ジョーは映画の後半で猛烈に自伝的な作品を書き始め、それに対して出版社からフィードバックを受けるのですが、そこがちょっとメタ視点っぽくなるんですよね。
出版社のおっさんに「女性の登場人物を出すなら、最後に殺すか、結婚させるかしろ!そうしないと、本が売れない!」と言われ、抵抗するも最後は根負けして作品のなかの「ジョー」を結婚させるジョー。映画ではジョーが雨の中フレドリックを追いかけていき、ドラマティックにキスするのですが、ここで観客の頭のなかには、「え、これは本の中の話?」と混乱が生まれます。こういうロマンティックな展開って、あくまで出版社が望んでいたことで、劇中のジョーがリアルにやることとは思えないんですよね。
結局最後にジョーが夢だった学校を開くところで、フレドリックもいるので、映画の中では「ジョーはフレドリックと結婚した」という設定でよいんだと思います。しかしおそらく意識的に、フレドリックの存在感は最小限に抑えられている。
ここで『若草物語』の原作を観てみますと、原作のなかのジョーは確かに結婚しています。でも、作者であり「ジョー」のモデルであるルイーザ・メイ・オルコット自身は生涯独身を貫きました。本当は作者のオルコットは、ジョーに結婚なんてさせたくなかったのではないでしょうか?でも、「本を売り、お金を稼ぐ」ために、世間の望む「おとぎ話」的展開にしてみせたのではないか……そんなところが、メタっぽい視点を入れたことによって見えてきます。
この映画は「オルコットが本当に描きたかったジョー」を描後としたのかな?と思えました。
他の映画化作品。
『若草物語』は過去にも複数回映像化されています。
1994年映画『若草物語』
ウィノナ・ライダーがジョー、キルティン・ダンストが若いエイミー、クレア・デーンズがベス、スーザン・サランドンがお母さん、クリスチャン・ベールがローリーを演じています。
1949年映画『若草物語』
エリザベス・テイラーがエイミー役です。
こちらを比較してみるのも面白そうですね!
『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語(原題:Little Women)』評価
- 姉妹愛度 ★★★★★
- 娘に見せたい度 ★★★★★
- 名作度 ★★★★★
『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語(原題:Little Women)』日本公開
『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語(原題:Little Women)』は、2020年3月に日本公開が予定されています。