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アメリカで働くレズの徒然

ビッグウェーブは誰のもの?何十年もサーファーを追い出してきた「金持ち中年白人地元サーファーギャング」摘発へ

photo by dailymatador

新年早々なのですが、全然LGBT関係ないLAサーフィン情報ですよ。

ロサンゼルスのダウンタウンから約20分ほどのところに、パロスバーデスと言う裕福な地域がある。海に崖が突き出した半島で、めちゃくちゃ美しい。そこに、ルナダベイ(Lunada Bay)と言うちょっと隠れ家的で綺麗なビーチがあり、ビッグウェーブが来るのですが、実はここはローカルのサーファー以外が入り込むと追い出されることで有名なのです。

そーゆーローカルオンリーっぽい雰囲気で一見さんが入りづらいサーフスポットは他にも結構あるんですが、ここ、ルナダベイは、マジでヤバい。というのも、「ベイボーイズ」と言うおっさんたちが20年以上もここを見張り、石を投げたり、暴言を吐くなどして、一見さんを追い払っているのである‼︎

去年このビーチを取材したガーディアンの記者が隠しカメラでその嫌がらせの様子をとらえたが、「あっち行け!」「俺は30年以上ここでサーフィンしてるんだ!」「君たちの来る場所じゃないよ」とかFワード連発。しまいには、車にタマゴを投げつけられ、サーフィンワックスで車に落書きされたりしたそうな。他にも、車のアンテナを折られたり、パンクさせられたりといった例があるらしい。怖すぎでしょ。

んで、このストーリーのやるせないところは、こんな悪ガキのような人たちが、実はかなりの大金持ちで中年おっさんだってことなのね。パロスバーデスって、このルナダベイに限らずLAの中でも相当裕福な地域で(知名度はないけどビバリーヒルズ的なイメージです)と言っても平均世帯収入2000万円近くあってビバリーヒルズより高いし、隣のローリングヒルズとかも合わせて全体的に「よそ者を歓迎しない」雰囲気があるのよね*1

そんな感じなので誰もベイボーイズの横暴を止められない。パロスバーデスの警察に被害者が相談しても、「彼らのことは全員知ってますよ。あの人たちは有名だからねぇ。少年の心を持った大人なんですよ。もし心配ならあそこでサーフィンしない方がいいよ」と言うだけで、これまでこのベイボーイズの行動を取り締まろうとしてこなかった。↑上の動画に警察の対応もバッチリ映ってる。

サーファーにはローカル優先をはじめいろんな暗黙のルールがある。確かに人が増えれば波の取り合いになるし、初心者が増えれば危険増えるし、カルチャー変わるし、それが嫌な気持ちはあるよね。サーフィンしない人も、近所にウォルマートができるのはヤダとか、地元民以外がウロウロするのがヤダと感じる人はいると思います。

しかし、ビジターのマナーがよい悪いに関わらずビジターのアクセスを「暴力」を使って拒否するってのは、ちょっとやりすぎと思うんですよね。波を愛する男たち〜とかで美化してはいけないかと。公共の場所だしね。

実際、ベイボーイズの被害にあった人がベイボーイズと市を訴える事件はいくつも起きており、パロスバーデスの隣のトーランスの弁護士であり彼自身サーファーであるマイケル・シションによるとこのような地元主義の傾向は今60歳の彼が10代の頃からあるが、年々ひどくなっているそう。マイケルは過去に被害者の代理人としてパロスバーデス市とベイボーイズを訴え、1996年に約180万円の損害賠償を得ています。

また、被害の状況がネットなどを通じて広く知られるようになり、1年前にはルナダベイをもっとフレンドリーな場所にしようというReddit発の抗議活動なども行われるようになりました(スレッドはこちら)。この問題はサーフィンコミュニティーの問題だけじゃなく、人種差別とか、格差の問題とにかいろいろ絡まってるなーと思いました。

約1年前に新しく着任した、パロスバーデスの警察長官は、このベイボーイズを取り締まる方向で、今後何かあったら逮捕も辞さないという意向を明らかにしています。これまで被害届けを出しても、ろくな捜査もせず放っていたパロスバーデス警察なので、どこまで本腰を入れるのかは謎だし、50年も続いた伝統が一夜にして変わることはないだろうけど、さぁ、どうなることやら(参考記事)。

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*1:LAの地域別世帯収入ランキングはこちら→ Median Income Ranking - Mapping L.A. - Los Angeles Times