LGBTQであることを明かして活動していると、様々な差別を受けることがあります。
ノンバイナリーのモデルであるレイン・ダブさんの対応についての記事を読み、素晴らしいと思ったのでここで紹介します。
泣いた。ネット上で、差別者に絡まれた時…誰もがこうできるわけではないしこうしろとも言わないけど。 / 1件のコメント https://t.co/Wmc4WDzkpE “Non-Binary Person Teaches This Hateful Parent Tolerance And Their Text Exchange Goes Viral | Bored Panda” https://t.co/ztkryO4rqd
— イチカワ🏳️🌈アメリカで働くレズ (@yu_ichikawa) 2019年12月7日
(以下、紫色がレインさんのメッセージ)
「私の子供は、あなたのせいで病気になった」
「オーノー!私が彼らにインフルエンザを移しちゃいましたか?」
「いいえ。メンタルの問題です。彼女は男の子になりたいと言うのです」
「彼がそう言ったのですか?」
「彼女は、胸に巻くストラップみたいなやつをクリスマスに欲しがってるんです」
「それなら、彼らが男性として自認したがっているとは限りませんね。胸のバインダー*1を着用しながらも、自身を女性やノンジェンダーとして自認する人々は多くいます」
「あなたはこのことについてどう感じていますか?ちょっと気が重い感じですか?」
「あなたのような変態のせいで、私の子供が自分の体を憎むようになってしまった…それが私の気持ちですよ」
「彼らが体の一部を拒絶しているのは、まるであなた自身が拒絶されているように感じるのかな、というのは想像できます」
「あなたがこうして私にメッセージをしているということは、あなたがお子さんの幸せや健康についてとても気にしていることを表しています」
「はぁ?気にしていますよ。気にかけてないと思うのは失礼です」
「あ、あなたは私が気にしている、と言ったんですね」
「そうです。気にかけています。最近の携帯ばかりみて子供を放っておく親のようにはならない」
「あなたのようにそこにいて守ろうとしてくれる親がいるお子さんは幸せですね!テクノロジーって本当に家族の絆を傷つけました。違いますか?」
「最近の若者にしては珍しいことを言うね」
「笑。事実ですから。それで、胸バインダーについてあなたはお子さんになんと答えたのですか?」
「絶対ダメだと」
「私としては、ぜひともバインダーを買うことをおすすめします。特に、あなたはとても愛情深い親御さんなのですから。おすすめのサイトをお教えしますよ」
「いいえ。私は子供が自分の体を憎む手伝いをすることなど拒絶します。そうすることが私が悪い親ということにはなりません」
「あなたが悪い親とは言っていませんよ。とても愛情深い親御さんだと言いました。胸のバインダーが素晴らしい理由は、あなたが助けなかった場合お子さんが頼るかもしれない他の選択肢に比べて医学的にずっと安全だからなのです。
テーピングや布の切れ端など。もしも素材の伸縮性がない場合、肋骨を折ったり、肺が変形してしまう可能性もあります」
「なぜ、自分の身体にそんなことをするのでしょう?」
「胸を潰したいと考える人の理由は多くあります。性別違和から、社会的な不快感まで様々です。あなたにとっては混乱し、それを見ることは辛いことかもしれません。
でも、彼らが自らの傷つきやすい真実を表現したときに、あなたが彼らのことを押しやってしまったら、彼らは自分自身を傷つけたり、自殺などに追いやりかねません。
あなたはお子さんが自分の人生に存在してほしいですか?永遠にいなくなってしまうのとどちらがいいですか?医学的に承認された小さな布切れが、文字通り命を救えるのです。あなたが明らかに愛し、大切に思っている命が」
「私は彼女に生きて、幸せでいてほしい。思うけど、ただ、彼女にありのままの自分を愛してほしいんだと思う。彼女は美しい」
「自分自身を愛するというのは、どんなときも、ありのままの自分自身が愛されている、と感じるときに、もっと簡単になると思います」
「お子さんからバインダーをクリスマスに頼まれたということは、あなたはとてもオープンなコミュニケーションと安全な場所を作り上げたに違いないですね。それってとても特別なことです。それを失いたくはないでしょう」
「わたしはサミーに言ったんです。何でも言ってねと」
「素晴らしいです。そしてサミーはそうしたんです!」
「ストラップは彼女を傷つけますか?」
「装着する時間と、装着の仕方に気をつけて安全に使えば、そんなことはありません。gc2bというブランドをおすすめします。彼らは素晴らしい製品を作り、使い方も丁寧に教えてくれます」
「もしもっとわからないことが出てきたら、あなたに聞けると嬉しいのですが」
「いつでもどうぞ!あなたにはサミーに安全な場所を作るための方法を見つけるための、安全な場所があるっていうことが鍵です。私もできるだけ助けます。あなたがとても気にかけていることがわかりますからね!」
「バインダーについてちょっと調べてから連絡します。怒らずに、色々と話してくれてありがとうございます。私は彼女が彼女の愛する人生を生きてほしい。それだけなんです」 「わかりますよ。私も同じ気持ちです。Xx」
レインさんの人称代名詞の使い方(トランスジェンダーかな?と思ったらheに切り替え、その後、そうとは限らないと感じるとすぐにtheyに戻しているところ)や、pervertなどの明らかな差別語を使われても、怒らずに対応しているところが素晴らしいなと思いました。
常にこんな対応ができるとは限りませんし、全ての人がこのように対応するべきとも思いません。そもそも、ネット上で「対話」が成立すること自体非常にレアだと思います。
でもこんな例を見ると、希望が湧いてきます。
*1:胸の膨らみを抑えるもの。いわゆるナベシャツのようなもの