わたしは、同じ筆者による『採用基準』に相当影響を受けています。
『採用基準』は筆者が長年勤めていたマッキンゼーでの経験を元に、「リーダーシップ」の重要性について述べた本でした。それに対して、こちらの本『生産性』でははリーダーシップと並び、外資系企業では重視されるにも関わらず、日系企業ではあまり重視されていない/誤解されていることが多い概念「生産性」について述べています。
で、今回のテーマ「生産性」とはなにかというと、ズバリ、付加価値額を投入資源量で割って計算するものですね。投入した資源に対して、どれだけ付加価値がついたか?という仕事におけるROI的な概念かも。仕事の量とか、速さとか、質そのものではなく「投入資源量に対して」の付加価値を見るというところが大事なんですね。
付加価値について
付加価値について、誤解してる人が多いのでは?と思うのだけどその通りだよなーと思ったのは以下の箇所。
付加価値が上がったか下がったかを判断するのは、企業ではなく消費者
今までよりはるかにいい商品になった!」と供給者が考えても、それだけの価値を消費者が感じなければ、価格を上げることはできません
プレスリリースとか見てても思うんだけど、企業目線で「これがすごい!」だけ言っててもダメなんだよね……。
イノベーションについて
あと、生産性をドカンと挙げるために必要な「イノベーション」について。イノベーションというと、どうしても、技術的での大発見とかそういう印象があるが、実は非技術の分野でも「ビジネスイノベーション」というものがあり、具体的には、経営管理手法や組織運営法などマネジメント分野におけるイノベーション、ブランディングやプライシングなどを含めたマーケティング分野でのイノベーション、企画や人材育成など個人技に頼りがちな分野のイノベーションなどがあること
日本は、技術分野のイノベーションは優れているが、これらの非技術分野における、ビジネスイノベーション特に日本が遅れを取っていること。
「イノベーション」「ちょっとよいアイデア」とは根本的に異なるということ。
会議の時間について
生産性というと、真っ先に思いつく人も多いのではないでしょうか?しかし、これも目からウロコでした。
大事なのは会議の時間(=量)を短くすることではなく、会議の質をコントロール(向上)することなのです
「会議の時間を短縮すること」ではなく「会議の生産性を上げること」だという出発点に、今一度たち戻る必要がある
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会議であれ残業であれ、必要なのは量のコントロールではなく、その質をいかに高めるかという発想
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「できるまで頑張る!」「とにかく頑張る!」といった働き方は、往々にして精神的な高揚感を伴うため、これに慣れてしまうと、「よい仕事はできたが、たいして儲かっていない」(時には、赤字だった)、「よい仕事はできたが、組織も人も疲弊してしまった」「ひとつのプロジェクトにすべての人材リソースを注ぎ込んだため、その案件は成功したが、他のプロジェクトでは問題が噴出した」という事態にもつながります
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仕事の生産性を上げ、目の前の仕事だけでなく今後の成長のための投資や新しいチャレンジもすべて労働時間内でやりきれるようになる、そうなることを目指す——そういう意識に変えていかないと、プロフェッショナルとしての成長には、常に個人生活の犠牲がセットでついてきてしまいます
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伊賀さんの語り口は実に平易ですが、ポイントをついていて、ハッとさせられる。もちろん組織自体を変えるのは並大抵のことではありませんが、一人ひとりが「生産性」という概念をまずは知り、それを意識することから、日本の働き方も少しずつ変わってくるかもしれません。
保育園も過労死も……。今日本が抱えている社会問題の多くには「働き方」が大きく関わっていますからね。「生産性」という考え方を意識することで、働き方が変わり、そして社会が少しでもよい方向に変わるのなら、それは素晴らしいことだと思います。
たった一度の人生。少しでも有意義に過ごすために、まずは「働き方」を変えてみることは大事だと思います。
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久々に『採用基準』も読み返そうかな〜!