#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

B級ホラー『SMILE』メンタルヘルスを扱う深みに欠けるエンタメ作品

映画SMILEポスター

不気味すぎる笑顔の予告編・プロモで話題になっていたホラー映画『SMILE』を観てきた。

あらすじ(ネタばれちょこっとあり)

精神病棟で働く医師のローズの目の前で運び込まれてきた患者は、「自分にしか見えない『笑顔がある』」と訴える。二人しかいない診療室で、見えない「笑顔」におびえていた患者は、急に人が変ったように不気味な笑みを浮かべ、ローズの目の前で自らの喉を切って自死する。その日からローズの身の回りで不思議なことが起こり始め、ローラ自身が不気味な笑顔を見るようになる。しかし、婚約者や家族にも理解してもらえず、上司にも「疲れているだろうから」と休職を勧められる。ローズは自分の前で死を遂げた患者が、それ以前に教授が奇妙な笑顔を浮かべながら自殺する様子を目撃していたことを知り、その教授の家族を訪れる。教授もまた、自殺する少しまでに、誰かが笑いながら自殺を目撃していたという。ローズは元カレの警察官に、事件の様子を依頼し、実にこの「笑顔の自殺」連鎖が過去21人連なっていることをつきとめる。しかし、一人だけ生き延びた人がいた。ローズは、自らにかけられた笑顔の呪いを解く鍵を探るため。その人物を訪れる。

感想(ネタばれあり)

んーと、B級ホラー映画って感じ。けど面白い。

予告編でも明かされてるけど、「呪いが移っていく」という点で、『リング』や『イット・フォローズ』に近い。SMILEを目的した後期限内に呪いを解くためにはどうしたらいいのか?必死で調査するが、自分の訴えが家族や恋人に信じてもらえず辛い思いをする。結局呪いの招待については、説明不足で、オカルトなりに理由が明かされる『リング』やSTDのメタファーとして解釈可能な『イット・フォローズ』と比較しても物足りなさは残る。怖い作品のなかには、『IT』や『Stranger Things』など、とりあえずその世界観の中で話の辻褄があるようにしていると思うのだがそれがない。今のままだと単なる不条理ものじゃん。そこは、続編で明かされるのかな?

あと、トラウマやメンタルヘルスの問題の扱い方が若干浅い。「B級ホラー映画なんだからこんなもん」と割り切ってしまえばいいのだが、結局メンタルヘルスが「怖さ」を演出するための要素として配置されてる感があって弱冠残念。あとラストシーンも残念。主人公のローズにはトラウマを克服し、生き延びてほしかった。そしてひたすら「いい奴」だった元カレが次の呪いのターゲットになってしまったのも残念(だがここは続編で呪いを克服する展開ありかも?)

ただ『SMILE』はエンタメとしてはよくできている。怖いポイントも様々で、心理スリラーっぽさだけではなく、血みどろだし、驚かせて飛びあがらせる系の怖さもあるし、泥棒が家に侵入してくる?系の怖さもあるし、動物も死んじゃったりで、様々なホラー要素をこれでもか!と盛り込んである。ま、とにかく怖いことは確かなので、そういうのが好きな方は是非。あまりに怖すぎて怖いシーンの後、劇場内に一体感が生まれてなぜか笑いが起こってた。ここ数ヶ月で『NOPE』『Bodies, Bodies,Bodies』『FALL』『Barbarian』『Don't Worry Darling』『The Invitation』と様々なジャンルの怖い作品を観たけれど、『SMILE』がダントツで怖かった。

ビックリしたのは、主演のソーシー・ベーコン!ケビン・ベーコンの娘で『13の理由』にも出てたんだけど、ちょっと前に高校生演じてたのに、すっかり大人びて医師役やってたので。えっこの一体何歳なの?って混乱した。痩せたからか?印象変わってたけどすごくキュートだった。

あとは、映画の本題からは外れるが、『SMILE』はプロモーションがとてもうまかったと思う。予告編もキャッチーだったし、実際に役者をスポーツイベントに派遣してのバイラル広告も成功していた。

評価

『SMILE』はロッテン・トマトで78%とまずまずの高評価を得ている。

  • 怖い度 ★★★★★
  • ストーリーの深み度 ★★☆☆☆
  • 不気味度 ★★★☆☆