Photography by woodleywonderworks
最近観たTEDトークで、リーダーシップやチームワークについて考えさせられたものについて紹介します。
マーガレット・ヘファーナンによるこのトークは「どのようなチームが成功するのか」ということについて述べたもので、一言でまとめると「一握りの優秀な人間が成功を導くのではなく、お互いに助け合えるチームが成功を導く」という内容なんですね。
こういう考え方は、割と日本では一般的だった気がします。最近こそ変わってきていますが、そもそも終身雇用制などで、社員を長く期間雇うつもりで採用し、飲みニケーションだとか、長時間労働とかで(これ自体は良いことではないけど)、比較的社員同士の理解とかを促進するような感じ。過去に日本の企業が大きく躍進したのはこういう要素も貢献していたところがあるのかもしれませんね。
アメリカの会社は、合理的で、日本で育った自分から見ると、びっくりするくらいドライなところがあります。人の入れ替わりが激しいし、いきなりレイオフされたり、ボスがどこか外からくるのは日常茶飯事。そのボスが移民だったり自分より若いこともよくあるし、「生産性」ということについてもシビアだし「皆で一緒に頑張っていこう!」というよりは、「誰から裏切られるかわからないな……」と頭のどこかどこかで考えながらも、うまく立ち回りながら、自分の肩書を上げ、転職してキャリアアップしていくような要領のよさが求められるようなところがあります。←ものすごい雑な一般論ですがw
もちろん、アメリカ式の企業環境の合理性は、生産性アップのために、参考になることもあるけれど、一見非合理とも思えるような「人間的」な部分も、かなり大事なんだよな〜。と再認識しました。
最近、わたしは、プロフェッショナルな場面で「周りとどういうスタンスで関わるべきなのか」と悩む機会が多かったのですが、そのヒントをくれた気がします。
以下、途中まで訳したものを載せておきます。
パデュー大学の進化生物学者であるウィリアム・ミュアーは、ニワトリを研究していました。彼の興味は生産性- おそらく私たち皆が気にしていることだと思いますが-でした。ニワトリの生産性を測るのは簡単でした。ただ、卵の数を数えればよいのですから(笑)彼は、どうしたらニワトリの生産性が高くなるかを突き止めるため、美しい実験を考案しました。ニワトリは群れで生活していますから、まず、彼は普通のニワトリを選び、6世代において、そのままにしました。次に、彼はもっとも生産性の高いニワトリ — いわばスーパーチキンを選び出し、彼らを群れにしたのです。スーパーチキンのスーパーグループです。そして、世代ごとに、もっとも生産性の高いニワトリのみを繁殖に用いるようにしました。
6世代後、何がおこったでしょう?初めの「普通の群れ」は、普通でした。彼らはまるまる太って、毛もふさふさで、タマゴの生産は劇的に増えました。それでは、二つ目のスーパーチキンの群れはどうなったでしょう?たった3羽を除いて、皆死んでしまいました。死ぬまで突き回したからです(笑)個別に生産性の高かったニワトリは、周りのニワトリの生産性を犠牲にして、自らの成功を達成していたのです。
さて、わたしは世界中を回って、さまざまな組織や企業でこの話をしているのですが、人々はすぐにこの話の意味するところに気づいて言います。「スーパーグループは、うちの会社のことだ」とか「我が国のことだ」とか「わたしの人生だ」とか。
わたしは、これまでの人生でずっと、前に進むためには競争が必要だと言われてきました。よい学校に入り、よい仕事を見つけ、一番になること。でもその教えにインスパイアされたことは、ありませんでした。わたしは、ビジネスを始めました。発明というのは喜びだからです。そして、優秀で、クリエイティブな人々と一緒に働けること自体がやりがいのあるものだからです。そして、わたしは、命令に従ったりとか、スーパーチキンやスーパースターによってモチベーションがあがったことはありませんでした。でも、過去50年間のあいだ、わたしたちは、この「スーパーチキンモデル」に基いて、組織を運営してきました。
わたしたちは、スーパースターを選び、部屋の中で、もっとも優秀な人材にすべての権力とリソースを振り向けることで成功できると信じてきました。そしてその結果は、ウィリアム・ミュアーの実験と同じく、攻撃性、機能不全、そして無駄というものでした。もしも、もっとも生産性を高める方法が、他の人々の生産性を抑圧することによってのみ成功するのならば、わたしたちは、よりよく働き、より豊かに生きる方法を見つけなければなりません。
明らかに他のグループより生産性が高いグループの秘密はいったい何なのでしょう?MITの研究者たちはこの質問から始めました。彼ら何百人ものボランティアを募り、グループ分けをして、彼らに解決困難な課題を与えました。結果は予想したとおりで、いくつかのグループは、他のグループよりもずっとうまくいきました。しかし、非常に興味深かったのは、達成度が高いグループというのは、数人のズバ向けた知能指数を持つ人のグループではありませんでしたし、知能指数の合計が高いグルーぽうでもありませんでした。その代わり、成功したグループには、3つの共通点がありました。
1つめは、彼らは、お互いに対して、高い社会的繊細さを持っていたという点です。これは、「目を見て心を読むテスト」と呼ばれる試験によって測られました。これは、共感度を測るために広く用いられるもので、このテストで高いスコアを得たグループは、より成功していました。
2つめは、そのグループは、誰もがお互いにたいし大体同じくらいの時間を持っていました。つまり、誰か一人だけの声が大きいというわけでもなく、誰かが完全に受け身だということもありませんでした。
3つめには、成功したグループには、より多くの女性が含まれていました(拍手)。さて、これは、通常女性の方が「目を見て心を読むテスト」が得意だからでしょうか?だから結局は共感が大事なのでしょうか?それとも、女性がより多様性のある視点を持ち込んだためなのでしょうか?本当のところはわかりません。しかし、この実験でわかったことは、いくつかのグループは、他のグループよりも生産性が高いという、わたしたちが既に知っていたことについての鍵が「社会的つながり」にあるという点です。
さて、これが実際の社会ではどのように関係しているのでしょう?これは、人々の間に起こることは、本当に大切だということです。なぜなら、お互いに非常に繊細な人々の間では、アイデアが自由に飛び交い、大きく育っていくからです。人々は行き詰まって、エネルギーを無駄にすることがないのです。
例えば。アラップ社は、世界でも有数の成功しているエンジニアリング企業で、北京オリンピックでは乗馬センターの建設に関わりました。この建物は、2500頭の、時差ボケのサラブレッドを受け入れなければならないのです。ここでエンジニアたちが直面しなければいけなかった問題とは、どれくらいの馬糞を処理しなければいけないのか?でした。これはエンジニアリングの学校で教えてくれることではなく(笑)、そして、間違えたくもない問題です。そこで獣医師たちに何ヶ月も話を聞いたり、研究したり、エクセルシートをいじったりすることもできると思いますが、その代わりに、彼らは助けを求め、ニューヨークの乗馬クラブを設計した人物を見つけたのです。問題は一日もかからずに解決することができました。アルップ社は、手助けすることの大切さが、成功の中心であると信じているのです。
「手助けする」というのは、ものすごく無気力な感じがしますね。しかし、これこそが、成功するグループの核なのです。助け合いというのは、常に、個人の能力を超えます。手助けできることというのは、自分がすべてを知っていなくてもよくて、そのかわりに、助けを得るのがうまい人たちと一緒に働かなければいけないということです。(ドイツのソフトウェア企業である)SAPでは、あなたはどんな質問にでも17分以内に答えられると期待されています。しかし、これが技術的な問題なのだと考える、わたしがこれまで働いたことのあるハイテク企業は、ひとつもありません。なぜなら、「手助けする」ことを可能とするのは、人々がお互いのことをよりよく知ることだからです。これは、当たり前のことに思えますし、自然に起こることだと考えるかもしれませんが、実際にはそうではありません。
わたしが、初めてのソフトウェア会社を経営していた時、行き詰まっているのを感じました。軋轢ばかりだったのです。次第にわかったことは、わたしが雇った優秀で創造的な人材が、お互いを知らないということでした。彼らは自分の仕事に夢中になりすぎていて、横の席に誰が座っているかすら知りませんでした。そこで、仕事をいったん辞めさせて、お互いをよりよく知るようにとお願いした時……そこで、はじめて経営に勢いがついたのでした。
……ってここまで訳したところで、TED公式に和訳があがってるじゃんw と気づいたので、残りを読みたい人はそちらでどうぞ〜!
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