You can’t escape what you can’t see. #TheInvisibleMan opens in theaters February 28. Watch the new trailer now. pic.twitter.com/1fnh07ITF5
— The Invisible Man (@TheInvisibleMan) February 7, 2020
『透明人間(原題:The Invisible Man)』観てきましたので感想です!これも、『ファンタジー・アイランド』と同様低予算ホラー映画で知られるブラムハウスの作品だったし、予告編観た感じB級っぽくて、全く期待してなかったのですが、予想をいい意味で裏切られました!
『透明人間』あらすじ(ネタバレなし)
起業家であり光学の天才科学者であるエイドリアンとの支配的な関係から抜け出すために、セシリアはある夜豪邸から脱走する。妹エミリーや友人のジェームズに支援されながら、身を潜めるセシリアだが、2週間後、エイドリアンが自殺し、セシリアには5億円の遺産が入る。
しかし、セシリアの身の回りで不思議なことが起こり始める。エイドリアンが透明人間となって彼女に嫌がらせをしているのではないか?徐々に精神のバランスを崩し始めるセシリア。エイドリアンは本当に透明人間になったのか?そしてセシリアは、エイドリアンの亡霊から逃れ自由になれるのか?
『透明人間』感想(ネタバレなし)
予想を遥かに超えた面白さでした!ドルビーで見たのですが、音楽(というか音響)も効果的で、「驚かす」だけじゃないじわじわとした怖さを楽しめました。
#InvisibleMan インビジブルマン、IMAXで観てきました!期待してなかったけど面白かった!
— イチカワ❄️アメリカで働くレズ (@yu_ichikawa) February 29, 2020
透明人間要素抜かしても、ガスライティング男の虐待から抜け出そうとする女が誰にも信じてもらえずに苦しむ話として、#Metoo 映画として解釈できますな。あとネタバレ禁止ですね。
スリラー系でファンタジー・アイランドと迷ってる人には諸手を挙げてこっち、インビジブルマンをオススメします!エリザベス・モスが髪を振り乱して素晴らしい半狂乱の演技。あとはリンクル・イン・タイムのストーム・レイドも!数ある透明人間シリーズの中でもなかなかでした。
— イチカワ❄️アメリカで働くレズ (@yu_ichikawa) February 29, 2020
エリザベス・モスは、『17歳のカルテ』にも出演しています。ウィノナ・ライダーなどと同様キャリア長いんですね!サイエントロジーとしても知られています。
原作は123年前の古典
ところで、本作は、H.G.ウェルズの古典小説であり、透明人間の名前も同じグリフィンです。『ファンタジー・アイランド』を観た時は「古すぎる作品をリメークするのはダメだよね」と思いましたが、問題は古さではないということですね。
『透明人間』考察(以下ネタバレあり)
以下、ネタバレが含まれますので、気をつけてください。ネタバレが嫌いな方はここで引き返すか、作品を見た後に戻ってきてください!
透明人間が本当に存在するのか
この映画を通じて非常にうまいと感じたのが、映画前半部分で「透明人間が本当に存在するのか、明らかにしない」という点です。息遣いや、足音、それに些細な部分で「透明人間がいる?」という描写はありますが、それが確実に透明人間の仕業だということはわからないようになっています。
セシリアが追い詰められ、精神のバランスを崩していくにつれ、観客の中にも「結局全てセシリアの頭の中で起こっていることなのかも?」という疑いが大きくなっていくのです。
またここは、エリザベス・モスの迫真の演技もすごいですね。「これは、おかしいと思われてもしかたないわ…」っていう感じの荒れた感じをうまく演じています。
DV映画なの?
さて、『透明人間』は、エイドリアンの豪邸から逃げ出そうとするセシリアの様子から始まり、それまでの関係を描いていません。妹などに「彼があなたに何をしたの?」と聞かれるシーンがあり、「彼は全てを支配したがるの。あなたが何を着るか、何を食べるかまで」というセリフがありますが、殴られたとか虐待されたなどの具体的なエピソードはありません。しかし、それでもここで描かれているのははっきりとしたDVです。エイドリアンの手から逃げ出す瞬間のセシリア、逃げ出した後のセシリアの怯え方からも「エイドリアンがヤバい奴」なのはわかりますし、なんといっても、『透明人間』になった後のエイドリアンの行動は、ガスライティングのメタファーだと思われます。
そこにいて害悪をなしているのは確かにエイドリアンなのに、彼の姿は誰にも見えず、周りからは「セシリアが変なことを言っている」「セシリアが暴力をふるっている」と見られてしまうのです。そして、周りの人間が徐々にセシリアの正気を疑うようになり、犯していない罪の容疑まで着せられてしまいます。
透明人間になる前のエイドリアンも似たようなこと、してたんじゃないかなー?と想像できました。エイドリアンは、天才的な光学の科学者で、起業して成功し、裕福でイケメンで、人好きがしそうな感じです。←まあほとんどのシーンで「透明」なんで、ちょっとしか観る機会はないのですが…。セシリアが「なぜわたしなの?私なんて郊外出身で、パーティでたまたま出くわしただけの存在なのに」って言ってましたが、まあ一般の人は、エイドリアンの方を信じるんだろうな。そして、エイドリアンはこうしてこれまでもセシリアの信頼性を貶めるようなことをしてきたんだろうな、と思いました。
それは「殺意」ではない
さて、今回邦題はシンプルに『透明人間』で、ポスターも原作に忠実でよいと思いました。しかし気になったのは、コピーです。
「見えるのは殺意だけ」
ということですが、実はエイドリアンの望みはセシリアを殺すことではありません。むしろ逆で、自分の子供を産んでほしいというのもあると思いますが、生きててほしいんですよね。だからセシリアはわざと自傷行為に出ることで、エイドリアンをおびき寄せます。
そういう意味で「殺意」というのには違和感ありました。
彼が求めているのは「支配」であり、それこそが彼を単なる殺人者を超えた薄気味悪い存在にしているのです。
謎だったところ:弟との関係は?
エイドリアンと弟の関係が気になりました。なぜ弟はそこまでエイドリアンの言いなりになってしまったのか?弟は何を考えていたのか?また最後、透明人間となってジェームズ宅に襲撃していたのは弟だったことがわかりますが、いったいエイドリアンはなんと説得したのでしょうか?
『透明人間』評価
映画『透明人間』はロッテン・トマトで批評家スコア90%、オーディエンススコアは89%と揃って高評価です。
- ホラー度 ★★★☆☆
- どんでん返し度 ★★★★★
- スリラー度 ★★★★☆
『透明人間』概要
- 監督・脚本:リー・ワネル
- 上映時間:110分
- スタジオ:ユニバーサル・ピクチャーズ
- 出演:エリザベス・モス、アルディス・ホッジ、ストーム・レイド、オリヴァー・ジャクソン=コーエン