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アメリカで働くレズの徒然

オリンピア旅行記(5) タイニーハウス滞在体験

オリンピア周辺についていろいろ書いてきたが、実は今回オリンピアに来た本当の目的……それは…小さな家(タイニーハウス)に滞在すること!!

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アメリカの様々な都市だけでなくフランスやスペインなどヨーロッパでも実践している人のいる「タイニーハウス」。非常に小さい家(タイニーハウス)に住み、所有物や消費を減らすことで、シンプルに生き、地球にもやさしいタイニーハウスがムーブメントになっていることは以前もブログに書いた。本当は去年泊まりたかったのだが、今になってやっと実現できた。

タイニーハウスの醍醐味は、小さな家に周りにある豊かな自然を楽しむことだと思うので、カリフォルニアやアリゾナなどの砂漠地帯にあるタイニーハウスよりも、オリンピアやオレゴンなどの森の中にあるタイニーハウスを選んだ。

このタイニーハウス、ベイサイドバンガローはタイニーハウスメーカーであるTumbleweed Tiny House Company(以下タンブルウィード社)のFencl(現在ではCypress)と言うモデルのフロアプランを元に、ブリタニーという女性が実家の敷地内に5ヶ月かかって一人で建てたという。タイニーハウスを建てている人たちの多くがブログやYouTubeで情報発信をしているのだが、ブリタニーもインタビューに答えている。彼女はタンブルウィード社の公式サイトにも登場している。特に建築などの経験のない彼女がこのタイニーハウスを一人で建てたという話は、多くの人にインスパイアを与えるものだったようだ。

タンブルウィード社は、完成品のタイニーハウスの他に、ワークショップの開催やフロアプランの販売もしている。Cypressのモデルでいうと、サイズにもよるが、完成品は5万7千ドル(約684万円)、フロアプランだけだと759ドル(約900万円)だ。決して安いわけではないが、住宅価格に比べたらぐっと安い。住宅ローンより利率は高いが、ローンを組むこともできる。

ベイサイドバンガローは、厳密には、オリンピアの隣町であるレイシーという街にある(←前回紹介したワイナリーの多くも、実は住所上はレイシーにある)。

インディー&サブカルな雰囲気漂うオリンピアダウンタウンとはうってかわり、レイシーには、高速道路のすぐ横にホームデポやセイフウェイ、それに多くのファーストフードレストランが立ち並んでいる。いかにも「アメリカの郊外」だ。人里離れた森の中を想像していたので、高速を降りた直後は戸惑ったが、食料品などの買い出しには便利だ。←タイニーハウスには冷蔵庫や台所も備わっているので、自炊もできる。せっかくなので、外食だけではなく、そこでの炊事を体験しようと思っていた。

セイフウェイで食料品と焚き火用の薪を入手。海に向かって車を10分ほど走らせると、緑にあふれた住宅地の中に隠れるようにベイサイドバンガローが姿を表した。

第一印象は、可愛い!写真で見るより、小さく見える。

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中に入ると、意外と大きく、そこまで狭いとは思わない。←日本で四畳半ルームやユニットバスを見慣れていたから……⁈……それでも、冷蔵庫や小さなレンジなどを見ていると、まるで「おうちごっこ」をしているようでワクワクしてくる。

なかでも一番気に入ったのがこちら!

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Dickinson Marine社製のストーブ!プロパンガスのストーブなのだが、無骨でかっこいい!このDickinson Marine社は名前からも分かる通り、船の上で使う用具を作るメーカーで、移動することを前提としているタイニーハウスには多くのボート用の設備が流用されている。

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台所にもガスが通っていて火がつく。電気があるので、レンジや冷蔵庫がある。蛇口をひねれば水が出るし、キャンピングカースタイルの湯沸し器も備わっていてお湯も出る。6ガロン(約22リットル)のお湯が貯められるので、約5分間のシャワーも浴びられる!

実際に滞在する前は、「タイニーハウスでの生活は、さぞかし不便でヒッピー的なのに違いない」と思っていたが、意外にも「小さい」以外は普通に文明的な生活が送れるのがタイニーハウスなのだ。キャンプ生活とは基本的に違う。

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トイレは水洗ではなく、コンポストトイレ。ガーデニングを数年前にはじめてから、コンポストという考えには非常に惹かれているのだが、それを室内でやるのは相当勇気がいる。「ぼっとん便所」的なものかと恐れていたのだが、実際に目の当たりにしたソレはかなりモダンな装いで、匂いなどもほとんどしない。その秘密は、「液体と個体の分離」にある。

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尿は分離して排水し、大便は紙と一緒に便器に貯めて、上からおがくずとピートモスを混ぜたものをかける。意外と、これだけで匂いは抑えられる。むしろ、森のなかのような感じで清々しい。すぐ隣が台所でもあるため、念のためファブリーズをシュッシュッとすれば、もう、完璧である。

ベッドルームは梯子で上ったロフト部分。ここも、写真では非常に狭く見えたのだが、実際に登ってみると、広々しているようにすら感じる!←自分が小さいだけか!?斜めになった屋根の板がすぐ上にあるのだが、片側には大きなガラス窓が嵌めこまれていて、開放感すら感じる。夜はここから北斗七星が見えた。流れ星なんかも見えるらしい。もちろん、眩しい時は、ロールカーテンをおろしておけば大丈夫。

このバンガロー、家本体が素晴らしいだけでなく、立地もすごい。なんとピュージェット湾へのプライベートビーチへのアクセスがあるのだ!ひょえ〜!

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ビーチに出るにはタイヤで作られたかなり急な階段を降りていかなければいけないのだが、道筋はまるでクリスマスのデコレーションのような、イルミネーションで飾られている。ビーチ沿いには、またファイヤーピットがあり、そこでキャンプファイヤーをしたり、BBQを楽しむことも可能。また、何かここに仕掛けておいて、彼女を呼び寄せ、サプライズ★的なことも十分可能。とにかくワクワクする空間だ!

ゲストブックには、タイニーハウスに魅せられて、自分もタイニーハウスを建てようとしている人々からの熱い思いが綴られている。この美しいバンガローは、単なる「観光地」なのではなく、タイニーハウスコミュニティの一部なのだということが思い出される。

台所で買ってきた食材を調理し、リビングルームでワインとチーズを楽しみながら、ゆっくりと「小さい空間」を楽しむ。外にファイヤーピットもあったので、キャンプファイヤーもしてみた。ワシントン州特有の雨にすぐ炎は消えてしまったのだが……それでも、「豪雨」という感じではなく、すぐ止むので、むしろすっきりと心地よい。朝は、太陽の光と鳥達のさえずりに気持よく目覚めることができた。

大変リフレッシュできるタイニーハウスの旅だった。楽しすぎて忘れてたけどもっと細かいところまでちゃんと写真撮っておけばよかった!

他にも木の上にある「ツリーハウス」や近未来的なRV「エアストリーム」など、タイニーハウスは様々だ。今度はまた別のスタイルのタイニーハウスに滞在してみたい。

Photographs Courtesy Of Tumbleweed Tiny House Company