#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

男性向けブランドが打ち出す「有害な男らしさ」

男性用コスメブランド「War Paint」のインスタ画像

男性向けコスメブランド『WAR PAINT』の命名が「トキシック・マスキュリニティ」だと批判を浴びています。

WAR PAINTは「男性の肌のために作られた」という触れ込みのUK発のメイクアップブランド。2023年までには290億ドル(約3兆円)に成長すると見込まれている*1男性コスメ市場ですが実際には、男性と女性の肌にはさほど違いはなく、結局「男性用化粧品」はマーケティング勝負だと言われています。→つまり、女性向けの化粧品の中身ほぼそのままで「見せ方」を変えて「男性向け」にしてるということね。

男性用コスメブランド「War Paint」のパッケージ画像

WAR PAINTの意味は、かつてネイティブ・アメリカンなどが戦いの前に顔に施したペイントです。「出陣化粧」というと、かっこいいですが、結局は「戦争」という言葉をいれ、「男らしさ」を強調しているわけです。またデザイン的にもパッケージは全部真っ黒。でも製品ラインナップはファンデーションやブロンザー、コンシーラーなど、もろ「メークアップ」なので、「そこまでして男らしくありたいかw」「トキシック・マスキュリニティの極み」と言われています。雰囲気的に「俺のメーク」みたいな感じといえば伝わるでしょうか?製品メイクアップなのに、それで「女みたい」になってしまうのを過度に恐れるあまり?パッケージ黒くして、戦うぜ!って男ぶって強がってる感じが滑稽なんですよね。そこまでして男らしくありたいんだwっていう。

アメリカ男性向けのブランド

ちなみに、アメリカでは、最近ヒゲが流行っていることもあり、男性向けのグルーミングブランドはたくさんあります。そんななかで、特に「男らしさ」を打ち出してると思うのはDuke Cannonです。

ここはボストン・コンサルティング出身のコンサルで、ゲータレードでブランディングを担当していた人が創業したブランドで、ブランド作りがうまいです。軍隊っぽさを全面に押し出しており、「チャラチャラしてない大人の無骨なオトコ」向けのブランドです。製品はレンガ大ほどもあるゴツくて長持ちする石鹸や、バカでかいリップクリーム、固形コロンやハンドクリームなどです。こちらも石鹸にいちいち「第二次世界大戦シリーズ」で匂いが「勝利の香り」「生産性の香り」「達成の香り」などいちいち男らしい。また、ハンドクリームの命名は「血まみれの拳修復クリーム(Bloody Knuckles Hand Repair Balm)」など、好戦的かつ愛国心が滲んでいます。トキシックかどうかはさておき、完全に「マスキュリン」押しですし、下手したら「女子供」とは違う感が漂ってきそうな気はぷんぷんします。ここのハンドクリームは無香料でめちゃんこしっとり感が長持ちするのでわたし使っているんですが(汗)

トキシック・マスキュリニティを批判する男性向けブランドも

アメリカ男性向けのコンシューマーグッズがどこも「マスキュリン」押しなわけではありません。今年(2019年)の始めにはカミソリメーカーのジレットがいじめやセクシュアル・ハラスメントなどの「トキシック・マスキュリニティ」から生まれる男性文化を批判する広告を発表し、物議を醸し出しました。

肝心の男性はどう考えている?

今回取り上げたようなブランドに対して、アメリカ人男性はどう考えているのか?結構気になります。というのは、実はトキシック・マスキュリニティは、男性自身に対してもっともキツい抑圧として働くからです。

グローバル市場調査会社「ミンテル」の調査では、米国人男性の18%が、「男性用化粧品の広告にセクシズムを感じる」と回答。25%は「広告に採用されるモデルやセレブ、アスリートは、自身を表していない」と答えた。特にミレニアル世代では、「よりリアリティがあり、親近感を感じる広告を好む」とした人が25%と、全体(19%)を上回ったという*2

日本の男性向けブランドはどうなんだろう?

日本のブランドはどうなんだろうと思ってみてみました。男性コスメブランドとしては、「FIVEISM × THREE」などあるみたいですが、ちらっと見る限り、悪い意味でのオスオスしさは感じませんでした。

個人的にはレストランの「俺のシリーズ」や「男前豆腐」とか、やたらと男アピールというか、男らしさ礼賛を感じます。戦いや攻撃性と結び浮いているわけではないので、トキシックかどうかはさておき、でも、やっぱり男男連呼するのは好きじゃない……。

男前豆腐ケンちゃん

と思ったら意外とゲイっぽい外見でした。