#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

留学生は注意!「差別OK」のお墨つきを得たキリスト教系大学が急増中(アメリカ)

photo by Onasill ~ Bill Badzo

アメリカ合衆国教育省が、過去18ヶ月間に、全米の27の大学に対して、差別を禁止する「タイトルナイン(Title IX)」法からの免除を与えていたことがわかりました(参考記事)。

そもそも、この「Title IX(タイトル・ナイン)」法は、大学スポーツにおける男女平等を達成するため1972年に制定されました。この法律には「宗教団体によって運営されている大学の場合は、その教義にそぐわない場合は、このタイトルナインに従わなくてもよい」という条項がついていたのです。

今、大学はこの条項を利用して、タイトルナインから離脱し、LGBTQ学生を堂々と差別したり、退学にしたりする権利を得ているのです(内容は大学によって違います。ざっと見たところ、多くは性自認に基づく差別禁止からの免除のようですが、同性婚関係に関する差別禁止からの免除などもありました)。神の名の元に!オーマイガー!

近年急速にこのタイトルナインの免除申請が増えている背景には、学生の権利意識が高まるにつれ、大学がマイノリティ学生によって訴えられる危険性が高まっていることがあげられます。保守派キリスト教グループは、このような「LGBTQ学生対策」として、各地でトレーニングやウェビナー(オンラインセミナー)を開いており、そのうちの一つのコツが、このタイトルナインからの免除申請のようです。また他にも、学校の学則やハンドブックの作り方などもアドバイスしているようです。

アメリカでは、大学も立派なビジネスであり、株式上場をするような「フォープロフィット(利益追求型)大学」も増えています。教育部門に投入される公的資金がカットされるなか、学生集めや経営に苦心する大学は、このようなリスクを少しでも減らしたいのでしょう。

しかし、こういうキリスト教系大学にも、税金は投入されています。大学の自律性と信教の自由は最大限に尊重されるべきですが、公的援助を受けている以上、差別を是とするようなポリシーは、批判されてしかるべき。

タイトルナインからの免除の事実がこうして広く公表された今、これらの大学は、生き残っていけるのでしょうか?

ちなみに、この免除申請をしている大学のリストは以下のとおりです。オレゴン州カリフォルニア州などリベラルな州にも結構あり、ロサンゼルス郊外にもありました。

画像:Dozens of Christian schools win Title IX waivers to ban LGBT students | The Column

留学を考えているクィアの皆さんはこれらの大学には気をつけてください。思わぬ不利益を被る可能性があります。