420の意味については、日本でもかなり知られるようになってきましたが、実は、マジックマッシュルームについても、同様のムーブメントが去年から出てきています。それが920。
そして、大麻スキーには、「大麻解禁キリッ」な意識高い系がいるのに、キノコスキーには見かけないのはなんでなんだろ?と前から謎。医療目的で使えるなら他のやつもあるし、エコとかナチュラル()ということなら自家栽培できるキノコとかぴったりなのに。効果がよりサイケよりだから?
— イチカワユウ (@yu_ichikawa) 2016年5月18日
以前こんなことをつぶやいていたのですが、見つけました。キノコの世界にも、しっかり意識高い系クラスタはいたのです。わたしが無知なだけでした。
今日はアメリカでは9月20日なので、終わらないうちに急いで書きますね。
920とは
大麻解禁運動家が大麻の安全性や、THCやCBDの薬効を教育することにより、徐々に大麻使用への理解と寛容を広めようとしていったのに対し、キノコ活動家は、マジックマッシュルームの含有成分であるサイロシビンの薬効について理解を広めようとしています。920運動は920 Coalitionというグループが提唱したものに対し、世界各国の団体が賛同し、各自で独立したイベントや運動を9月20日に行なっています。 420は大麻をあらわす隠語としてもかなり流通しており、4時20分や4月20日になると、必ずといっていいくらい420が想起されます。(って想起しない人は想起しないかもだがw)でも420という数字に「ピン」とくる人はかなりの数いるのです。
【参考記事】 4月20日は大麻(マリファナ)の日 - 押して、押して、押し倒されろ!
マジックマッシュルーム活動家たちは、ブランドとして成功した420の成功を見て、サイロシビンについて真面目に理解を深めたいのであれば、同様に「キノコのための祝日」を作り上げることが必要だと考え、920を提唱しはじめました。920というのは結構適当に決まった数字らしく、「あえていうなら、キノコの収穫期だから?」ということらしいですが、まあ覚えやすいですね。
920の創設年である去年は、アメリカ、カナダ、メキシコ、オーストラリア、アイルランド、オランダなどで30個以上のイベントが開かれたそうです。ロサンゼルスでも、多くのイベントが行われています。
大麻を吸う420、キノコについて語り合う920
420と920は歴史だけでなく、そのイベントもかなり性格が違います。
420には「一緒に大麻を吸ってハイになる」という目的での大規模なイベントが多く行われます。
それに対して、920のイベントには「一緒にキノコを食べてトリップしよう」というものはほとんどなく、より教育的かつ啓蒙的な内容のイベントや、サイケデリックな体験を語り合って共有しあうような内省的なものが多いようです。
世界中で大麻が解禁されていくなかで、ほぼ勝利を修めたといってもよいであろう420に対し、始まったばかりの920ムーブメントは、まだまだ規模も小さく、内容も手探りなのです。
サイケデリックスの復権なるか
920は、60年代に一斉を風靡したサイケデリックス文化を見直そうという動きでもあります。ヒッピーや若者のものとして一度は規制されたサイケデリックでしたが、実は、そのバックグランドは「科学」でした。そして、最近では、再び科学的な視点からサイロシビンを含むサイケデリックスの安全性や効能、脳への影響などが研究の対象となりつつあるのです。
雑誌ニューヨーカーによれば、ニューヨーク大学、UCLA、ジョンホプキンス大学などが、不安や各種依存症などの治療に対してサイロシビンを使えないかという研究を行っています(参考記事)。
また、ハーバードの大学院で政策を学んだリック・ドブリン博士が設立した非営利団体MAPSではMDMAやLSDさらに、サイロシビンやアヤワスカなどを使った心理セラピーを研究しています。ドブリン博士は学術論文も大麻やサイケデリックスの医療使用に対する規制をテーマに書いていて、かなり筋金いりです(論文要旨)。
多くの場合、サイケデリックスは法律によって規制されていますし、例外的に合法な場合でも、サイケデリックスには強い社会的スティグマが存在します。サイケデリックスにまつわる正しい知識がほとんど広まっていないのは、このスティグマによるところも多いでしょう。
しかし、社会の状況は変わっていっているかもしれません。前述の非営利団体MAPSのスポークスパーソンであるブラッド・バージはVICEに対して語っています(参考記事)。
60年代に西欧社会に紹介されたサイケデリックスは「カウンターカルチャー」でありメインストリームの対極に位置するものでしたが、今920というイベントが生まれていることは、サイケデリックスが徐々にメインストリーム文化の一部となりつつある証拠だというのです。
シリコンバレーの人気企業の創業者や経営者たちがこぞってLSD体験を語ったり、セレブリティーたちと共にバーニングマンに参加しているようなのも、サイケデリックスの社会的受容のされ方に影響を与えていることでしょう。
しかし、現在アメリカでは、サイロシビンは、まだヘロインと同様のスケジュール1として厳しく規制されています。
そして、まだ生まれたばかりの920ムーブメントは今後どこへ向かうのか。どの程度盛り上がるのか。
今後も見守っていきたいと思います。
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