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アメリカで働くレズの徒然

「LGBTフレンドリー」の、その先へ。「よりよいアーライ」になるための10ヶ条

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アーライ(ally)は、同盟という意味で、ある社会的カテゴリの当事者ではないけれども、友好的な仲間という意味です。同性愛者に対する、異性愛者や、トランスジェンダーに対するシスジェンダー、人種差別に反対する白人や、フェミニストの男性、さまざまなパターンがあります。

わたしたちは皆ある場所においては当事者であり、また別の場所においてはアーライです。

わたしもいろいろな場面(プライドのボランティアスタッフやったり、バイセクシャルのミーティングに参加したり、黒人が中心となったブラック・プライドでボランティアしたり、日系アメリカ人やアジア系アメリカ人のコミュニティーに関わった経験などから)当事者性については考え続けてきました。

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「自分はメインのターゲットじゃないよなー」と感じる当事者運動においては、居心地の悪さを感じることもあったのですが、「アーライ」という概念を知ってから、随分楽になりました。しかし、アーライであることは結構難しい点もあり、特に普段「多数派」として生きているアーライが、少数派に「アーライ」するためには、学ぶべきことも沢山あります。「XXフレンドリー」だとか「XXを“認めて”いる」というのを超えた努力や、一定の態度が必要なのです。

最近、日本でも「アーライ」という言葉をよく聞くようになったので、わたしが当事者として、そしてアーライとして心がけていることを中心に書いてみます。様々な場面において「よいアーライになりたい」と思っている人や、アーライとして当事者とのつきあい方に悩んでいる方へのヒントとなれば幸いです。

1.聞く

当事者の話に耳を傾けてください。

これ、本当に大事です。

特に何か批判されたりした時に大事です。

批判されたら凹みますね。

でも、そこで悲しくなったり、怒りに流されて反論したり、耳を塞いだりしないでください。

間違えることは悪いことではありません。というか、人にとって間違えないことは不可能。人は絶対に間違えます。間違えてもいいんです。間違いを指摘されたり、批判されたら、言い訳したくなる気持ちを飲み込んで、耳を傾けてください。

すぐに分からなくても、いいんです。「どこが悪いんだか、親切に教えろ!」とか言わずに、じっくり考えていきましょう。

2. 常に学びつづける

アーライは自分が知らないことを自覚し、常に学びつづけましょう。 でも、大切なのは「教えてもらうのが当然」と思わないこと。

本、映画、インターネット。世の中にはいろいろなリソースが既にあふれています。それらを使って、自分でなるべく調べましょう。

何も学ばずに、当事者に不躾な質問をして「自分にいちからわかりやすい説明をしてくれるのが当然」なんて期待しないこと。当事者はアーライに「教える」義務なんてないんですからね。

もちろん、現実には、いろいろ話をしてくれる親切な当事者は沢山いるでしょう。しかし、それを当然だと思わないこと。そして、それをすべての当事者に期待しないでください。

3. 当事者をアクセサリー扱いしない

当事者運動に関わることを、「あなた」自身を飾るアクセサリーのように扱わないでください。何かというと、すぐ「XX(←マイノリティーの属性が入る)の友達がいるんだけど」と人に言ってませんか?その話、本当にセクシャリティーなどの冠をつけて話す必要はありますか?

活動は、あなたをかっこよくクールに見せるためのものではなく、当事者が生き延びていくための必要から生まれたものです。そのことを肝に銘じてください。

4. スポットライトを浴びようとしない

当事者運動は、あくまで当事者のためにあることを忘れないでください。 アーライは黒子です。

あなたの気持ちやあなたの体験はあなたにとって貴重で大事なものですが、いつでもそれが一番中心的に扱われることを期待しないでください。あなたが発言し、注目を集める一方で、誰か発言の機会を奪われている当事者がいませんか?

5. アウティングしない

コミュニティ活動をする上で知り得た個人情報を、軽々しく外に出さないでください。

「わたしの友達は皆差別なんてしないよ」

「わたしはXX差別をしないから、逆にXXは個性だと思ってるから、言っただけ。隠してる方が、おかしい」

はい、全部、言い訳になりません。自分の情報を誰に言うかは、その人自身が決めてよいはずですよね?カムアウトするべきとか、した方がいいとか、しないほうがいいとか、あなたが決めるべきことではありません。

6.「なぜここにいるのか?」という質問を恐れない

「自分は相手のアーライなのだから、当然のように歓迎されるのに違いない」と思い込むのはやめましょう。その傲慢な考えが打ち砕かれた時のバックラッシュが心配です。

当事者は時に、アーライが「運動の場」にいる理由を問います。決してあなたを蹴り出そうと思って尋問してるわけではありません。アーライは活動にとって必要不可欠なのですから、もちろん1人でも多くのアーライがいてほしいのは当然です。でも、残念ながら、「アーライもどき」もいます。味方のような顔をして入り込んだコミュニティで暴れだし、当事者をめっちゃくちゃに傷つけ、運動を壊して去っていく「アーライもどき」がいます。単にアーライの顔をした差別者もいます。警戒するのは、当然です。

いちいち「どうしてXXの活動に関わるの?」と聞かれるのは確かに面接受けてるみたいでうざいし、それが無礼になされたら、傷つくのは当然です。だから、わたしは個人的にアーライの人に面と向かってこういう質問をすることはほぼありません。でも嫌な気持ちになったら、あなたはいつでもアーライをやめられる。でも当事者は当事者であることをやめられないのです。そこにはアーライと当事者の徹底的な違いがあります。

考えるのは面倒くさいかもしれません。
でも考えてみてください。

あなたはなぜここにいるんですか?

あなたにとって、これはなぜ大事なんですか?

正しい答えはありません。あなたがきちんと考えて出した答えなら、それでいいんです。

7. 「代弁」と「忠告」をしない

あなたが、当事者の気持ちを当事者よりも上手に言ってあげられるはずだと思わないでください。あなたの意見は「あなた個人の意見」として発言してください。

「そんなんじゃ、怖がられるだけだよ」

「多数派の気持ちを教えてあげる」

そんな上から目線のクソバイスにも要注意!生まれた時から、逃げられない属性を持ち、活動に真剣に関わり続けている当事者に対して、思いつきで「忠告」ができると思わないでください。その根拠のない自信はどこからくるんですか?

8.「逆差別された!」と言わない

「逆差別だ!」と言いたくなったら、まずはそれをぐっと飲み込んでください。

人はいろいろな属性を持ちます。あなたは異性愛者かもしれないけど、障がいを持った女性かもしれない。あなたは在日韓国人だけれど、異性愛者のシス男性かもしれない。時に「当事者」であり、時に「アーライ」である場面が入り乱れる、そんな場で、何が「差別」で、何がそうでないのかを決めるのは簡単ではありません。

確かにあなたは、ある当事者活動の場を離れたら、別の属性によって差別されているかもしれません。

しかし、とある当事者活動のコミュニティで、アーライである自分が排除されたように感じても、それをもって「差別だ」と即決めつけるのはやめてください。例えば、トランスジェンダーしか入れない場や、特定の少数民族しか入れない空間があったとしても「そこに入れない」=差別だと決めつけないでください。アーライだから歓迎されるだろうと考えて参加した空間で、思ったより人々がフレンドリーではなかったからといって「排他的」だと考えないでください。

常に分断され、口を塞がれ、生きていくうえでいつも「声をかき消される存在」であることに慣れてきてしまっている当事者にとって、時に「共通点のある仲間たちだけ」の空間を持つことはとても重要なのです。その重要性を理解し、尊重してください。

9. 嘘をつかない

自分の出自や民族、セクシュアリティーを偽って「当事者」のふりをしないでください。嘘をつくのは、あなたがアーライとして力になりたいと考えているコミュニティーに対しても失礼です。それは当事者としての経験を軽んじることだからです。

活動には、アーライが必ず必要で、アーライにしかできないことがあります。正直に自分にできることをやっていきましょう。

10. 戦う

アーライなりのやり方で、戦ってください。

サークルの外でもです。

当事者がいない場所でもです。

軽い気持ちで出された、差別的なジョーク、からかい、そういうのを目にしたら、戦ってください。泣きわめいて大騒ぎする必要はありません。ちょっとした抵抗でもかまいません。

「XXXX人はこうだとか、決めつけるのはよくないと思う」

「ゲイは『異常』な存在なんかじゃない」

その時に、「ゲイの友達が……」といちいち言う必要はありません(相手も、「ゲイの友達」を正当化に使うことはできません)。差別的かどうかは「ゲイの友達」が決めるべき問題ではないです。あなた自身がどう思うかです。これは、あなたの戦いなのです。「それってどうかなあ?」という顔をするだけでもかまいません。その場のノリに合わせて大笑いせずに、困った顔をしたり、肩をすくめたり「そういうジョークはつまらないです」という態度をするのもいいでしょう。

毎日の生活のなかで、あなたにできることを少しずつやっていく。その積み重ねが、アーライを作るのです。

LGBT関連以外に、フェミニズムや、反レイシズムの活動をする時にも当てはまると思います。

yuichikawa.blog.fc2.com

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