昔々、まだ私がアメリカに来る前の話。
「フェム限定のオフ会なんだけど、来ない?」って誘われた。
(えっ……。私ってフェムってことでいいのかな?)と一瞬迷ったけど、「フェム限定って言われて迷う人はダメ!」とか言われそうだったから、そんな逡巡はおくびにも出さずに「いいね!行く!」って答えたよ。
そのオフ会は、誘ってくれた子の友達が幹事をしてるってことだったので、多分幹事の知り合いなら入れるだろうと思ったし、何よりその誘ってくれた子のことがほんのり気になってたんだよね。
わたしは本当は、その子と2人で遊びたかった。でも、その子にはそーゆーつもりはないっぽかった。そうだったら、オフ会なんて誘わないわなぁ。
オフ会の当日、その子は、幹事とばかり話している。席が遠くなってしまったわたしは全然話せなかった。チラチラ見てみたけど彼女はわたしと来たことなんて忘れてるみたいに盛り上がってる。わたしも新しい友達を作ればそれでいいんだろう。来てる人たちは、まあ確かにフェムだしまぁ可愛いんだけど、なんか、こう、ぐっと来るものがない。
わたしは長テーブルの一番端の席に座ってぼーっとしながら、いつか自分があの子とつきあえる日は来るのかなぁ?なんて考えてた。
15分後に、運命の出会いが訪れるとも知らずに。何年経っても忘れられない出来事が訪れることも知らずに。