こんにちは〜。もうすぐつきあって3年になる彼女Fちゃんとの馴れ初め話を連載中のイチカワユウ(@yu_ichikawa)です。
一回目、二回目、三回目、四回目の記事にスター&ツイートなどで反応してくださった方々ありがとうございます。
第5弾いきます!
(5) 恋愛よりも友情
その頃、わたしはFちゃんより前に、とあるクラブで知り合った女の子とよく話していました。Hちゃんとしましょう。
Hちゃんは顔は決して「美少女」ではないのですが、ものすごーく人と距離を詰めるのがうまく、明るくよく笑い、ボディータッチが多く、カリスマ的な魅力のある子でした。そんなHちゃんとは出会った直後から急速に仲良くなっていったのですが、Hちゃんには何年もつきあっている彼女がいました。
「サンフランシスコに彼女がいる。でもオープンリレーションシップなの。だから、大丈夫」
そう聞かされた時、わたしはがっかりするというよりも、テンションあがりました。オープンリレーションシップ!わたしは、前回書いたようにポリアモリーに興 味があり、それでいて、レズビアンコミュニティーのなかでは、実際実践して成功しているカップルというのは全然知らなかったので、かなりすごい!と思って そーゆー話をいろいろ聞くようになりました。
彼らのルールは、彼女がロサンゼルスにいるときは、Hちゃんは彼女だけを見る、でも彼女がサンフランシスコにいる時はお互い好きなことをしてよい、というものでした。
「でもさ、時々大変だよね。彼女が理解してくれない時があるもん」
「なるほどねぇ」
Hちゃんはクラブ好きで、一応大学院生で忙しいはずなのに、いつもバーやクラブで飲み歩いています。
またあそこ行く?行こうよ!ということで、二人が出会ったクラブ行きを計画すると、なんとたまたまその日Fちゃんからも「今日クラブに行くの?」と連絡が。結局Fちゃんと一緒に行くことになりました。
クラブにつくと、まだHちゃんは来ていないみたい。
「ついたよー」とHちゃんに携帯メールして、クラブの中をウロウロしていると、知り合いを何人か発見。
そのなかにわたしはしばらく前に会ったばかりのボーイッシュな子がいたのですが、その子とFちゃんとは古い友達らしく「やーん、久しぶり!」と言って盛り上がってます。←Lの世界狭い。
この頃わたしとFちゃんははよく一緒に行動していたので「あれ、二人って、デートしてるの?」と聞かれることが多かったのですが、Fちゃんは「違うよー」とあっさり否定。ま、実際違うしね……。
すると、そのボーイッシュくんが、「今からすっごい可愛い子来るから紹介するよ。Fちゃんにぴったりだと思う」と言い出しました。
Fちゃん「そんなに可愛いなら何で自分でいかないの?」
ボーイッシュ「オレは彼女のタイプじゃないんだよ……彼女はフェムが好きみたいで……もうすぐ来るみたい」
ボーイッシュくんはそんなことを言いながら、その友達と携帯メールでとやりとりしています。
わたしは横で「Hちゃん早く来ないかな~」と思いながら携帯メールを送ったりツイッターを見たりしていたのですが、ふと耳に入ってきた名前に驚愕。
Fちゃん「その子、何ていうの?」
ボーイッシュ「Hちゃんだよ」
え?Hちゃん?
ちょちょちょっと待ってね。
それって、UCLAで大学院に行ってるHちゃん? 妹と一緒にウエストウッドに住んでるHちゃん? カルビン・ハリスが好きなHちゃん? サンフランシスコに彼女がいるHちゃん? わたしと毎日話してて、今この瞬間もメールしてるHちゃん?
焦りを隠しながら探りを入れると
「うん……あっ、でもHちゃんは彼女いない。シングルだよ」
と、ボーイッシュくん。
えー?ますます混乱してきたわたしを尻目に、Fちゃんは
「可愛いの?何歳?背は高いの?早く来ないかな~」
……とワクワクしている。
Hちゃんは、たぶん、ボーイッシュくんとわたしが知り合いで今一緒にいることを知らずに、二人と同時に携帯メールしてるんだ。
ヤバい、ヤバいよー。なんか修羅場……まではいかずとも、なんとなく、気まずいことになりそう。
わたしは動揺を隠しながら、とりあえず「ちょっと話したいのだけどよい?」とFちゃんをトイレへと引っ張っていきました。
「あのさ……?」
「何?」
「さっきボーイッシュくんが紹介したいって言ってた『Hちゃん』ってさ、わたしも知り合いなんだよね。それで……」
「あれ?もしかして、そういうこと?」
飲み込みの早いFちゃんは、ニヤッと笑いました。
「あのさ、大丈夫。わたしは揉め事*1にはうんざりしてる!友達の方が大事だよ。だから安心して」
揉め事にうんざりしてるのはわたしも同じです。これまでレズビアンコミュニティーのなかで何度も何度も嫌な思いをしてきたので、彼女のきっぱりした言い方にホッとしました。
「うん……。物事を複雑にしたくないから先に言っておきたかった」
「全然問題ないよ。それにわたし、今どっちにしろ彼女探してないしね!ユウがHちゃんを好きなのなら、応援するよ。頑張って!」
Fちゃん……いい奴だぁ……。
わたしの中でFちゃんの株が急上昇した瞬間でした。
反面Hちゃんに対しては軽く不信感が芽生えました。
Hちゃんって、周りに彼女いること隠してシングルって言ってるわけ?そう言えば、わたしも出会って盛り上がった夜には言ってもらえず、しばらく経ってから彼女いるってことを聞いた気がする。
なんかさ、オープンリレーションシップって、嘘とか隠し事しないんじゃなかったの?言ってることと、やってること、違うよね……。
(続く)
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*1:drama