#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

ギャンブルという仕組みの恐ろしさ

大谷翔平の通訳、水原一平が違法のスポーツ賭博で巨額の借金を作り、大谷の資金を使って送金していたという騒動。ようやく詳細が出てきて、当初ささやかれていた様々な疑問に応える報道もかなり出てきた。

わたしは当初からこの問題を依存症の問題だととらえてきた。ギャンブルにしても薬物にしても、人間は何かに依存してしまうと、その人の本来の人格や価値観とは反した行動にも出てしまうし、認知症同様「その人がその人でなくなってしまう」怖さがある、と。関係性が深い相手であればそこで関係を絶つことなどは難しいと思うが、それでも「この人は何をしでかすかわからない」というリスクを受け入れたうえでつきあうべきだと感じてきた。

しかし、違法な賭博のブックメーカーとのやり取りが公開されるにつけ、「こんなに負け続けているのに、どんどんクレジットの枠を引き上げていくブックメーカーも大問題だよな」とあきれてしまった。借金が膨れ上がっていて負けが込んでいるのに「これが最後、これが最後」と頼まれるたびに気軽に信用取引の枠を増やしていく。別に水原一平を擁護するわけではないが、やはりブックメーカー側がenableしてしまったからこそ、ここまで借金が膨れ上がってしまったというのはあると思う。

人は弱い。

意思の力なんて、依存症を持ち出すまでもなく、ちょっとした欲望や怠惰や一瞬の気の迷いであっという間に崩れてしまう。

だからこそ、意思の力ではなく、「仕組み」を使い、不正や危険な行為を「したくてもできないようにしておく」ことは、リスク管理のうえで重要なんだと思う。

そして、やっぱりギャンブルは社会的コストが高すぎるなと改めて思った。

ここ10年ほどでアメリカでは以前は違法だったスポーツ賭博がどんどん広まっていった(カリフォルニアはまだ違法。前回の選挙でも、住民投票の項目にあがっていた)。プロリーグも協力している。別に合法化しないとしても、どうせ今回水原一平が使ったような違法のブックメーカーがあるし、地下で違法業者が稼ぐくらいなら、合法化して業界として認めて税金を取ろう、というのは、大麻解禁とも通じる流れだ。わたしもどちらかというと、自由主義者なので、いちいち政府が賭け事を禁止とかうぜーなと思ってしまう。けれど今回の水原一平の負けっぷりとそこから派生したスキャンダルを見て「うん、こんなヤバい仕組み、規制するわな」と思ってしまった。全て違法にするべきとは言わないが、どこかで条件をつけるとか、明らかにこんなに借金させるまえに、止める安全装置がないと、悲劇はどんどん生まれてしまうんじゃないかなと心配だ。

以前も書いたが最近Xではギャンブル関係の広告がすごく多い。スポーツ賭博のアプリもそうだし、普通にオンラインポーカーとかも多い。

www.atashimo.com

こういうのに並んでいまだに広告出してるベルサーチとか大丈夫かなと思っちゃうけど。それはさておき、こういう風に常に気軽にリアルマネーを使った賭博が可能な環境というのは、依存症の社会コストを考えると本当によくないのではないかと思ってしまう。