ゼンデイヤ主演、『君の名前で僕を呼んで』『ボーンズ アンド オール』のルカ・グァダニーノ 監督の新作映画『チャレンジャーズ』を観てきました。
チャレンジャーズ予告編
チャレンジャーズあらすじ(ネタバレあり)
2006年、高校生で幼なじみの親友パトリック・ツヴァイク(ジョシュ・オコナー)とアート・ドナルドソンは、全米オープンの男子ジュニアダブルスで優勝する。
その後2人は、女子若手有望株のテニスプレイヤーで既にアディダスのスポンサーなどもついている人気選手タシ・ダンカン(ゼンデイヤ)と出会い虜になる。3人は打ち上げパーティのあと、ホテルの一室でおちあい、ビールを飲みながら語り合う。タシは二人とキスをするが、タシは途中で二人をキスさせ自分は立ち去る。
翌日のジュニアシングルス決勝でパトリックとアートが対戦することになり、タシは勝った方に電話番号を教えると言う。
パトリックは試合に勝ち、タシとデートを始める。「タシとセックスしたらサーブの仕方で教えてほしい」というアートに対し、サーブ前にボールをラケットのネックに当てることで、パトリックはタシとセックスしたことを告げる。
タシとアートはスタンフォード大学でテニスを続けるが、パトリックはプロに転向してタシと遠距離恋愛を始める。
タシのことを諦めきれないアートは大学でランチを取りながら、タシに「パトリックは実は彼女を愛していないのでは」と言う。タシは機嫌を損ね「あなたは悪い友達だ」という。
アートは、タシに会いにスタンフォード大学を訪れたパトリックに対しても「タシはこの関係をそんなに真剣にとらえていないのではないか」と言い、華麗の関係を悪くさせようとするが、パトリックは、アートがタシとつきあう自分に嫉妬していることを見抜く、
アートの言葉が脳裏残っているおんかパトリックとタシは、セックスの最中に喧嘩をしてしまう。タシはパトリックにテニスに関するアドバイスをするがパトリックは「君はコーチでない」として耳を貸さない。
その後のタシの試合をアートは観に行くが、まだ喧嘩中のパトリックは現れない。その試合中にタシは足に大怪我を負い、アートはすぐに駆けつけてタシに付き添う。パトリックも遅れて病室に現れるがタシは試合を見に来なかった彼に激怒して彼に立ち去るよう要求し、アートも彼女の味方をする。アートはタシの回復と練習を手伝うが、タシのテニス選手生命は絶たれてしまう。
数年後の2009年、タシはアートと再会し、アートはタシにコーチとしてチームに参加するように誘う。 その後。2011年、タシとアートは婚約し、アートのキャリアは上り調子だった。しかし、アトランタ・オープンの日、タシとパトリックは偶然再会し、一夜限りの関係を持つ。
2019年、結婚したタシとアートは、幼い娘リリーを持ち、テニス界で有名なパワーカップルになっていた。タシの指導の下、アートはトッププロテニスプレーヤーになった。全米オープンでグランドスラムまであと1勝と迫っているが、怪我からの復帰後は苦戦を強いられていた。
タシは、ニューヨークのニューロシェルで開催されるチャレンジャーという小さな大会に、アートを出場させる。下位レベルの相手に勝つことで、自信を高め、調子を取り戻すことを期待してのことだ。
一方パトリックは現在、無名の選手であり、下級サーキット(いわばマイナーリーグ的な存在)で稼いだ賞金で細々と暮らしていたが、この大会にエントリーしていた。パトリックとアートはは勝ち進み、とうとう決勝で対決することになる。
パトリックはアートと仲直りしようとするが、アートはパトリックを拒絶し、「お前はオワコンだが自分はテニスの歴史に名を残す」と言い放つ。
しかし、タシがアートに不満を持っていること、そしてアートがプレーに疲れていることを察知したパトリックは、タシを呼び出し、自分をコーチしてくれるよう密かに頼むが、彼女は拒絶する。
決勝前夜、アートはタシが自分を通じて彼女自身のテニスキャリアの夢を追っていることを理解しながら「全英オープンで優勝しようがしまいが、今シーズン限りで引退したい」と告げる。沈黙するタシに対し、自分を愛しているという安心感が欲しくて子供のようにすがりついてくるアート。彼女は半ば強引に彼の引退を受け入れると主張するが、アートはそれを信じようとしない。タシはアートを発奮させようと「決勝でパトリックに負けたら別れる。あなたなら彼には勝てる」とアートに告げる。
その後、タシは密かにパトリックに会い、アートに負けてくれるように頼む。パトリックは拒絶するが、最後はしぶしぶ同意する。そして2人は彼の車の中でセックスをする。
決勝戦の日、タシは観客席からアートとパトリックの試合を見守る。第1セットはパトリックの勝ち、第2セットはアートの勝ち。
最終ゲーム終盤、アートがリードを奪うと、パトリックはダブルフォールトを犯し、試合を投げ出し始める。しかしパトリックは負けを認めず、昔約束した「サーブの方法」を使って自分がタシと寝たことをほのめかす。アートは呆然とし、再び同点に追いつくまでパトリックに得点を許す。
タイブレーク中、アートとパトリックは激しくターンを交わす。ラリーは激しさを増し、両者はネット際のボレーに飛びつく。アートがボールを叩きつけると、ネット越しにパトリックとぶつかり、2人は固く抱き合う。スタンドから歓声が上がる。
チャレンジャーズ感想
すっごく面白かったです!
ゼンデイヤの魅力が炸裂しているのと、アートとパトリックというタイプの違う二人が、テニスを通じて、人生を通じて競い合う様が刺激的でした。めちゃくちゃ「青春」っていう感じで心が痛いです。切ないんよ……!
そしてこの映画はスポーツ・ロマンス映画にカテゴリされていますが、実はかなり「心理ミステリ」的な要素があります。
タシが愛しているのは誰なのか?
タシがアートのことを愛していることは確実です。しかし、同時に自信とテニスへの情熱を失い、子供のように彼女の承認を求めるアートのことを、アートが求めるように愛しているのかはわかりません。彼らのやり取りを観ていると、アートとタシの関係は常にアートがタシに焦がれているように見えます。
それでは、タシはパトリックの方を愛しているのか?それも疑問です。確かにタシはアートと婚約や結婚した後も突発的にパトリックと関係を持ちますが、それは「愛情」というよりも、二人の間の終わっていない話に決着をつけ、心の整理をつけるために必要な儀式のようなものにも見えるし、タシが決勝試合の前夜にパトリックとセックスしたのは、あくまで「アートを勝たせるため」に、八百長を飲ませるための策だと理解しているのですが、どこかで「タシ自身がそれを求めていた部分もあるのでは」という疑問もわきます。
結局のところ、タシとパトリックの関係が終わったのはタシに恋していた「アート」の策略によるものであり、二人は本当に適切な「破局」を経験することができなかったからこそ、ワンナイト・スタンドを繰り返してしまうのかもしれません。
最後に勝ったのはどっちなのか?
アートとパトリックの決勝戦はとても接戦です。最後、結末が明かされないで終わるので、「結局どっちが勝ったのか?」一瞬わからないかもしれません。
約束どおりパトリックがアートに勝たせたのか?それともネットに飛び込み相手コートに入ったアートの反則負けなのか?
映画の制作陣はわざとこの結末をあいまいにしたそうで、ネットにも様々な考察が溢れています。
しかし、ここで最も大切なのは最後に二人のライバルが抱き合っているということでおり、それを観ながら「カモーン!」と叫ぶタシの眼差しです。
「私が二人の仲を引き裂きませんように」と冗談めかして語っていた高校生の時のタシの言葉が蘇りますが、彼女が求めていたのは、あの頃のように二人が全力でぶつかり合い、愛し合い、そしてそこに彼女も入って三人一体化していくような、混沌としながらもイノセントだった青春の一時が戻ってきたかのような感覚こそを求めており、二人が抱き合ってそれが達成された瞬間、現実が紛れ込んできてその幻想が崩れる前に、映画は幕を閉じたのかもしれません。
結局、これはタシを引き合いにしたアートとパトリックの関係性の話であり、ラブラブだった二人が引き裂かれ、そこから再会してまた昔のような繋がりを(一瞬とはいえ)取り戻すという愛情の再生の物語なのかなと思います。
音楽がよかった!
トレント・レズナーの手掛けている音楽がかっこよかったのだけど、音楽の音量が大きすぎてところどころセリフが聞きとりづらかったです。BGMなんだけど主張が強いっす!
このサントラかけると家の掃除とかはかどりますw 無理やり身体が動きます。
テニス映画としてはどうなんだろう?
『チャレンジャーズ』は一応テニス映画としての体裁を取っていますが、テニスがよくわからくても楽しめます。というか、テニスはたまたた選ばれた「舞台」にすぎず、これは3人の愛と競争のパワーゲームについてのお話なんだと思います。
しかし、テニスに詳しい方や、実際プレイされる方からしたらどう見えるのかは興味があります。
チャレンジャーズ評価
チャレンジャーズはロッテントマトでトマトメーター84%、オーディエンススコアは74%と概ね高評価です。公開直後のオーディエンススコアは95%とか超高評価だったのですが、その後視聴者が増えるにつれスコアが低下しました。
- セクシー度 ★★★★★
- 切なさ度 ★★★★★
- スポ根度 ★★☆☆☆
『チャレンジャーズ』日本公開
チャレンジャーズは6月7日に劇場公開されます。 https://wwws.warnerbros.co.jp/challengers/