バナナが大好きだ。 いつも家にある。
よく熟して、皮がうすーくなり、茶色い斑点が出たようなのがよい。
硬くて青いのは渋みがあって、それはそれで爽やかでいい。
大抵朝はミキサーでバナナジュースを作って飲む。バナナ一本と氷を数個、これにミルクを入れてガーッと混ぜる。泡立ってフワフワの不思議な食感だ。
このバナナジュースは、昔アルバイトしていたカレー屋で覚えたものだ。当時お金がなく、まかないのご飯を山盛りにして怒られたりしていた私にとって、毎日自分の作る数百円のバナナジュースは手の届かないものだった。白く泡立った冷たいバナナジュース!あぁ、飲んでみたい。どんな味なんだろう〜。
そんなある日、バイト先のミキサーが新しくなった。横に置かれた古いミキサーを見ていたわたしに、店長が言った。
「それ、持って帰っていいよ」
わたしはその店長が苦手だった。地元出身ではないわたしのイントネーションをからかったり、わたしの通っていた学校をからかったり、とにかくどう反応したらよいかわからない冗談ばかり言うのだ。
でも、その時は嬉しかった!やった!ありがとう店長!
ミキサーを抱えて持ち帰ったわたしは、早速バナナジュースを作った。初めて口にするバナナジュース。う、うまいっ!バナナしか入れていないのにキチンと甘くてクリーミーで冷たくて、美味しいー!
その日以来、わたしはバナナジュースが大好物になった。
今でも毎日のように飲む。
ミルクを豆乳に変えたり、イチゴを入れたり。プロテインパウダーを入れて、パワーシェイクにする時もあるし、ケールや青汁のもとを入れるのも美味しい。黒ゴマを入れると、途端に和風な味わい。
しかし、シンプルなバナナジュースの美味しさは一番だ。
- 作者: よしもとばなな
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
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