久しぶりに実写の邦画『斬、(英題:Killing)』を観ましたが……つまらなさすぎてびっくり。たった一作で邦画全体を語ってはいけないけど、こんなのが高評価って、大丈夫でしょうか?
ろくなストーリーがない脚本もそうだし、役者の演技も大根過ぎて苦痛。時代劇なのに、キャラクター達の言葉遣いなどが現代的なのも違和感。
本作は江戸末期、江戸に駆けつけて戦おうとする浪人たちの姿を描いています。しかし実際には話は全て彼らが江戸に向かう前の小さな農村と山の中だけで撮影されており、低予算感を出しています。画面は暗いし、カメラをめちゃくちゃ揺らして撮影していますが、血湧き肉躍るような時代の変わり目の躍動感などは一切感じられません。
一応、武術に長けた侍なのに、長く続いた太平のために人を切ったことがない(というかむしろ人を殺せない)というモリノシンとの葛藤と、そんな彼に人を斬れ!と迫る武士サワモリのやりとり、またモリノシンと居候している農家の娘のゆうの間の恋、があえていうなら「プロット」ですが、エンタメ作品としてあまりに微妙すぎて、全然楽しめませんでした。
エンタメではない!アートなのだ!というならいいですけど、アートの割には絵的にも美しさはないし、演技も「棒読み」「怒鳴る」「泣く」です。セリフではなく、表情は仕草で内面を伝えようとしているのかもしれませんが、無駄な間が多く挿入され、もう、何から何まで自己満足の塊のように感じてしまいました。
- 監督:塚本晋也
- 出演:池松壮亮、蒼井優、中村達也、前田隆成、塚本晋也