#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

ミルクの時代から現代へ続くLGBT運動を描いた『When we rise』

ダスティン・ランス・ブラックとガス・バン・サントのコンビが、クリーブ・ジョーンズの自伝的作品『When we rise』をテレビドラマ化しました!  

 

When We Rise (Original Television Soundtrack)

 

1971年代から現代まで続くLGBT権利獲得運動に焦点を当てたドラマです。

 

若き日のクリーブ・ジョーンズだけではなく、女性運動に関わるレズビアンのローマ・ガイや、黒人としてゲイ差別だけでなく人種差別にも直面しなければいけなかったケン・ジョーンズなど、様々な立場の実在のアクティビストの姿が描かれている点が興味深いです。

 

製作メンツもそうだし、扱っているテーマももろ『ミルク』とかぶりますね。

 

 

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 初回エピソードは、まさにハーヴィ・ミルクが登場していた70年代初頭のサンフランシスコが舞台でしたが、今後は、現代の話にもつながってくるようなので、楽しみです。

 

アカデミー賞の票を数えるのは会計士!封筒は「いざという時」のため2つあったのが間違いの原因か?!

[_Moonlight_]

今年のアカデミー賞すごかったですね!女優が階段で転ぶとかじゃなくて、『最優秀作品賞』を間違って発表するってw

プレゼンターとして登場した、ウォーレン・ベイティは、封筒を開けた後、戸惑ったようにもじもじ。結局痺れを切らしたようなフェイ・ダナウェイが『ラ・ラ・ランド』と読み上げました。

『ラ・ラ・ランド』は前評判も高かったし、監督賞や主演女優賞など、どんどん取っていたため、違和感がなかったことから、皆当然のように感謝のスピーチをしていたところ「いや、最優秀賞はムーンライト」だと。ん?何を言ってるのかと思ったら、本当に実は『ムーンライト』だったんですね。

え?え?え???

嬉しいんだけど、ちょっと気まずかったです。

アカデミー賞はどうやって決まるの?

アカデミー賞は、会員の投票によって決まります。実は、この投票が公正かつ秘密裏に行われるように管理しているのは「会計事務所」なんだそうです。へえ〜!

1934年以来、四大会計事務所の一つ、PwCが担当しています。

http://www.pwc.com/us/en/pwc-and-the-oscars.html#/

アカデミー賞プロジェクトをリードしているのは、マーサ・クルスと、ブライアン・カリナンの二人。普段は税の専門家として、エンタメ系の顧客のために働いているそうですが、オスカーの前になると、「ハリウッドの秘密を知る会計士」としてメディアにも登場します。

彼らの仕事は、会員からの票を正確に数え、その秘密を当日まで安全に守ること。ノミネートが発表された後から、アカデミー賞当日の一週間前の締め切りまで集まる会員からの票は、6,000票にも登ります。大体数えるのには3日かかるそうですが、勝者が決まってからも、何度も数え直し、一人の会計士が数えるのは、最終結果が分からないように、そのカテゴリーの一部だけ。そうすることで、当日まで秘密が守られるようになっているのです。

アカデミー賞当日の数時間前には、そのプロジェクトのリーダー二人が、正しく封筒にセットされているか最終確認をするそうです。そして、当日は、万一どちらか一人がロサンゼルスの渋滞(ラ・ラ・ランドの冒頭シーンのように!)に巻き込まれても、もう一人がきちんと届けられるように、二人が同じ封筒をブリーフケースに詰めて会場に持っていくそうなのです。

つまり、カテゴリーの封筒は、何があってもよいおように、二種類ずつ用意されてるんですね。そして、万一のときのために、二人は全てのカテゴリーにおけるそれぞれの勝者を全て記憶するとのことです。

そして二人はバックステージで、プレゼンターに封筒を渡すそうですが……。この「封筒は二つずつある」というのがあやしいですね。

ウォーレン・ベイティは「(最優秀賞作品賞のカテゴリなのに)エマ・ストーン(ラ・ラ・ランド)と書かれていたから、フェイの顔をあんなに長く見つめてしまったんだ。ウケようとしてたわけじゃない」と釈明してました。79歳という高齢のため、彼を疑った人も多いと思いますが、読み間違いや冗談ではなかった…と言うことですね。もう一つあった主演女優賞の封筒が、最優秀作品賞の封筒と間違えて渡されてしまったということ?ということは、このマーサかブライアンのどちらかがミスしたのでしょうか?それとも別のスタッフ?

↑ウォーレンが持った封筒のアップ。確かに主演女優賞と書いてある。

でも、その後で舞台上でウォーレンから取り上げられた紙には「ムーンライト」と書いてあったんですよね。……謎は深まるばかり。

フェイが「ラ・ラ・ランド!」と発表した時、PwCの二人は舞台裏でどんな顔をしてたんでしょうか?想像するだけで恐ろしい。

それにしても、この件で、PwCの誰かの首が飛ぶことは間違いないでしょうね。

ハリウッドでエンタメ会計士の仕事をしたい人、チャンスかもしれませんw

追記(2017.2.27. 0:24)

速報です。PwCが、謝罪文をツイートしました。

http://www.queernewsjunkie.com/entry/moonlightwww.queernewsjunkie.com

yuichikawa.hatenablog.com

恐ろしすぎる人種ホラー。チビるほど怖いのに爆笑も出来る不思議な新ジャンル映画『ゲット・アウト』)』がヤバい!

 

www.atashimo.com

 

 

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いや〜すごい映画を観てしまいました!『ゲット・アウト(原題:GET OUT)』。わたしは評論家ではないので、映画の良し悪しはわかりませんが、好き嫌いでいったら、間違いなく、今のところ2017年でもっとも気に入った映画です。

 

※注意。以下結末を含むネタバレを含みます。映画によっては、ネタバレはさほど気にしなくてよい作品もあると思いますが、この映画はミステリー要素を含むので、以下未見の方は十分に注意してください!

 

f:id:calibaby:20170226180348p:image

 

 

あらすじ(以下ネタバレ含むので注意)

 

カメラマン、クリス(ダニエル・カルーヤ)は恋人であるローズ(アリソン・ウィリアムズ)の実家に挨拶へ行く計画を立てていた。

 

ローズの家族が、自分が黒人であると知らないことが心配なクリスだが、ローズは「父さんと母さんは人種を気にするようなレイシストじゃないわ。歓迎してくれるはずよ」と言う。ニューヨークの高級住宅街にあるローズの実家へ向かう途中、2人の乗る車は飛び出してきた鹿を引いてしまう。事故現場にやって来た白人の警官がクリスに横柄な態度を取り、身分証明書を要求したため、ローズは警官を一喝する。そんな恋人を頼もしく思うクリス。

 

アーミテージ家に到着した2人は、ローズの父ディーンと母親ミッシーから暖かい歓迎を受ける。ディーンの案内で家を回ったクリスは、甲斐甲斐しく働く使用人のジョージーナとウォルターに挨拶する。

 

ジョージーナとウォルターは黒人だが何か様子がおかしい。ディーンは「『白人の家族が黒人の使用人を使っている……』って思ってるんだろ(笑)彼等は両親を世話するための使用人で、両親が亡くなった時に、彼等を路頭に迷わすことなんてできなかったんだよ」と気さくに笑い「オバマに三期目が可能なら、投票するよ。最高の大統領だ!」とオバマ支持者であることなども述べながらうちとけようとする。

 

クリスが禁煙しようとしていることを知った精神科医のミッシーは「禁煙のために催眠療法を受けたら」とすすめるがクリスは丁重に断る。途中で登場したローズの弟は、夕食のテーブルの場では、酔っ払った挙句、クリスは「家系的に」格闘技が得意なはずだ、と勝負をしたがる。

 

その日の夜、クリスが一服しようと家の外に出ると、ウォルターが家の周りを全力疾走していた。ジョージーナは窓を凝視していた。2人の不気味な振る舞いに恐怖を感じたクリスはタバコを吸わずに家の中に戻るが、ミッシーが待ち構えており、そこで彼は強制的に催眠療法を受けさせられる。

 

催眠によって、クリスは母親が亡くなった夜を思い出す羽目になった。汗だくで目覚めたクリスは、ミッシーと出会ったことも夢だと思おうとするが、翌日、クリスは煙草を見ると強烈な不快感を抱くようになっていた。催眠術は本当にあったことなのだ。

 

ウォルターに話しかけるクリスだが、ウォルターはよそよそしく、言葉づかいも奇妙だ。

 

その日はハウスパーティーの日で、招待客が続々とアーミテージ家にやってきた。ほとんどの招待客が年配の白人であり、「タイガー・ウッズと知り合いだ」と言ったり、クリスの筋肉に触ったりして、クリスを居心地悪くさせる。

 

少し離れたところで、「彼等は皆無知だ」という一人の客、クリスも知るアート・ディーラーのジム・ハドソンだった。盲目でありながら、アシスタントの助けと共にアートを手がけるジムは、クリスの写真がユニークだと褒め、クリスの目の付け所を褒める。

 

人混みに戻ると、一人黒人の客がいる。ほっとして話しかけると、ローガンはずっと年上の妻を持つ黒人の青年で、アーミテージ家で働くスタッフと同様に感情表現に乏しく、黒人同士よくやるフィストバンプ(拳と拳を付き合わせる挨拶)にも応えない。しかし、彼の顔は見覚えがある。

 

気分が悪くなる一方のクリスは、親友のTSA(空港警備員)であるロッドに連絡を取ろうとするが、携帯電話の充電が切れていることに気づく。ジョージーナが充電コードを勝手に抜いていたのである。「掃除をしていて触ってしまいました」と謝りにきたジョージーナに、「白人だらけで居心地が悪い」と本音を漏らすとジョージーナは、「心配しないで、彼らは家族のように扱ってくれる」とクリスを安心させようと、奇妙なほどにニッコリと笑うが、同時にノーノーノーと口走り、目からは涙がこぼらていた。

 

クリスが見覚えのある男ローガンの写真をこっそり撮ろうとしたところ、フラッシュが光った。光を浴びた瞬間、ローガンは突然鼻血を出し「出ていくんだ!出ていくんだ!(GET OUT!)」と叫びはじめ、クリスに殴りかかる。ローガンはミッシーの部屋に連行された。催眠療法を受けたローガンはすっかり落ち着きを取り戻していた。

 

気分が悪くなったクリスは、ローズと散歩に出かけ「もう家に帰ろう」と決める。

 

その頃、アーミテージ家では、ローズの父親ディーンが招待客を相手に怪しげなオークションが開かれていた。写真に写っている「景品」はクリス。そして、落札したのは、盲目のアートディーラー、ジム・ハドソンだった。

 

その夜、クリスとローズが家に帰る準備をしている最中に、クリスは、偶然ローズの古い写真を見つける。そこには多くの黒人男性とローズの2ショット写真があった。黒人とつきあうのは初めてと言っていたローズだが、実は他にも多くの黒人を連れてきていたのだ。ローガンとの写真、ウォルターとの写真、さらには、ジョージーナとの写真もあった。クリスは自分の身に危険が迫っていることを知る。

 

クリスが家を出ようとすると、弟のジェレミー、さらには、両親に行く手を阻まれる。ローズも車の鍵をいつまでたっても見つけだそうとしない。ローズは初めから一家による黒人誘拐計画の一味だったのだ!催眠術で力を失ったクリスは、地下室に閉じ込められてしまう。

 

一方、クリスの親友ロブは、クリスから送られてきた写真が古い知り合いのアンドレ・ヘイワースであり、彼は数ヶ月前から行方不明になっていることを知る。クリスの犬の世話をしながらも、クリスが予定を過ぎても帰ってこないことで、心配し始めるロブ。アンドレが年上の白人女性といたと聞いていたことから「黒人男性が誘拐されて、洗脳され、性奴隷にされているのでは」と警察に駆け込むが笑われて相手にされない。

 

地下室で目覚めたクリスは、古いテレビから流れるメッセージによって、アーミテージ一家とその友人たちは、脳移植によって永遠の命を手に入れることを目的とした秘密結社の一員なのだと知る。

 

感想

 

めっちゃくちゃ面白かったです!

   

人種がテーマのホラー

 

「人種差別ホラー」とか言われてるみたいですし、確かに人種に関係したホラーだし、映画の冒頭や、警察とのやりとりも、ここ数年メディアを騒がせている黒人男性への差別や暴力を思わせるスタートなのだけど、映画の本筋は、いわゆる一般的に想像できるような「典型的な人種差別」とは違います。

 

むしろ、ここに出てくるのは「黒人が好き」なリベラル白人たち。むしろ、黒人になりたい!っていうくらい。それをかなり病んだ方法で実現しちゃってる人たちなのだけど。でも、いくら「黒人が優れてる」と思ってるとしても、それで立派な差別なのだし、人を居心地悪くさせるにはぴったりなのですよねー。

 

マイクロアグレッションを思い出しました。

 

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お笑いもある

 

しかし、この映画は単にガチガチに差別を意識させられたり、不気味で怖いだけではなく、笑えるところもあるんですw ミステリーとお笑いってものすごく相性悪い感じですが、親友のロブがめちゃくちゃいい味だしています。

 

いや、これ、ロブの存在がなければ相当陰鬱な作品になってたのではないでしょうか?

 

キャストについて

 

主演のダニエル・カルーヤは、ネトフリの『ブラックミラー』でも現代を風刺した作品で好演してましたね。一見無表情っぽく見えるのですが、感情出すとこのコントラストがよくて、なかなかよい味出してます。彼女役のアリソン・ウィリアムズは、若者版SATCと言われた『GIRLS』に出演してました!可愛いっ!

 

あと驚いたのは『40歳の童貞男』のヒロインを演じていたキャサリン・キーナーが母親役として出てたこと!かなり太っていて、うわーという感じでしたが、催眠術を操るなど、怪しい魅力は健在でした。

 

イマイチだったところ

 

かなり、気に入ったんですが、後半脳移植とか出てきたあたりからは段々、B級色が強くなってきた気がしました。

 

前半の、心理スリラーな感じが好きだったので……。あと、黒人たちの奇妙で不気味な振る舞いは、脳移植をしたためだったのねえーと、妙に最後になってキッチリ謎が解けてしまうところが物足りなかったです。

 

もっと知りたかったのは、ローズの過去とか内面ですかね。ローズも人間だと思うのですが、どんな気持ちで黒人たちを誘惑し続けてるのか……?

 

前半のキュートなカップルっぷりが可愛いかっただけに、ちょっと残念でした。

 

監督のジョーダン・ピールについて

 

この映画は、もともとコメディ・セントラルでキー&ピールという番組をやっていたジョーダン・ピールが脚本・監督を務めた作品です。

 

ジョーダン・ピールは、もともとお笑いの人なのですが、当時から人種や社会問題について皮肉のきいたお笑いネタを繰り広げていました。

 

例えば、黒人の権利だったら真正面から「BLACK LIVES MATTER!」とか、LGBTネタだったら、「IT GETS BETTER」とかじゃなくて、ひとひねりしてあるんですよね。

 

彼自身も黒人で奥さんが白人なのですが、映画のアイデア自体はそこから得たものではないようです。「僕の義理の家族は皆知的で文化的で素晴らしい」とインタビューで言ってました。←ピールの妻の家族がこの映画観たら気まずいのでは?と前半想像しちゃいました。

 

キー&ピールについては改めて書きたいと思います。  

 

評価

 

お笑い度 ★★★★☆
サイコスリラー度 ★★★★★
社会派度 ★★★★★


ゲット・アウトについての日本語記事

 

実際の感想ブログなどは見つかったら追加していきますね!

 

https://oriver.style/cinema/get-out-trailer/

画も恐ろしい人種差別を扱ったホラー映画「ゲット・アウト」予告編 | ギズモード・ジャパン

トランプ支持者の頭の中 :シリコンバレーのリベラルな僕が、全国の100人のトランプ支持者と会って話した結果

シリコンバレーで、ベンチャーキャピタルを運営しているサム・アルトマン(Sam Altman)が、選挙の後、トランプ支持者100人に会って話しを聞いたブログ記事がバイラルしている。

この記事がものすごーく興味深かったので、以下紹介します。

2年後の中間選挙、そして4年後の大統領選挙のために、「どうすれば、トランプ支持者の考えを変えられるのか」ということを考えているリベラルは多いと思いますが、こういう行動に出て、そしてこういうパースペクティブを示してくれる人はそうそういませんね。

「トランプに投票するお前は差別者だ!」と指差して責めるだけでは、分断は深まるばかりなんですよね……。

以下、ざっくり訳しましたので、詳しくは原文にあたってください。

  What I Heard From Trump Supporters

by Sam Altman

ぼくは、全米の100人のトランプ支持者に会って話を聞くことに決めた。ぼくは、国の真ん中に行き、州の真ん中に行った。そして多くの人とオンラインで話した。

これは、とても興味深くて、ためになる経験だった。キミにもぜひおすすめするよ!3人の例外を除いて、ぼくは、話した人皆の何かしらを好きになることができた(…といっても彼らの言うことのほとんどには全然同意できなかったんだけどね)。

あと、こんなにいろんな人々がトランプに投票したということは驚いた。本当は、投票データーを見れば、驚くほどのことではなかったんだろうけど。このプロジェクトを通じて、こんなに沢山のイスラム教徒やメキシコ人、黒人、それに女性たちと話すとは思わなかったよ。

ほとんどの人がインタビューに心よく応えてくれたものの、ほとんどの人が自分の名前は伏せたがった。ものすごく赤い州(共和党支持者が多い州)に住む人ですら「自分がトランプに投票したとバレたら、シリコンバレーの人に攻撃される」ことを心配していたんだ。秘密保持契約に署名してくれと言ってきたシリコンバレーの女性もいた。もしもトランプに投票したことがバレたら、会社にいられなくなるんじゃないかと心配していたんだ。

ぼくは、トランプ支持者が、大統領のどこを気に入り、どこを気に入っていないのか、知りたかった。彼らが何を心配しているのか。そして、左派の反応についてはどう考えているのか。そして、一番重要なことなんだけど、何をすれば将来彼らをトランプに投票しないように説得することが出来るんだろう?ということを知りたかった。

もちろん、これは世論調査じゃないし、「データ」でもない。でも一人ひとりの語りというのが大事だと思っている。

というわけで、これがぼくの聞いた話だ。

長すぎて全部は読めない!という人のために、一言で言うならこういうことになる。

「次にトランプをやっつけることはできる。君らがぼくらのことをずっとからかい続けたり、意見を聞くことを拒否したり、切り捨て続けたりしないのならね。トランプをやっつけるのは民主党ではなく、共和党だろう」

トランプのどこが好き?

「政治的に正しくないところ」※この意見は沢山聞いた。たぶん1/3くらいの人がこれを口にしたんじゃないかな?

「人気のないことについて真実をいうところ。もしも問題について語れないのなら、それを解決することはできない」

「わたしはユダヤ人のリバタリアンで、祖父母はホロコーストを経験した。過去数年間、左翼は、自分のポジションに疑問が投げかけられるたびに、討論するのではなく相手を罵ったり、人格攻撃をするばかりだったよ。この雰囲気は、とてつもなく抑圧的で、わたしを含む、オバマの政策に同意しない人々を脅かすようなものになってしまったんだ。知的な話し合いというのは珍しいものになってしまった」

「実際にはソ連で行われていた政策論争みたいなものだよ。明らかな事実を認識することができず、規制がどこまでも広がっていくところはてもイライラしたよ。そして個人的には、もっと繊細な論争をできないことがとてもイライラした。物事は白黒はっきりしているわけではない。でも、政治的に正しい答えは『白』なのだといって、灰色について話すことはできないんだ」

「彼は妊娠中絶に反対だから」※この意見も沢山耳にした。ぼくが話した何人かの人々は、彼が何をしようが気にしないと述べ、今後もいつだって「より中絶に反対かどうか」で投票する候補者を決めるだろうと述べた。

「アメリカを第一に考えるという考え方が好きだ。アメリカの政策は、アメリカ人が得をするように決めなければいけないし、それが政府の仕事でしょう」

「反移民なところ」※この意見も多く聞かれた。一番驚いたのは、この意見が経済的理由でというよりも、「自分たちの文化が失われる」とか「安全性」とか「コミュニティ」とかそういう恐れと「奴らvs俺たち」という考えによって支持されているらしいことだった。

「彼はわたしたちの文化を守ってくれる。文化の保護は、たいてい良いことだと思うし、アメリカ文化のよいところを保護することの何がいけないんだ?」

「彼がヒラリー・クリントンじゃないところ」

「わたしはメキシコ人だけど、壁を支持するよ。あそこに残っている人がメキシコを破壊したわけで、今になって彼らは国を出たがってるけど、今度はこちらでダメージの原因になるんだ。国境警備を強化する必要があるけれど、そういう政策はなんでも『人種差別』になってしまう。トランプはそれをはっきり言った初めての人間だよ」

「僕は社会的にはとてもリベラルだけど、経済的にはとても保守的なんだ。僕は支持政党はこれまで一度も持ったことがない。もっと社会的に保守的な時代に育ち、選挙においては『2つの悪のなかでよしマシな方』に投票した。今では社会的にリベラルな人たちは大きな政府やより巨額の支援を望むけれど、それには財源が必要だ。毎週の給与明細から何が差し引かれてるのか、わかるよ。僕は金持ちにならなくてもいいけど、もっと安心したいし、それは政府の支出を増やすことで得られるものではないんだ」

「国境というのは、社会のあらゆる側面において必要だ」

「少しくらい社会正義の実現が遅れてもいいよ。外国の政策に干渉しないわけで、それによって人が死んだり。その逆というのは、生命の危険をもたらす」

「茶色い人(ラテン系人口)はいつも『余所者』なんだよ。結局は、自分がトランプを支持した理由は、それが一度でも『身内』になるための方法だったからなんだろうな」

トランプのどこが嫌い?

「彼が女性についての話し方というのは、卑劣極まりない」

「彼のセンスとかかな。でもセンスなんてどうでもよいくらいこの選挙は大切だと思ったので、彼に投票しました」

「彼についてのほとんどのことが気に食わないよ!2つの酷い選択肢の中からマシな方を選ばなきゃいけなかったということなんだ」

「この国が長い目で見て生き延びるためには、トランプ主義が必要だと思う。そして、彼に投票することの迷いや戸惑いなどもその前には叶わなかった。自分がトランプに関して感じる問題点は、彼自身だ。私は、彼が、彼のムーブメントについての正しい伝道者ではないような気がしている。でも私たちには彼しかいないのだから、彼を応援しているんだ」

「正直いって、移民関係の大統領令は、大混乱の象徴だと思う」

「今では、イスラム教徒の入国禁止は、我々にとってより危険だと思う」

「今になって孤立主義とか、保護主義というのは、頭がオカシイよね。前にもやったことあるわけだから」

「わたしだって、彼の嘘つきなところは心配です。ロシアとの関係とか、女性との関係とか。金銭的にいろいろとあやしいこととか。それらはすべて心配ですし、もしもこういう状態が続くなら、彼に対する尊敬はすべて失うでしょうね」

「彼はいつでも自分のファンを怒らせるようなキャラクターを演じるのです。反ユダヤ主義とか。白人のナショラリズムとかを受け入れたり、必要以上に憎悪を注ぎ込んだり。ソーシャルメディアやテレビや食事の場でで憎悪の真真空地帯を作り上げたりして。例え彼の政策が、最近の共和党の大統領のものと似ていたとしても、こんなに子供っぽい振る舞いは、子どもに悪影響だち、多くの文化的規範を損なうことになります。それは何より私たちの社会的基盤を脅かすことに繋がるのです」

「いつでも報道機関を疑い、信用を傷つけようとしているのは気に食わないね。これはものすごく悪いことの予感がする」

トランプが大統領であることによって何が心配ですか?

「一番心配なのは戦争です。それによって全世界が破壊されかねないこと。もしかしたらその危険を甘くみていたのかもしれませんね。投票した時に思っていたよりも、彼は、ずっと男らしくて強いアルファな男だったので。それ以外の点においては、まだまだ彼のことは好きですよ」※戦争について心配してる人はそんなに多くはなかった。もっとよくあるコメントというのはこういうものだった。

「彼が外交的に強硬な姿勢を取っているのは知っているけれど、交渉ごとにおいては、目立った変化を起こすために、やらなければいけないことはある。それに、全国民に見られているときにポーカーフェイスを保つことは難しい。でも、彼のビジネスの記録を見れば、多分このまま安定していくんじゃないかと思える」

とか

「トランプはクレージーだけど、それは外国が我々に舐めたことをしないようにするために必要な戦略だ」

「彼が私たちを国として分断するのではないかと心配している。彼がそれをやめると言った時は、その言葉を信じたけれど、今のところ、その兆候は見られない」

「本当に彼が精神的に病んでいるのではないかと心配」

「もしかして、これまで一生懸命戦ってきた社会的変化を、本当に昔に巻き戻そうとしているのではないかと心配。でもそうじゃないことを祈る」

左派の反応に対してはどう思う?

「左派の人たちは、私たちに『お前たちは悪い人間だ!』と責めることなく、もしかして自分らが間違っていたのかもしれないと認める機会をくれるべきだと思う。実は私は、既に自分が間違いを犯した気がしている。でも、自分のコミュニティから追放された気がしている」

「左派は、右派よりも不寛容だ」※このコンセプトもよく出てきたものだ。それ以外は楽しい会話のなかに、真の敵意を持ってよく現れた。

「僕達のことを『レイシスト』とか『バカ』とか呼ぶのはやめてくれ。僕達はそうではないのだから。なぜそうじゃないのか僕達が説明しようとする時に、ちゃんと耳を傾けてほしい。あ、あと、僕達をからかうのもやめてくれ」

「外国のイスラム教徒に対して見せた怒りの十分の一でいいから、ここにいる私たちの生活について、怒りを見たい。あなたは私たちの生活がどんなものか、全然知らない」

「『白人特権』について聞くのはもう飽き飽きなんだ。私は白人だけど、あなたの世界に住んでいる黒人よりも、全然恵まれてなんていないんだ。私の人生がこの先少しでもよくなるなんて、全く思えないんだ」

「黙らされ、悪魔化されていると感じるのに疲れた。大体私たちは皆同じゴールを持っているけど、そこに行く道筋が違うだけなんだ。間違っているのは君かもしれないし、私かもしれない。でも、トランプを試してみたかっただけで、私たちすべてが悪魔呼ばわりされるのにはもうこりごりだ。私はヒラリーが大嫌いで、彼女はこの国を破壊しようと思ってると思うけど、彼女の支持者を悪魔呼ばわりなんてしない」

「左派は、これまで全然存在するひどいシステムに怒っていなかったくせに、今こんなに怒っている。そのことに僕は怒っている!」

「トランプへの攻撃は、自分自身についての何かを教えてくれた。私はトランプを擁護しようとして、本当は信じていないこととか、支持していないことを言ってしまった。なぜなら、攻撃されて言い返さなきゃ!って思ったから。抗議活動をしている人たちは、多くの人をこういう方向性に押し込んだのだろうけど、でも、究極的にはこれは自分たちの責任だし、やめないといけない」

「トランプを悪魔視して、彼や支持者をナチスとかKKKとか、白人至上主義者とか、ファシストと呼んだりするのは、トランプ支持者を彼の周りに集まらせるために有効だと思う。こういう攻撃は事実とは異なるし、トランプを助けていると思う」

「今のところ、この選挙は、国を分断している。でも今のところ、その分断は左翼から来ていると思う。恥を知ってほしいね。ニクソン時代ほど悪いわけじゃないけど、確実にそっちの方向に向かっている。ニクソン時代、私は両親と話ができなかったものだ。政治的な分断がひどすぎたのでね。サンクスギビングとか祝日というのは、40年前のあの時に似ている。もっともっと両極に引き離されている。それは、世代の問題も多少はあるだろうが、それだけではないだろうね。西海岸と東海岸、地方と都会、人種、ジェンダーなどの分断が怒っている。これはひどいことになる危険性を秘めているね」

「左派による暴力的、経済的な攻撃はひどいものだ。わたしは妻とベイエリア(サンフランシスコ周辺)に最近引越してきた。わたしはアイデアが実力主義で取捨選択されていくような土地柄を期待していたのだれど、実際には皆が皆を常に『思想犯罪』を犯していないか監視しているような土地柄だった」

「シリコンバレーはオルタナティブな考え方を、信じられないくらいに歓迎しない。もしもあなたの好奇心が真実のものなら、これはものすごく稀な例外だと思う」

「左派が、自分たちは統一する者で、分断する者ではない!とか主張しているのは何か偽善的だよね。彼らは『包摂的』だけれど、現代世界の人口の半分を、知性と無関心のコメントとともに『排他』しているんだ」

何がもってすれば、トランプに再び投票する気持ちを変えられますか?

「戦争は許されないものだよね」

「もし、ロシアの件が本当なら、彼から背を向けるよ。彼のツイッターじゃなくて、そこに注目しないか?」

「もしもよい選択肢があるなら、それでわたしたちはハッピーになれるよ。でも中道じゃなきゃダメだ。サンダースはダメ」

「誰か他にいれば、喜んでそちらに投票するよ。トランプの嫌なところは沢山あるからね!でも、僕らの暮らしは基本的にめちゃくちゃになってるし、彼はそれをなんとかしよう!といった初めの人間だったんだ」

「わからないな。ものすごーい汚職とかがあれば、投票しないかも」

(この話を聞いていたもう一人)「汚職があっても気にしないよ。皆ヒラリーに投票したんだろうけど、ヒラリーは歴史上もっとも腐敗した政治家なんだから!」

「彼と左翼がやりあいすぎて、法制度が壊れてしまうんじゃないかということだね。もしもそんなことになれば彼に責任を追及するよ」

「もしも、アメリカが大きな軍事的紛争に巻き込まれたら(実際には、この確率は、ヒラリーの時より減ったと思うのだけれど、間違っているかもね!)。あとは、もしもビジネスをするための費用が高くなった場合(例えば規制を増やしたり、増税するなどして)」

「わたしは社会的にとてもリベラル。もしも、彼が麻薬の規制だとか、LGBTの権利を制限しようとしたり、妊娠初期の中絶を困難にしたり、危険にするのだとしたら、自分の立場を考えなおすと思う。でも、そういうことは相当起こり得ないと思う、特に、数年後に選挙があり、社会全体がリベラルになっている今」

「もしも、また2008年のリーマンショックみたいなことがあったら(もうすこしトランプが大統領を務めた後に。その方が因果関係がはっきりするので)、支持基盤は消えると思う」

「政治の話以前に、トランプの歴史に基づけば、彼は人種差別者や、性差別者、ホモフォビックや偏狭な人間ではないと思う。もしも、彼がそういう人間ならなら、これまでの民主党がやろうとしたどんな表現の自由の規制や、大きな政府にしようという提案よりも、もっとひどい個人の自由への制限ということになる。もし、そんなことになれば、これはトランプに対する意見を変えなければいけなくなるだろう」

What I Heard From Trump Supporters - Sam Altman

ドナルド・トランプ 劇画化するアメリカと世界の悪夢 (文春新書)

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正直何かが足りなかったティム・バートン映画『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』結構前に観たんですが感想書いてなかったので、書いておきます!

あらすじ

フロリダ州に住むエイブ・ポートマン(テレンス・スタンプ)は、子供の頃にはモンスターと戦い、第二次世界大戦の間中ウェールズにある「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」が暮らす家で過ごしていたことを、孫のジェイク(エイサ・バターフィールド)に何年間も話し続けていた。その家の女主人であるアルマ・ペルグリン(エヴァ・グリーン)は「奇妙なこどもたち」を養っていたが、こどもたちはそれぞれが不思議な能力を持っていたという。

その後、16歳となったジェイクは、祖父のエイブから電話を受け、バイト先の薬局の管理者であるシェリー(オーラン・ジョーンズ)とともに祖父の家に向かうが、そこで両目を失い、死にかけている状態のエイブを発見する。

エイブは死に際に「ケインホルム島へ行き、1943年9月3日のループへ行け。そうすれば鳥が全てを教えてくれる」とジェイクに言い残し、絶命する。

シェリーが銃を持ってジェイクに加わると、祖父の話に出てきたモンスターが彼女の後ろに出現する。ジェイクはシェリーに対して後ろを撃つように伝えるが、彼女にはそのモンスターは見えず、そのままモンスターは消えてしまう。

精神科医のゴラン(アリソン・ジャニー)からの後押しや、ミス・ペレグリンからエイブの誕生日に送られた手紙の発見で、ジェイクと彼の父であるフランク(クリス・オダウド)はケインホルム島へ向かうことにする。しかし2人は、こどもたちの家が1943年9月3日にドイツ空軍の空襲を受けて破壊されていたことを知る。ジェイクは失望して父親とともに泊まっていたパブに戻るが、翌日もう1度行ってみると、森の奥に古めかしい屋敷を発見し、「奇妙なこどもたち」に迎えられる。

彼らは洞窟をくぐり、1943年の世界へとジェイクを導き、そこでは、こどもたちの家はそのままに残っているのだった。ミス・ペレグリンはジェイクを迎え、彼女自身鳥に変身することの出来る「インブリン」であり、また時間を操る能力を持つことを明かす。

特殊能力を持つことにより処刑されることを防ぐために、ミス・ペレグリンとこどもたちは、彼女の作り出したタイムループのなかに逃げ込んでいた。そこは、特殊能力を持つ人のみがアクセスでき、永遠に1943年9月3日が繰り返させているのだった。

ジェイクは、こどもたちの一人で空気よりも軽いエマ・ブルーム(エラ・パーネル)に出会い、惹かれるようになる。

このタイムリープに入ることの出来たジェイクも特殊能力を持つはずだと言われながらも、それを信じられないジェイク。エマと冒険をするなかで、自らの能力は、通常人の目には見えないモンスター「ホローガスト(ホローズ)」を見ることができるものだと知る。

ホローガストは、かつて特殊能力を持ちながらも、永遠の命を手に入れようとして失敗し、モンスターになってしまったのだった。特殊能力を持つこどもの目を食べることで人間の姿を取り戻すことのできるホローガストに狙われるこどもたちを守るため、ミス・ペレグリンは自ら囚われの身になる。

ジェイクは、特殊能力を持つこどもたちと共に、ホローズを倒すことを決意する。

感想

絵が美しい。 ミス・ペレグリンかっこいい。 エマ、可愛い。

それにつきます。ミス・ペレグリンのハロウィンコスチュームとかやりたいな!

エアを演じたエラ・パーネルは、ちょっとファニーフェイスなのですが、そこがたまらない魅力です。この子は今後が楽しみですねー!

メインストリームになったティム・バートン

なんだろう。この映画すっごい楽しみにしてたのですが、正直、イマイチ。

何かが物足りなかったんですよね。

絵はすごく美しかったし、ストーリーも素敵だったのだけど、結局最後はハリウッドっぽいアクションどたんばたんで、しかも、最後こういう感じの結末にしちゃうんだ!って。よかったことはよかったんだけど、何か物悲しさを覚えたのです。夢のように美しく始まった物語が、突然ご都合主義で終わってしまった気がして!

『アリス・イン・ワンダーランド』あたりからうすうす感じていたのですが、ティム・バートンって、メインストリームになってから、いまいちな気がするんですよね。ものすごく圧倒的なCGで絵を作りながらも、それらの圧倒的なリソースがうまいこと物語りと絡んでいない気がするというか……。なんなんでしょうね?キャラをもっと深掘りしてほしいのかな?ストーリーが単純なのかな?もう一声欲しいところでした。

というか、日本公開前に感想書きたかったのに、もたもたしてたので、遅れてしまった(汗)

こういうダークファンタジーの世界では、わたしはダントツで『パンズ・ラビリンス』が好きです。名作中の名作。ってあれももう10年前の映画なんですねー(遠い目)

評価

  • 耽美度 ★★★★★
  • フリーク度 ★★★★
  • 思春期ラブストーリー度 ★★★★

潮文庫 ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち<上>

潮文庫 ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち<上>

潮文庫 ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち<下>

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