今日は朝から濃い霧が立ち込めていた。南カリフォルニアはいつもよい天気というイメージかもしれないが、実際には、海沿いにはびっくりするくらい濃い霧が出ることがある。霧が出ると、不思議なくらいあたりの景色が一変する。いつも通っている、馴染みの道のはずなのに、まるで違う世界に迷い込んでしまったような……。
その感覚は嫌いじゃない。ふと日常から、非日常へトリップしてしまったような感覚は。
昔、自転車で、家の近くをぐるぐる回りながら、「なるべく知らない道へ、なるべく知らない道へ」と漕いでいき、プチ迷子になるのを楽しんでいたことがある。本気で帰り道がわからなくなって焦ることもあったが、大抵川や、線路、大きな道路に当たれば、家には戻ることができる……その瞬間にはホッとするが、同時に、冒険の終わりを感じて、ほんの少し落胆もしたのだった。
霧の道を、ちょっとこわごわと運転しながら、その頃の気持ちを思い出した。