アメリカでは「交渉」がかなり真剣に研究されており、交渉に関するメソッドが洗練されています。ナンパ術とかもそうですが、アメリカはなんでも頑張って「ノウハウ」化するのがうまいですね。このようにしてパターン化した交渉術を、企業のエクゼクティブ向けに教える特訓コースなどが多くあります。これもナンパ塾と一緒ですね。また、こういう交渉の先生としてよく出てくるのが「元警官」や「FBIの捜査官」FBIのアカデミーでも、交渉術が教えられています。ビジネスだけではなく、テロリストの要求や立てこもり事件、更には政治の場でももちろん、「交渉」は重要な役割を果たしているのです。
わたしが初めて交渉について知ったのは、数年前に仕事で「こいつ、本当にすごいな!」と思える人(Wさん)に出会ったことがきっかけでした。Wさんは、まあちょっと生意気というか自信過剰な典型的なアメリカ人なのですが、他の人とはちょっと違うというか、仕事がものすごい出来るんですね!なんでそんなにスゴいんだ?と思って聞いてみたら、彼は交渉のトレーニングを終了していたのですね。なるほど〜!それがキーなのかな?間もなくKさんは会社を辞めて独立していきました。
それからわたしも交渉の勉強を少しずつするようになりました。ネタ元の多くは、英語の本、ウェブサイト、ポットキャスト、または日本語で書かれたビジネス英語の本、交渉術の本、そして自分自身の過去の経験ですw
ここでは、そうやって学んできた交渉のコツをあなたとシェアしたいと思います。ビジネスはもちろん、プライベートでもいろいろな場面で使える交渉術をぜひ使ってみてください。
交渉術①先に値段を言うべきか?
交渉術の基本は、先に値段を提示するべきでしょうか?
例えば、フリーマーケットとかで値段がついてない商品が欲しくなった場合、もう乗らない自転車を売って欲しいと言われた場合、転職の際の給与交渉など……様々な場面が考えられる。
はじめの値段を相手に言わせるべきでしょうか?、それとも自分から言うべきか?
あなたはどうしますか?
原則的な答え
多くの人は、相手にまず値段を言わせ、そしてそこから少し交渉して値下げして満足する、ということが多いようです。
しかし、これは原則として間違い。
基本的には、「自分の方から値段を言うべき」です。
値段を自分から言うことで、自分の望む価格レンジに相手の心をセットすることできるからです。
これは「アンカリング効果」という心理学の法則を利用したもので、先に「これくらいかかりますよ〜」というのをめちゃくちゃ高く言っておくことで、その後に提示された値段が「なんだ、安いじゃん」という気持ちになるからです。
ここまでは、多くのウェブサイトや書籍にも書いてある交渉術基本中の基本なので、ご存知の方が多いかもしれません。
交渉の「アンカー」になりやすい4要素とは | GLOBIS 知見録
しかし、実はこの「アンカリング」を使った値段提示をしない方がよい場面が、2パターンあります。
ご存知でしたか?
続きは有料noteにて…。
というのは嘘です。
例外:自分から値段提示をするべきでないパターン①
原則通り自分から値段を提示する戦略がワークするためには、自分がその品物と市場について、十分な知識を持っていることが前提です。 自分が、その品物の価値について知識を持たず、適切な値付けをできない場合です。例えばコレクターグッズや、アンティーク品など、「意外に価値があるもの」があります。
実際、経験があるのです。古いマッキントッシュアップルストアに行ってもマザーボードがおかしいかもとか、なんとか言われて、すぐには治りませんでした。もちろん時間とお金をかければ治すことはできるかもしれないけど、面倒になってしまって、「もう新しいの買おう」と思ったわたしは、ハードディスクだけ取り出すと「動かないMacです」と5ドルでクレイグスリストの個人売買セクションに出したのです。そうしたら、その夜のうちに、メールが山ほどきて、10マイル以上離れたところから「今すぐ引き取りたい」と言う人が来て、翌日もメールは止まりませんでした。Macありますか?というメールを大量にデリートしながら、わたしは思いました。
(…もしかして、「壊れたMac」には意外と価値があるのかもしれない…)
そして、もうちょっとリサーチしてから値段提示すればよかったーと悔やんだのでした。ま、狭い部屋が片付いたので結果OKなんですけどね。交渉としては一方的な負けです。これがビジネスの場面であれば大損です。
というわけで、自分で、価値がわからない、知識がない交渉は、自分が正しい相手から先に値段提示してもらうべきです。
もちろん、一番の理想は「その品物の価値やトレンドについてしっかりリサーチして、知識をつけてから交渉に望むべき」です。
例外:自分から値段提示をするべきでないパターン②
2番目は、転職の給与交渉で「まだ採用されるかどうか決まっていない時」です。
転職の場面では、給与交渉は欠かせず、また企業側も、予算を大幅に越えた給与を希望する候補者を面接して時間を無駄にしたくないため、「今は幾ら貰っていますか?」「希望の給与レンジはいくらくらいですか?」という質問をしてくることが多いです。
ここらへんの交渉をやってくれるのは、転職エージェンシーの場合もありますが、まだオファーがあるかどうかわからない場面では、あまりに高すぎる数字を提示してアンカリングするのはよい考えではありません(「相手がなんとしても自分を獲得したがっている」と確信がある場合はまた別です)。
交渉術オススメの本
↑非常に実践的でわかりやすいです。古い本なので、事例が若干古いですが、内容は今でも通用します。