はい。
クレクサコン参加以来、火がついちゃいました。ネトフリでL系作品連続視聴マラソン中のイチカワユウです!
というわけで、観ましたよ。 『サイテー!ハイスクール(原題:Everything Sucks!)』
というかさ……
これ、主役の女の子のカミングアウトが主なストーリーラインの一つなのだが、「レズビアン出て来るなら、先に言ってよー!」
ネトフリさん、わかりづらすぎますっ!
わたしは、毎日のようにネトフリをあさっていて、『サイテー!ハイスクール』のサムネイルも何度も観てはいたけれど、「ん〜別に興味ないかな」と思ってクリックする気分にはなれなかった。というかEverything Sucks!とThe End of the F***ing Worldとちょっと混同してた(汗)
主人公がレズビアンならそうと言ってくれればいいのに!もっと先に観たのに!
この作品が秀逸なクィア作品であるということに気づいていない当事者、まだまだ結構いるのでは?とか思いました。
もちろん、この作品には他のテーマも盛り込まれているので、単なる「レズビアンドラマ」ではないし、そういうレーベルを貼りたくなかったのかな?というのは理解できるし、それが成功してもいる。……んだけども、もう少し何かこう工夫してさ、クィアっぽい作品には、虹色マークを付けとくとか、見つけやすくしておくれーとか思いました……。←情報弱者(´;ω;`)
『サイテー!ハイスクール』のあらすじ
オレゴン州ボーリング。「タイクツ」という名前を持つ町の高校に90年代に入学したルーク。親友のタイラーとマクエイドと共に放送部に入り、そこで、1学年上のケイトに一目惚れ。積極的にアタックして見事カップルになるが、実はケイトは女の子のことが好きなのだった……。←ってそれを先に言ってくれよ!←しつこいw とあることがきっかけで、演劇部からいじめられていたルークたちだが、とあることから、演劇部と協力し、映画を作ることに……ケイトは自らのセクシャリティを認められるのか?ルークの恋の行方は?そして、映画は無事に完成するのか?
『サイテー!ハイスクール』の感想(ネタバレあり)
面白かったですー!
90年代の思い出てんこ盛り。
今更高校生ものなんて…と思ってたらむしろ大人を狙った作品だったw それも先に言ってよ~!と思ったが予告動画見てたら、それらしい要素てんこ盛りでしたね。VHSとか、写ルンですとか、電話とかたまごっちとかトロール人形とか……。90年代に青春を過ごした人たち感涙!「あの頃僕らは若かった!」な青春ドラマです。
しかも、微妙にオタクとかイケてないグループにフォーカスを当てるというのもものすごく王道ですが、まんまと感情移入してしまい、一気に最後までみてしまいました。
甘酸っぱいカミングアウトストーリー
シーズン1を通じて、主人公のケイトは、徐々に自分のセクシャリティを受け入れていきます。
女性の裸のグラビアを見て興奮して、思わず…というのは個人的には、「そんな人どの程度いるの?」と思いましたが。DYKE(レズ)とロッカーに落書きをされるというド直球なイジメや、意地悪な派手女に片思いしてしまう……という切なさは、かなり「あるある」です。そんな経験をひとつずつ乗り越えながら、成長していくケイト。
特に印象的だったのは、ポートランドまで行って観たトーリ・エイモスでのライブシーン。客席でいちゃつく女性同士のカップルを食い入るように見つめるケイト。その表情がもう。こちらまで泣きそうになりました。
涙が止まらなかったシーン。「いつか将来、変人と呼ばれない日が来るかもしれない」「このままの自分でいいのかも」。キスしている女性達を見てケイトは思うんだよね。LGBTがTVに必要な理由はこれだと思う。こういう描写が当事者の命を救う。@netflix #RenewEverythingSucks #サイテーハイスクール pic.twitter.com/LJWnomiK7M
— 30 (@3030tdg) April 12, 2018
「自分もあんな風に生きられるのかもしれない」そんな望みを得て「偽装彼氏」と別れる決心をするケイト。ホント可愛いです。頑張れ頑張れ超頑張れー!って応援したくなりました。
そして、この複雑な役を、本当に上手に演じているのがペイトン・ケネディー(Peyton Kennedy)。まだ若干14歳だそうだけど、素晴らしい演技力です。将来が楽しみだー。
オタクたちも可愛いよ
ケイトだけでなく、よい味を出しているのが、ルーク。まだまだ子供っぽいのですが。それでも一生懸命好きな女の子に声をかけ、映画を作り、自分の夢に向かって進んでいるところは本当に可愛いです!
大人向けのストーリーラインもあり
高校生の描き方が丁寧なだけではありません。『サイテー!ハイスクール』は90年代キッズ(=今はいい大人w)をターゲットにしているだけあって、大人向けのストーリーラインもばっちり。ルークの母親シェリー、そしてケイトの父親ケンがお互いにシングルペアレンツとして惹かれあう様子や、「子供の頃悪いことをしてこなかった」ケンがいろいろなイタズラに挑戦するところなどは微笑ましいです。
個人的には、よい年して羽目を外し、自らが校長を勤める学校で騒ぐ高テンションのケンが気持ち悪かったのですが(汗)一般的にはなかなか好感度の高いキャラみたいですね。
まあ「嫌な奴」ではないし、なんか応援してくなるような気持ちもわかります。
『サイテー!ハイスクール』への批判
そんな『サイテー!ハイスクール』ですが、最終話でのケイトとエマラインのキスシーンでは、批判が巻き起こっていました。
女の子同士のキスだから?
いいえ、違います!
年齢差が原因です。
劇中では、1歳違いという設定ですが。しかし、実際にはケイトを演じたペイトン・ケネディーは14歳になったばかりで、エメライン役のシドニー・スウィーニーは20歳だったのです。児童ポルノなどに対しても非常に厳しい態度を取るアメリカでは、「20歳が14歳にキスするなんて、ありえない」ということで、大騒ぎした人がいたのでした。
ふーん。。。
個人的には、あのシーン、ぐっと来すぎてやばかったですけどね。なんだろう。高校生の時に自分が叶えられなかった夢が画面のなかで叶ってる感じなんだろうか?なんか、そこら辺のレズビアンシーンよりずっとずっと深く刺さってきて、涙がとまりませんでした。
背後に流れるDuran DuranのOrdinary Worldもエモい!エモいよー!
Netflixの容赦ない打ち切り
こんな感じで、非常によかった『サイテー!ハイスクール』なのですが、なんとシーズン1だけで打ち切られることになってしまいました……。がーん。
別にキスに対する批判が原因ではなく、視聴率が原因だと思います。
Netflixはここ数年オリジナルのコンテンツに力をいれており、『サイテー!ハイスクール』もその一つでした。しかし、オリジナル作品が増えるにつれ、2017年あたりからバシバシ打ち切りが始まりました。
世界中で撮影を行い、制作費の高騰が伝えられた『Sense8』やバス・ラーマンが制作費を使いまくった『ゲット・ダウン』みたいな作品が打ち切られたのもこの頃です。Netflixの制作する作品が増えるにつれ、作品間でのROI競争も激しくなってきているといえるかもしれません。と言っても既存のTV局よりは継続率は高いみたいですけどね。
シーズン続投を求める声
『サイテー!ハイスクール』のファンは打ち切りのニュースを受け、様々なハッシュタグを使ったキャンペーンを展開しています。
- IamKateMessner(私はケイト・メスナーだ)
- RenewEverythingSucks(『サイテー!ハイスクール』続編を作って)
- SaveEverythingSucks(『サイテー!ハイスクール』を救え)
この裏には、「単に面白いドラマだから続けてみたい」というのを越えた、普段なかなかメディアに登場しないレズビアンキャラクターをフィーチャーしたストーリーをもっともっと観たい……という多くの人の思いが込められていると思います。
現在Netflixのオリジナル作品の殆どにはクィアなキャラクターが出演しているとはいえ、その多くは、男性、または脇役だったりします。一人の女の子のセクシャリティへの芽生えをしっかりとここまで描いている作品はそんなにないんですよね。
また、もう一人の主人公ルークが黒人だったり、ルーク・ケイトともにシングルペアレントに育てられていたり……。様々な立場からの共感が得られる話だと思うので、せめてもう1シーズン観たい。ということで、わたしも応援してます。
ケイト・メスナーを演じたペイトン・ケネディー自身も積極的にキャンペーンに参加しています。
『Sense8』も、打ち切りになった後、ファンが大騒ぎして(こちらも同じくクィアコミュニティ内で大きな問題となっていました)、Netflixは「2時間スペシャル」版の制作を決定した経緯があります。『サイテー!ハイスクール』もこの活動が何らかの形で実を結んでくれることを望みます。
『サイテー!ハイスクール』の評価
- 90年代ノスタルジー度 ★★★★★
- 甘酸っぱい青春度 ★★★★★
- 応援したくなる度 ★★★★★