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アメリカで働くレズの徒然

美しすぎる姉妹愛に酔いしれよ!エマ・ワトソン『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語(原題:Little Women)』感想

Little Women

『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』って邦題またすごいことになってるなw 原題Little Womanなのだから、邦題もシンプルでいいじゃーんと思ったけど、それはさておき。観ましたよ!2019年の大晦日に映画納めの一本です!

本作はオバマ元大統領が選んだ2019年のベスト映画にも選ばれてます。

オバマ元大統領センスいい!ここに載ってる作品全部観たいな〜!

『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語(原題:Little Women)』あらすじ

ニューヨークで作家修行中のジョー・マーチは、住み込みの教師をする傍ら、短編を新聞社に売ってお金を稼いでいる。教師仲間のフレドリックに作品を酷評され、プライドを傷つけられたジョーは、妹のベスの病気が悪化していることを知り、看病のため実家に帰る。

長女のメグは、結婚し双子に恵まれながらも、新しいドレスを買うお金もなく、苦しい生活をしている。末っ子のエイミーは、裕福なおばとともに訪れているヨーロッパで絵画修業をしながら、金持ちの男と婚約することを目指している。そんなエイミーが偶然出くわしたのは、幼馴染でかつで、ジョーに求婚しフラれたローリーだった。姉妹は7年前、一緒に暮らしていた頃のことを思い出しながら、それぞれの人生を切り開いていく。

『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語(原題:Little Women)』感想(ネタバレあり)

よかった〜!地味な時代劇というか文芸モノだと思っていましたが、編にアートに走りすぎず、観終わった後は「ほっこり」。もちろん途中は笑いあり、涙あり、メロドラマありなのですが、非常によくできてます。

エマ・ワトソンは脇役

エマ・ワトソン目当てでいったんだけど、エマ・ワトソン演じる長女メグは脇役ですね。あと、メグは女優になりたいという夢を持つ美女という設定なのですが、あまり知性や野心を感じないキャラなので、エマ・ワトソンがハマり役か?というと微妙でした。ジョーの方が多分エマに向いてますよね!

シアーシャ・ローナンがイイ!

でもね!ジョーを演じたシアーシャ・ローナンがよかったです。ま、主役なので当然ですが、エマ・ワトソンより輝いてました。

若手ながら長いキャリアを持ち、賞レースの常連でもあるシアーシャ・ローナン。飾らないチャーミングさがある。お転婆だけど強い意思を持ったジョーのことを自然体で演じています。最近アメリカってこういう馬面というかちょっと間延びした顔がキテる気がしますね。

大画面でみるのは、殺人マシンとして鍛えられた『HANNA』以来でしたが、「大きくなったなあ〜」とシミジミしました。

ティモシー・シャラメが可愛い

ティモシー・シャラメ、性別を超越した可愛さがあります。美少年だけど、ダメ男っぷりもありで。まあこれはモテますよね!着飾ってるメグに対して意地悪なのはムカつきましたが、自分は虚飾の世界に生きてるくせに、そこに入っている女は気に食わないってどういうこと?とね。まあ違う世界に生きている人に惹かれるのはわかりましたが。でも、それなら、なぜエイミーのことは好きになったのでしょうか?ローリー自身は本当にエイミーのことを愛していたのかな?ちょこっと疑問でした。

エイミーがはじめからローリーが好きな感じはとても伝わってきました。

姉妹愛

マーチ姉妹で髪を巻きあったり、慰め合ったり、喧嘩シーンもあるのですが、すぐにくっつく4人がとにかく可愛い!

結婚するメグに対して、ジョーが「私が稼ぐから一緒に逃げよ!いなくなってほしくない」とかほんと可愛くて。そして、「いなくなるわけじゃないよ」と慰めるメグお姉さま。ああ、尊い…!

仕事が女の生きる道!ジョーがかっこいいぜ!

そんなモテ男、ローリーから求愛されてもきっぱりと断るジョー。途中家族のケアのために夢を諦めそうになったり、心が折れて「寂しい・愛されたい」って泣き言言ってフラフラしたりもしますが、基本的に、ジョーは「本を出す」という自分の夢に向けて走り出します。その瞬間のジョーがすごいかっこいい。

をう考えると、ローリーが、エイミーとくっついてジョーと結婚できなかったのは、ジョーにとっては結局よいことかな?と思いますね。

結婚するのは生活のため?女の人生について考えさせられる

さて、この原作は1868年に発表された自伝的小説をもとにしています。その中では女性がお金を稼げる道が限られていることが示され、「生活のために男と結婚しなければいけない」ことが語られます。かといって結婚すればすべて安泰なわけでもありません。お金がない男と結婚してしまったメグは「貧乏な生活にはうんざりなの」とこぼします。

この夫のキャラがまた薄いし、なんでメグ結婚したのかよく伝わってこなかった。メグは脇役なのはわかるけど、なんでそこまでして結婚したかったんだろうね……。まだ「金持ちと結婚する」って決めてるエイミーの方がプラクティカルでよいと思った。子供を二人抱えて貧乏に苦しむエマ・ワトソンなんて……悲しすぎます。

ちなみにジョーは本当に結婚した?本当は原作者はジョーを結婚させたくなかった?

ところで、この映画の構成で面白いのは、映画のなかでおそらくジョーが本を執筆している「今」と「7年前」の回想が、目まぐるしく切り替わるところです。複雑な時系列ではないので、そこまで混乱することはないと思いますが。時々「えっとこれは、今?それとも昔?」ってなります。

こちらの、タイムラインとして二つの軸があるのは皆すぐ気づくと思うのですが、この作品にはもう一つの「重複的な構造」があります。それはマーチ姉妹の物語と、その物語を紡いでいるリアルな「ジョー」のものが立ちです。この構造は、作品全てに出てくるわけではなく、ジョーがフレドリックと再会して追いかけているシーンで明らかになります。

ジョーは映画の後半で猛烈に自伝的な作品を書き始め、それに対して出版社からフィードバックを受けるのですが、そこがちょっとメタ視点っぽくなるんですよね。

出版社のおっさんに「女性の登場人物を出すなら、最後に殺すか、結婚させるかしろ!そうしないと、本が売れない!」と言われ、抵抗するも最後は根負けして作品のなかの「ジョー」を結婚させるジョー。映画ではジョーが雨の中フレドリックを追いかけていき、ドラマティックにキスするのですが、ここで観客の頭のなかには、「え、これは本の中の話?」と混乱が生まれます。こういうロマンティックな展開って、あくまで出版社が望んでいたことで、劇中のジョーがリアルにやることとは思えないんですよね。

結局最後にジョーが夢だった学校を開くところで、フレドリックもいるので、映画の中では「ジョーはフレドリックと結婚した」という設定でよいんだと思います。しかしおそらく意識的に、フレドリックの存在感は最小限に抑えられている。

ここで『若草物語』の原作を観てみますと、原作のなかのジョーは確かに結婚しています。でも、作者であり「ジョー」のモデルであるルイーザ・メイ・オルコット自身は生涯独身を貫きました。本当は作者のオルコットは、ジョーに結婚なんてさせたくなかったのではないでしょうか?でも、「本を売り、お金を稼ぐ」ために、世間の望む「おとぎ話」的展開にしてみせたのではないか……そんなところが、メタっぽい視点を入れたことによって見えてきます。

この映画は「オルコットが本当に描きたかったジョー」を描後としたのかな?と思えました。

他の映画化作品。

『若草物語』は過去にも複数回映像化されています。

1994年映画『若草物語』

若草物語 コレクターズ・エディション [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
  • 発売日: 2009/09/02
  • メディア: DVD

ウィノナ・ライダーがジョー、キルティン・ダンストが若いエイミー、クレア・デーンズがベス、スーザン・サランドンがお母さん、クリスチャン・ベールがローリーを演じています。

1949年映画『若草物語』

若草物語 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2016/12/16
  • メディア: DVD

エリザベス・テイラーがエイミー役です。

こちらを比較してみるのも面白そうですね!

『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語(原題:Little Women)』評価

  • 姉妹愛度 ★★★★★
  • 娘に見せたい度 ★★★★★
  • 名作度 ★★★★★


『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語(原題:Little Women)』日本公開

『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語(原題:Little Women)』は、2020年3月に日本公開が予定されています。

ようやく完結!映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』観たよ!

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け オリジナル・サウンドトラック(限定盤)

スター・ウォーズ観ましたよ!とうとうスカイウォーカー編完結ですね。

映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』あらすじ(ネタバレあり)

はるか彼方の銀河系で繰り広げられる、スカイウォーカー家を中心とした壮大な<サーガ>の結末は、“光と闇”のフォースをめぐる最後の決戦に託された──祖父ダース・ベイダーの遺志を受け継いだカイロ・レン。伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーの想いを引き継ぎ、フォースの力を覚醒させたレイ。そして、R2-D2、C-3PO、BB-8 ら忠実なドロイドと共に銀河の自由を求めて戦い続ける、生きる英雄レイア将軍、天才パイロットのポー、元ストームトルーパーのフィンら、レジスタンスの同志たち...。さらに、ハン・ソロの永遠の好敵手ランド・カルリジアンもエピソード・シリーズでは『スター・ウォーズ エピソード 6/ジェダイの帰還』以来の再登場。果たして、彼らを待ち受ける運命とは?そして、いかなるエンディングを迎えるのか?

映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』感想(ネタバレあり)

最後は強引に感動させられたし満足したけど、映画として面白いか?と言われたら微妙でした。つまらなくはないけど「まあまあ」でした。わたしの理解力が低いせいもあると思いますが、途中眠くて意識が飛びそうになりました。レズビアンキス、レズビアンキス…と思って寝ないように頑張りました!

よかったところ・気に入ったシーン

レイが活躍しまくるので、そこはいいです。

あと、最後の対決の場面で、レイが地面に横たわり、もしかしてこれで死ぬのかな?と思わせるシーンがあります。そこで走馬灯のようにこれまでのいろいろな人の声が脳裏に蘇ります。ヨーダ、レイア、ルーク……そして、レイは、立ち上がるわけですがこのシーン、ぐっときました

あと、最後、これまでずっと「名字はない。ただのレイ」と名乗っていたレイが、ちょっと考えて(ここでルークとレイアが登場するのは、はいはいという感じですが、古くからのファンはうるっとくるかも?)名字を名乗るところ。感涙ものです。

スター・ウォーズはオリジナル版からずっと「親子」の物語であるという側面がありますが、親を待ち続けてきたレイがここでルークとレイアという「親」を得たのだなと思いました。

あとは前作に引き続き、カイロ・レンとのからみがよかったです。なんなんだろう、この二人の不思議な絆は……と思っていたのですが、今回も二人の危ういコネクションが堪能できます。アダム・ドライバー演技うまいなー!

イマイチなシーンとしては、上と関連するんですが、最後カイロ・レン(というか、ベン)とレイがキスするシーンがありまして、これは不要かなと思いました。レイとカイロ・レンの間には確かに濃厚なケミストリーが漂っていましたし、レイロシッパーが望んでいたサービスショットなのかなと思いましたが、個人的にはこれはファンフィクションにまかせて、公式の展開はあえておさえておいてもよかったのかなと。←個人の趣味ですが。

あと一瞬カイロ・レンとレイは親戚だったの?と混乱しました。ベンはハン・ソロとレイア姫の子どもで、ダース・ベイダーの孫。レイは、パルパティーンの孫(両親は誰でもない人??)…よくわからん。ここらへん、もう少しちゃんと観ないとですね。わかる方は教えてください(汗)

イマイチだったところ「皆死にすぎ」

個人的に終わりを感じて寂しかったのが、ここ3作通じてそうでしたが、メインのキャラクターがどんどん亡くなってしまうことですね。まあそのあと亡霊として復活したりするんですが。まあ世代交代といえ、こんなにメインのキャラクターがいなくなってしまっては、続編作るのは大変だよなあーということで。まあ一旦完結したのはよかったと思います。

スター・ウォーズのスピンオフのローグ・ワンも最後皆死んじゃうのでとても悲しかった記憶です。いや、犠牲になることで、希望をつなげる…って意味はわかるんですけどね。それでも映画の中で好きなキャラ死んじゃうのは辛いです。

イマイチだったところ「そこまでクィアじゃない」

これは、わたしが勝手に期待してた視点です。「スカイウォーカーの夜明けはクィアだ」という噂が流れてました。ボーxフィンとか、あとはレズビアンキスがある!とかですね。結論からいうと、そっちの方向では全然期待はずれ。大したこと無いですね。相変わらずヘテロ中心的な映画でした。0.2秒の同性のキスだとか、ちょっとしたブロマンスをもって「多様性の表彰」というのは(頑張ってるのは理解しますけど)ちょっとこれは足りないよね。

映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』評価

  • 感動度 ★★★★☆
  • ノスタルジック度 ★★★★★
  • 新度 ★★☆☆☆

もう一度やってみよう、と思えた話

2019年のカウントダウンが始まっています。今年は、わたしにとっては、なかなか辛い年でした。

Twitterやブログは出さないようにしていましたが、全体的にイライラしたり、悲しんだり、怒ったり、というのが多い年でした。新しい出会いもありましたが、その分人と遠ざかってしまった年でもありました。

イライラだけではなく、無気力にも苦しみました。

本当は、今年はいろいろな挑戦をしよう!と思い、実際に動き出した年でもあったのです。しかし、自分の不甲斐なさや弱さが原因で、尽く上手くいきませんでした。ご迷惑をおかけしてしまった皆様、期待に添えなかった皆様に心からお詫びします。

「精神的に元気がなくて、できなかった」なんていうのは、大人の言い訳として最低なのはわかっているのですが、その最低なのが自分とちう人間なんですよね。

正直、わたしはトラウマからまだ立ち直ってません。今、まだ回復している最中だと思います。

もちろん、挫折や失敗を見つめ、そこから学ぶからこそ人は成長するのだし、この心の揺らぎや変化を正直にブログで表現することができれば、もしかしてまた新しいフェーズに行けるのかもしれません。でも、わたしにはそれはできそうにないです。人生で本当に重大な事件とかって過去にもいくつかあったけどそーゆー詳細を書くのは、どうしてもできないんです。

わたしはほぼほぼオープンリーで生きており、周りの仲良い人はブログやツイッターの存在を知っているため、身バレが怖いとかではないつもりですが……それも一部あるかもしれません。

リアルで他人から「そういう目」で見られることに疲れすぎていて、ネット上では、もう、「そういう目」←ってなんやねん?って感じですが、要はわたしは他人からジャッジされることをとても恐れてるんですよね。ネット上では、ネットで書いたことでジャッジされるのはよいですが、その他の実存的なことについて、断片的にしか知らないネットの人にジャッジされるのは非常に嫌なわけです。見られたくないわけです。そーゆー目で!

バラバラに壊れた心を立て直すためにわたしがやったことは、そのバラバラの状態をネットにさらけ出すことではなく、リアルでのルーティーンを取り戻すことでした。リアルで、ルーティーンをちゃんと持ってる人がわたしは好きで。派手な魅力はなくても、ずば抜けた才能がなくても、自分のペースでコツコツと努力して、自分の人生を積み上げている人にわたしは大変惹かれる。それは、その人に合わせて?自分のルーティーンも積み上げることができるから。

わたしはそーゆー誰かの導きがないと、夜も寝ず、ご飯も食べず、風呂も入らずきっとゴミに埋もれて餓死してしまう。

そして、少しずつ生活を立て直してきた。

そして、ようやく、その経験があったから、今がある。と思えるようになりました。ある意味、感謝、と。そこまで思えるようになりました。一年かけて。

まだ、気分は落ち込んだままだし、傷口はまだ痛いし、血はジワジワと滲み続けているけどね。

でね。

ようやく。

今日。

もう一度、生きよう。

もう一度、やってみよう、また、挑戦してみよう、とちょっと思えました。

何を?っていうと長くなるので、それは、また今度、改めて。

わたしはまだ終わっちゃいない!

以上。

明日はどんな気分なんだろう。

いよいよ来年!アメリカの国勢調査、答える?答えない?

86-365 Census Day

来年、アメリカ国勢調査が行われます。この周知のための日本語サイトが流れてきて「日本語でも告知しているんだ!」と思ったので紹介します。アメリカは投票やDMVの書類など、かなり多言語化が進んでいますが、日本語対応はない場合も多いので、国勢調査は、かなり多様性に力を入れているプロジェクトだということがわかります。

Census CA | Census California 2020

実は、国勢調査は、アメリカの憲法にも定められているもので、10年に一度、人数を数え、それによって選挙区の人数などを決定するために行われています。他にも様々な制作を決定するために国勢調査の情報は使われます。なぜ国勢調査が重要なのか?という質問については、カリフォルニアのサイトでは以下のような説明がなされています。

カリフォルニア州では、多くのコミュニティが過去の国勢調査で過小評価されたり、実際よりも少なく人数を数えられたりしてきました。実際に住ん> でいる人数よりも少なく数えられたために、カリフォルニア州は資金と代表権の公平な配分を得ることができていません。下の地図で、あなたのコミュニティに過小に数えられるリスクがあるか、確認できます。

移民の多いカリフォルニアのような州だと、英語が不得意だったり、ビザがなかったり…という様々な理由で国勢調査に協力したくない、という人がいるため、マイノリティのコミュニティは過小評価されがちです。また、今年はトランプ大統領が「国勢調査に国籍の質問を入れろ!」と主張したことで、大きな騒動となりました。こちらは、国籍についてのデータが選挙区割決定のために悪用されるのではないか?という懸念や、ビザを持たない移民にとっては、この情報が移民局に流れるのではないかというのは大きな不安になるためです。(結局今回の国勢調査からは国籍についての質問は外されています)。

しかし、マイノリティが国勢調査に答えないと、公式に人数が少ないことになってしまうことで、ますますマイノリティ向けの公のリソースが配分されづらくなる……という負のスパイラルに陥りかねません。カリフォルニア州はそのような懸念に答え「移民局や法執行機関と共有することはできません。また、政府からの福祉の受給資格を判断するために使用することもできません。私たちは皆様のプライバシーを真剣に捉えており、個人情報を安全に保護することをお約束します」としています。

個人情報を政府と共有したくない気持ちはよくわかりますが。日本語を話すカリフォルニア住民の方や、また同性同士で暮らしている方も、ぜひぜひ国勢調査に答えて、アメリカでの存在感をアピールしましょう!国勢調査の調査票は、2020年に郵送で自宅に送られる予定です。

FOXニュースのセクハラ告発劇を映画化『スキャンダル(原題:Bombshell)』アメリカのテレビを観てる人は更に興味深いはず!

bomb·shell /ˈbämˌSHel/

noun

1.an overwhelming surprise or disappointment.

2.(informal) a very attractive woman.

Bombshell (Original Music from the Motion Picture Soundtrack)

『スキャンダル(原題:Bombshell)』観ましたよ!シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマンが、実在のニュースキャスターを演じ、数年前全米を揺るがせたセクハラ告発事件を描いています。

『スーサイド・スクワッド』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のマーゴット・ロビーや、『ゴーストバスターズ』のケイト・マッキノンも出ています。

あらすじ

2016年。大統領選挙真っ最中のアメリカ。保守系のテレビ局として存在感を放つFOXの女性キャスター、ミーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)は、討論会でトランプ候補へ女性差別について質問したことで、トランプや右派の激しい攻撃の対象となる。

FOXで働くことが夢だった若手スタッフのケイラ(マーゴット・ロビー)は、ルパート・マードックとともにFOXを創設した会長のロジャー・エイルズと面会できることに。自分のアイデアを売り込むことができると胸をときめかせる。しかし、密室でロジャーに要求されたのは「スカートをめくりあげて脚を見せろ」「忠誠を誓って見せろ」ということだった。

同時期、FOXから解雇されたベテラン女性キャスター、グレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)が、ロジャーに対してセクハラ裁判を起こす。

グレッチェンは「他にも被害者がいるはず」というが、FOX内の女性たちはロジャーの権力を恐れ、沈黙を守ったまま。ミーガン・ケリーはかつてまた自分も被害者だったことを思い出す。被害を申し出るべきか?しかし、その場合番組やっぱりスタッフはどうなる?FOXからグレッチェンの告発に続く者はいるのか?マードックの判断は?グレッチェンの裁判の行方は?そして、会長室に呼び出されたケイラの運命はー!?

感想

セクハラを告発する女性たちのストーリーということで当然応援したい気持ちはあるのですが、映画としては「まあまあ」でした。

理由はいくつかあります。まずひとつはモキュメンタリー風というか、独特の演出に入り込めなかったから。目線の動かし方やモノローグの入れ方、カメラの動かし方が独特です。ディック・チェイニーを題材にした『VICE』でも感じましたが、映画全体がそういうノリでもなく、映画のシーンごとで「ノリ」が違うので、ちょっと疲れました。

もうひとつは、実名を使って映画化しているがために、「実際の彼らはどうだったのか?」が気になって映画に入り込めなかったから。矢印これは映画のせいというか自分のせいか。

長年保守系テレビ局の人気者としてひっぱっていたミーガン・ケリーやグレッチェン・カールソンの問題発言などがあたかもなかったかのようになっています。具体的には、ミーガン・ケリーは、FOXからNBCに移籍した後、「ブラックフェイス」を擁護する発言をして炎上し、契約を打ち切られていますし、グレッチェン・カールソンは、トランスジェンダーの権利に対して否定的でした。しかし、劇中ではミーガンが「サンタは白人」と発言するシーンこそあったものの、全体的に彼らの問題発言は省かれ、「フェミニズムの闘士」であるかのような都合のよい演出になっている点が気になりました。ちなみに、ミーガンを演じたシャーリーズ・セロンは黒人の養子を二人育てているため、「サンタは白人」という場面は演じるのが難しかったと言っています。

よかった点としては、女性たちが力をあわせてパワフルなテレビ局のトップを引きずり下ろす様に強力なシスターフッドを感じた点。また、ケイト・マッキノン演じる「隠れレズビアン&隠れ民主党員」のキャラクター。保守的に見える企業の中にも、実は色々な信条を持ったメンバーがいる様がなかなかよかったです。

ただレズビアニムの描き方は微妙です。必要以上に騒ぎ立てていない点はよいんですが、逆に軽すぎないか?と。ジェスとケイラがかなりカジュアルに一夜をともにして、その後も比較的さっぱりしてて何の葛藤もジメジメした感じもないんです。なんというか、「え!最近はこういう感じなの?」とびっくりしました(汗)

セクハラ被害者がグッドガールであるべきというのはまんまセカンドレイプ的な思考なのでそう言いませんが……。結局ケイラは軽いとか言う人いそうだなと思いましたし、女同士の関係ってやっぱり軽いものって思われてるのかな?とか。モヤりました。

通常クィアなキャラや展開は大歓迎なわたしなのですが、ここでのワンナイト展開はなくてもよかったかも?とか思いました……。二人のコネクションを描くだけでよかったのでは?

あとは、実在の人物を演じた役者たちが、ヘアメイクの力で、「本人そっくり」になっているところは、クオリティ高いです。これは、アメリカのテレビ局番組をよく観ている人にはよくわかるはずです。シャーリーズ・セロンは顔だけでなく、喋り方まで、ミーガン・ケリーそっくりになってます!うーん、クール・ビューティ♡

https://youtu.be/I-da6eMEdPk

↑このビデオは観ておくと、メーガンケリーの喋り方や、トランプと何があったのか?の予習になると思います。

事実はどうなの?

ミーガン・ケリーとトランプの応酬については大抵報道されていた通りなのと、ロジャー・エイルズのセクハラ告発周りについてはほぼ史実をベースにしています。

女性が性的対象として見られていたFOX社内の環境についても概ね正確な描写のようです。女性キャスターたちがミニスカートを履くことを求められ、踵に血を滲ませながらヒールを履く様子がありましたが、日本での#KuTooムーブメントにも通じるなと感じました。カメラが引きのアングルで撮ってキャスターの脚を映すのも、実際にFOXのニュース番組特徴でした。

ただし、ジェスとケイラのキャラクターは創作です。

ロジャー・エイルズについては、ドキュメンタリー映画も出ているので、リアルな事実に興味がある人はそちらも観てみてください。※ロジャーは、2017年に亡くなっています。

ハーヴェイ・ワインスタインや、ジェフリー・エプスティーンの事件も今後続々作品化されるんでしょうな。セクハラは許されないことということが、報道やエンタメを通じてしっかり広まってほしいです。

ミーガン・ケリーは映画化に関わってるの?

映画の中心人物となっているミーガン・ケリーは実名で出ていますし、割とポジティブに描かれているので、本人が協力してよく描いてもらったのかな?と思いましたが、ミーガン本人は「映画には関わっていない」とインスタで発言しています。

評価

  • フェミニズム度 ★★★★★
  • 都合がよい度 ★★★★⭐︎
  • 歴史が学べる度 ★★★⭐︎⭐︎

日本公開予定

スキャンダルは、2020年2月21日に日本公開が予定されています。