#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

女性監督・女性メインキャストの傑作映画を独断と偏見でまとめてみたよ!

Xで「女性監督で女性主演の映画がつまんない」みたいな話が流れてきた。どうやら『マダム・ウェブ』の酷評を受けての話らしい。

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  • ハリウッド業界と女性
    • キャスリン・ビグロー監督とソフィア・コッポラ監督
  • 大作に進出し始めた女性監督たち
    • 『トワイライト〜初恋〜』2008年(キャサリン・ハードウィック監督)408ミリオン
    • 『フィフティー・シェイズ・オブ・グレイ』2015年(サム・テイラー=ジョンソン監督)569ミリオン
    • 『メリダとおそろしの森』2012年(ブレンダ・チャップマン監督+マーク・アンドリュース監督)538ミリオン
    • 『アナと雪の女王』2013年(ジェニファー・リー監督+クリスバック監督) 1,397ミリオン
    • 『アナと雪の女王 2』2019年(ジェニファー・リー監督+クリスバック監督) 1,453ミリ
    • 『ワンダー・ウーマン』2017年(パティ・ジェンキンス監督) 823ミリオン
    • 『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』(キャシー・ヤン監督)2020年121ミリオン
    • 『ムーラン』(ニキ・カーロ監督)2020年 69ミリオン
    • 『ブラック・ウィドウ』( ケイト・ショートランド監督)2021年 379ミリオン
    • 『ワンダー・ウーマン 1984』2020年(パティ・ジェンキンス監督)169ミリオン
    • 『エターナルズ』2021年(クロエ・ジャオ監督) 402ミリオン
    • 『私ときどきレッサーパンダ』2022年(ドミー・シー監督)21ミリオン
    • 『バービー』2023年(グレタ・ガ―ウィグ監督) 1,445ミリオン
  •  大作だけじゃない、女性監督・女性メインキャストの名作。
    • 燃ゆる女の肖像(2019)
    • 『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(2019)
    • 『ドント・ウォーリー・ダーリン』(2022)
    • 『レディ・バード』(2017)
    • TITANE/チタン(2021)
    • ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022)
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自閉症スペクトラムの恋愛リアリティ番組Netflix『ラブ・オン・スペクトラム ~自閉症だけど恋したい!~』

『ラブ・オン・スペクトラム』は、オーストラリアから始まりUSでも始まった自閉症スペクトラムの人々の出会い系リアリティ番組だ。

登場人物は年齢も性別も様々で、非常に個性的。一口に「自閉症スペクトラム」といっても、その症状や個性の現れ方は非常に多彩なことがわかる。また、登場人物の中には同性に惹かれる者もおり、クィアであることが非常に自然に扱われている。

番組の中では自閉症スペクトラム当事者のためのデーティングコーチが登場し、コミュニケーションやデートの場での適切なふるまいについてレクチャーを行う。こういう手取り足取りな「デート指南」というのは、結構必要な人多いんじゃないかなと思う。先日日本の『ザ・ノンフィクション』の婚活の回で、なかなか結婚できない男性二人がフィーチャーされていた。外見も悪くなく、経済的にも安定していそうなのに、コミュニケーションが苦手のようだった。スペクトラムと診断されているかどうかはさておき、このようなワークショップ形式の「練習」をすることで、コミュニケーション能力の向上に役立つかもしれない。

またこの番組で面白いのは、当事者同士のデートの様子やマッチングの結末が興味深いだけではなく、自閉症スペクトラムと共に生きる当事者の家族や友人との関わりが描かれている点。もちろん「自閉症スペクトラムだからこう」というようなことは特になく、家で過ごすのが好きな人もいれば、恋の話をするような友人がいる人もいる。家族のあたたかな視点や、幼いころに自閉症スペクトラムと診断されて受け入れられるまでの経緯を話す家族は時に涙ぐみ、視聴者をもらい泣きさせる。

またジェンダーやセクシュアリティの側面からいくと、興味深いのは、登場人物の多くが、これまでに実際の恋愛の経験がないにも関わらず、非常に典型的な「愛」や「恋人」への憧れを強く持っていることである。恋愛番組なので、恋愛に興味がある当事者がキャスティングされている(Aロマ的は当時者はそもそも出演を望まないだろう)にしても、彼らの語る「愛」の内容や、デートでの振る舞いがかなり型にはまったものだったりする。おそらく個々人自身の考えというよりも、誰もがを取り巻く社会に偏在するアイデアが内面化されているということだと思うのだが、ロマンティック・ラブ・イデオロギーの根強さを再認識させられる。

それでも、自らの思いを伝え、交際成立して喜ぶ姿はこちらまで嬉しくなるし、断られて落ち込んでいる姿を見れば「いつかあなたに会うパートナーが現れますように」と祈りたくなる。

B級ホラーコメディ『リサ・フランケンシュタイン』ティム・バートン好きな学生の映画って感じ

リサ・フランケンシュタインポスター

『リサ・フランケンシュタイン』観てきました!

ロビン・ウィリアムズの娘であるゼルダ・ウィリアムズが初監督した『リサ・フランケンシュタイン』。哀れなるものたちもフランケンシュタインっぽかったので、二作続けてフランケンシュタイン系を観ることになりました

『リサ・フランケンシュタイン』あらすじ

1989年、リサ・スワローズ(キャスリン・ニュートン)は、数ヶ月前に母親が斧で惨殺された事件をいまだに引きずっていた。父親のデールはナルシストな女性ジャネットとすぐに再婚し、リサにはジャネットの連れ子であるタフィー(ライザ・ソベラノ)という義理の妹ができ、学校も転校する。チアリーダーで人気者のタフィーはリサを自分の友達に紹介し、リサはマイケルという男子に恋をするが、まだ孤独から立ち直ることができず、無口なままで地元の荒れ果てた墓地で過ごしていた。

ある日タフィーに連れられて行ったパーティで薬物を飲まされ性的暴行を受けそうになったリサは墓地に逃げ戻り、1837年に緑の稲妻に打たれて死んだビクトリア朝の若者の墓に向かって、彼と一緒にいたいと語りかける。リサが墓地を去った後、緑色の稲妻が墓を襲い、青年はゾンビ=クリーチャー(コール・スプラウス)としてよみがえる。

リサが一人で留守番をしていると、クリーチャーがスワローズ家に侵入してくる。はじめは恐怖でいっぱいだったリサだが、どこかかわいげのあるクリーチャーを寝室のクローゼットの中に隠すことに。クリーチャーは、身体のあちこちが腐って崩れ落ちており、匂いもひどいので、シャワーを浴びさせて、服も着替えさせることに。一言も発さないクリーチャーだが、うめき声とジェスチャーで意思疎通はできるのだった。義母となったジャネットがリサと敵対し、リサを精神病院送りにすると脅した後、クリーチャーが登場してジャネットを殺してしまう。ジャネットの耳を切り落とし、リサにそれを自分の頭に取り付けてくれるように頼むクリーチャー。クリーチャーは感電によって新しい体の一部が自分と一体化することを説明し、リサはタフィーの日焼けマシンを使って、クリーチャーの耳を復活させることに成功する。さらに、二人は、彼女のクラスメートでパーティで彼女を襲おうとした元加害者のダグをおびき寄せ、手を切断する。身体の部位がそろってくるごとに、クリーチャーは徐々に昔の外見を取り戻し、クリーチャーとリサの間に絆が生まれ始める。

警察はジャネットとダグの失踪を捜査し始める。リサは、自分に操作の手が伸びる前に、バージンを捨てたいと願い、片思いの相手であるマイケルの家に向かう。そこには、リサが彼を好きだったことを知っていたはずのタフィーがマイケルとベッドでキスをしていた。絶望してタフィーに詰め寄るリサの後ろから、クリーチャーが登場し、斧でマイケルの股間を切り落としてしまう。タフィにも襲い掛かるクリーチャーをリサに止められる。

リサは暴走が止まらないクリーチャーを殺しに行く前に、亡き母のロザリオをタフィに渡す。しかし、墓地で再開したクリーチャーはリサへの愛を告白する。警察の捜査の手が伸びるなか、リサはある決断をして日焼けマシンに横たわる……。

『リサ・フランケンシュタイン』感想

んー。ティム・バートン好きの作った学生映画っていう趣。

80年代を舞台にしたカラフルでキュートな舞台や衣装など、悪くなかったのですが、アーティスティック、というよりB級感につながってます。

『リサ・フランケンシュタイン』よかったところ

深く考えなければ楽しめます。80sのファッションとかヘアメイクがかわいくてよし!

妹(姉?)のタフィを演じるライザ・ソベラノはフィリピン系の女優で今回アメリカ映画に初めて出演した層ですが、黒木メイサに似ててかわいいです。これから活躍しそう。

『リサ・フランケンシュタイン』いまいちなところ

とにかく悪い意味で低予算映画感がある。

ホラー・コメディということなんだけど、人をガンガン殺すのでおいおいってなってしまいますね。そして、捜査に追い詰められて死を選んでしまうとか。映画といえどダークすぎます。初めから母の死のトラウマから癒えていないのはわかるのですが、死や自殺願望が軽く扱われすぎてるような……?ティム・バートン作品も「死後の世界をまるですぐ隣にあるように描き、死者を友達のように描く」傾向があると思っているのですが、やり方がちょっと違います。メタな視点になっちゃいますが、監督のゼルダ・ウィリアムズのことを考えるとこのような扱い方も、彼女なりにいろいろ考えたあげくの演出なのかな?とか考えちゃいましたが。冷静に見ると、割と鬱展開なストーリーなのに「笑える」作品としてパッケージされているのに違和感でした。

あとはキャラクターがよくわからない。リサって一応地味キャラ設定なのですが、メイクとかファッションが派手なので、単にワイルドな人になってて、地味キャラとして共感しづらい。あとは希死念慮を持っているキャラだと思うのですが、

あとはゾンビ……じゃなかったクリーチャーがどんどん人間ぽく、かっこよくなっていくんだけど。最後までずっと無口なのはよし。最後歌歌ってたけど、あれは声出るようになったということなのかな?話し始めたあとのクリーチャーの性格が気になった。

そして、リサはどうやって「よみがえった」の?

一応現世では悲劇エンドと見せかけて彼ら的には「ハッピーエンド」というオチにしたかったのは理解できるんだけど、ちょっと納得感が薄かった。

『シザーハンズ』見返して「お口直し」したくなる感じでした。

『リサ・フランケンシュタイン』の評価

ロッテントマトのトマトメーターでは51%、オーディエンススコアは81%となってます。

スパイダー・マンの新作スピンオフ『マダム・ウェブ』超女性メインで楽しいんだけど何かが足りない惜しい作品

スパイダー・マンの最新スピンオフ作品『マダム・ウェブ』をIMAXで観てきました!

『マダム・ウェブ』あらすじ

ニューヨークで救急救命士として働くキャシー・ウェブ(ダコタ・ジョンソン)は、一人でも多くの命を救うため、同僚のベン(アダム・スコット)と共に日々奮闘していた。

ある時、救命活動中に生死を彷徨う大事故に巻き込まれてしまう。それ以来、キャシーはデジャブのような奇妙な体験を重ねるのだった。

自分に何が起きているのか戸惑うキャシーだったが、偶然にも出会った3人の少女たちが、黒いマスクの男に殺される悪夢のようなビジョンを見てしまう。それが未来に起きる出来事だと確信したキャシーは、とっさに少女たちを助けることを決意。未来が見えるという不思議な力を使い何度も危機を回避するが、謎の男はどこまでも追ってくる。まるで蜘蛛のように天井を這いまわる男の動きにキャシーは、亡き親が研究していた蜘蛛のことを思い出し、母親が残した写真と遺品を改めて調べる。

実はこの男エザキエル(タハール・ラヒム)は、かつてキャシーを身ごもっていた母親と共にペルーの密林で伝説の蜘蛛を追っていた仲間であり母と一緒に撮った写真が残されていた。ペルーを訪れたキャシーは、そこで、ペルーで蜘蛛の力を借り特別な力を授かっている部族と再会し、真実を知る。「母親は自分の出産の時に亡くなった」と思い込んでいたキャシーだったが、実はエザキエルがキャシーの母親を裏切り、蜘蛛を見つけた後に母親を殺したのだった。ペルーの部族たちは母親とおなかの中のキャシー両方を救おうとしたがキャシーしか生き残ることができなかった。キャシーは蜘蛛から授かった自らの力の活かし方を教わり、ニューヨークに帰ると、ベンがかくまっていた3人の少女たちは再びエザキエルによって狙われていた。

エザキエルは、「将来自分はこの3人に殺される」というビジョンをずっと見続けており、その未来を変える3人が子どものうちに殺しておこうとしていたのだった。

キャシーは、3人の少女を救い未来を変えられるのか?

『マダム・ウェブ』感想

頭空っぽにしてポップコーンほおばりながらかっこいいダコタ・ジョンソンを楽しむ映画です。またサスペンス・ミステリーってかなりシリアスっぽい売り方されてますが、割と笑えます。これもダコタ・ジョンソンの存在感のなせる業だと思います。かっこいいんだけどかっこつけすぎてないんだよね。

『マダム・ウェブ』よかったところ

ダコタ・ジョンソンがかっこいい!また前半いまいちパッとせず、同僚との関わり以外に性格もよくわからない彼女が3人の少女を守ろうと立ち上がる姿は母性というかシスターフッドというか、名前はわからないけど女性同士の絆を大切にしている感じよかった。別にフェミニズムなメッセージは込められていないと思うけど、女性キャラクターを中心にしながら、女性ジェンダーの枠に当てはめすぎない感じの描き方はよかったです。

『フィフティー・シェイズ・オブ・グレイ』のダコタ・ジョンソンの他には個人的には『サイテー・ハイスクール』のシドニー・スウィーニーや、『サヴェランス』のアダム・スコット、『アメリカン・ホラー・ストーリー』のエマ・ロバーツが出ているのも嬉しかったです。シドニー・スウィーニーは今後どんどん活躍しそうな予感。エマ・ロバーツ顔が好きなので、もっといろいろ出てほしい。

あとこの映画、2003年のニューヨークが舞台となっているのですが、街並みにレンタルビデオ屋があったり、固定電話があったり、ブリトニース・ピアーズの曲が流れていて少女たちの服装もY2Kの空気がむんむん!そんな時代の空気が感じ取れて面白いです。

『マダム・ウェブ』いまいちだったところ

んー何なんでしょうね。言語化が難しいんですが、この映画、何かが物足りない。というかツッコミどころが多い。ダコタ・ジョンソンはすごく魅力的なのですが、主人公の性格の書き込みが足りないので、なんでこの子たちにコミットして救おう!ってなるのかがわからなかったし、同僚のベンとの関係もよくわからん。またヴィラン側の事情もなんか薄っぺらいし、意味がわかんないヴィランのナンパ→ワンナイトシーンが挿入されたりヴィランの秘密基地みたいのも、自宅でのリモートワークしてるみたいな感じで迫力に欠ける。

アクションもなんだか微妙。ダコタ・ジョンソンと少女たちの掛け合い部分は悪くなかったのですがなんとなく惜しく感じました。

わたしがスパイダー・マンの世界観に疎く、コミックを読んでいないので、「この黒い悪いスパイダーマンみたいな人は誰?」「この世界観にピーター・パーカーは存在するの?」「この『スパイダー・マン版チャーリーズ・エンジェル』みたいな3人は今後活躍するの?」とかいろいろ気になってしまいました。ご存じの方いらっしゃったらぜひ教えてください!

『マダム・ウェブ』評価

ロッテントマトで、トマトメーターが13%、オーディエンススコアは55%となかなかの低評価です。わたしも公開週に行ったのに既にそこそこ空いてました。

おまけ

シドニー・スウィーニーが出てる『サイテー!ハイスクール』は最高に胸が締め付けられる名作でクィアな子が主人公なので万一観てない人、これは今すぐネトフリで観て! www.atashimo.com

あと、エマ・ロバーツが出てる『パラダイス・ヒルズ』これはB級なのだけど、百合っぽくてお勧めです。画面もガーリーでかわいい。

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『哀れなるものたち』かなりすごい映画です

【大判】映画ポスター 海外版 哀れなるものたち (68.5 cm x 101.5 cm) APMPS-CB47565 [U.S. Made Poster]

 

『哀れなるものたち』(原題:Poor Things)忘れる前に書いておきます。エマストーンの怪演がすごい。ウィレム・デフォーやマーク・ラファロなどのハリウッドメインストリームの大物が出てるが、ハリウッドっぽくはなくかなりミニシアター系というかアート映画のノリ。色彩も音楽も個性的。

 

ビジュアルは古典的なビクトリア調かと思いきや、パラレルワールドのような感じで未来的なスチームパンク感もあり、この世界観好き。

 

性の描き方は、子供の脳みそで、世間の「こうあるべき」から自由な主人公からしたらごくごく自然なんだと思うけど、ちょい見せすぎな気もした。個人的にはエロすぎるとも思わなかったけど、量は多かった。「エマストーンのベッドシーンが観られる」ってだけで興味を持って観る層は結構いるんだろうなと思う。それは売り上げ的には必要なのかも知れないけど。

 

原作の小説もかなり個性的な構成らしいので気になる。