#あたシモ

虹の向こう側

こういうのを「潜入ルポ」って言うのかな!?『ついていったらこうなった』の感想

以前、「駅前で手相を見られたらどうなるんだろう」と考えたことがあり、実際に見てもらった。渋谷駅でのことだ。その時は、既にゲイとして生きていたし、結婚なんかも考えていなかったので、適当に言われたらしき「結婚願望」だの「あなたは本当は女らしいはず」だの、ことごとく当たっていなくて、失望したのだが、その後も「あの話にずっとつきあっていたらどうなったのだろう」と気になることがあった。

その後、この本を見つけて、「手相」のところだけ読んで「やっぱり統一教会か!」と納得した。(本書には固有名詞は出ていないが)今回改めて全部読んでみた。古い本だが、作者が様々なキャッチセールスについていき、そこで見聞きしたことを「潜入ルポ」として書いている。

  • 「手相を勉強しています」の正体!
  • 「怪しげな絵の即売会」に潜入!
  • 恐怖の「キャッチ系英会話教室」
  • 「絶対当たる携帯電話」って何?
  • 「性格診断自己啓発セミナー」に潜入!
  • 「嘘つき無料エステ」に潜入!
  • 「頭の回転がよくなるテープ」って何?
  • 「世にも奇妙なUFOの集い」に潜入!
  • 「コーヒー豆の先物取り引き」で脅迫!
  • 「胡散臭いボランティア団体」に潜入!
  • 「あなたの原稿が本になる」の裏側
  • 「強引すぎる結婚相談所」に潜入!
  • 在宅ワーク」のしつこい勧誘攻撃
  • 髪の悩みで「ヘアケア・アドバイス」
  • 強気な「マイライン営業代理店」
  • 「出会い系クラブのクラブの手口」って?
  • 「幸運のペンダント」って効果あるの?
  • 「不健全ダイビングスクール」潜入!
  • 「あらゆる問題が解決」無料相談
  • 「悪質芸能事務所」に所属!

結構幅広いテーマをカバーしている。「頭の回転がよくなるテープ」とか、私も気になってた奴があったりしたんで、面白かった。騙されやすい人は必読だね。惜しいのは、毎回の内容が薄いところ。そして最後に書かれる「教訓」が微妙に的外れなところ。←自分でつっこみを入れたりしてるところは、憎めない。しかし、一番の問題は「潜入ルポ」になってないような気がするところ。単に昔の体験を思い出して書いてるだけって感じ。要は、「取材してやるぞ」という感じじゃないんだよね。

例えば、自費出版商法の回。

女性担当者が私の目をじっと見て言った。

「部数は500部で、作家としてのデビューになります」

頭の中が沸騰するのが分かった。500部という具体的な数字を見せられ、畳み掛けるように「作家デビュー」という言葉。

心の中で何度も「デビュー」とつぶやいた。 (本書127ページ)

で、筆者はこの後、まんまと「共同出版」をしてしまうのだ。しかし、書店に行っても本がない!というので、友人に注文してくれるよう依頼。「表紙もダサい、内容も薄い。詐欺みたいな本」などと言われてしまう。←ここまで来ると、悪徳商法の手口というより、筆者に対してのツッコミが沸き上がってきて、この人、どんな人なんだろう?と興味が湧いてしまう。

筆者はこの本の執筆当時俳優を目指してエキストラとして働いていたようだが、「誰でも受かるオーディション」の件なども、完全に信じてやっちゃってたわけだから「昔騙された体験談」である。結婚相談所にしても「大手だから結婚できるかもしれない」と考えて結婚相談所に登録したり、なんというか、立ち位置が、完全にカモ。憎めないキャラなんだけどさ!

本が出たのは昔だが、その後、テレビ番組などで取り上げられて、去年も「キャッチセールス評論家」として取材されている。

デート商法も非常に巧みですよ。私の体験ですが、夜に若い女性から「アンケートです」と電話がかかってきました。いろんな話をして、すごく楽しい。「ワインは何が好きですか?」と聞くから、「黒」と答えたら大爆笑。何を言っても笑ってくれて、「会ってみたい」と思わされ、いざ会ったら美人でね。「私のすべてを知ってほしい」と言われ、「知ってあげるよ~」と思いました(笑)。

ところが「私の職場を知ってほしい」と頼まれ、ついていったら宝石販売会場……。現場では手を握ってきたり、目を見つめながら耳に息を吹きかけてきたりと積極的なスキンシップ。最初は「ダイヤを売りたい」とは言わないので、「付き合えるんじゃないか」と思わされましたよ。

http://wpb.shueisha.co.jp/2013/05/29/19359/

↑相変わらずw

こういう調子で「最後、話が違った!」っていう体験談を聞かされても、いやいや、それは評論とは言わないのではwwww

内容というよりも、この人の脇の甘いキャラが気になって、読み終わった後、筆者について調べてみた。

すると、なんと彼は自分自身が大学時代から9年間統一教会の信者だったそうだ!(キャッチセールスについて書くようになったのはその後)それで合同結婚式までしたらしいが、その後「騙された」ということで、統一教会を訴え(通称、「青春を返せ訴訟)勝訴している*1

本書でも、紀藤正樹と懇意である旨記述があり、「へえ」と思ったのだったが、この裁判で筆者を代理したのが縁だったわけだ。

この訴訟の意義や、キャッチセールスをはじめとする悪徳商法の手口を明らかにした点で、この本の意義は大きい。この本も第一章が「手相勧誘」であることを考えると、自らが統一教会の信者であったことを伏せて「潜入」というのは納得がいかない。確かに、読み返すと

「私はこの「手相を勉強しています」の正体を10数年前に知ることになった」

など、確かに過去に統一教会と関係があったことをほのめかすような書き方をしているようには読めたが……。それにしても、こういうので「評論家」とか「ジャーナリスト」と名乗っていいの?不誠実さを感じた。

でも、こういうちょっと変な人は嫌いじゃないし、こういう詐欺とか悪徳商法の話を読むのも好きなので面白かった。