#あたシモ

虹の向こう側

映画『キャロル(CAROL)』がすごすぎた件。堂々と生きる女同士の愛の物語。これは絶対に絶対に絶対に観るべき!

Carol (Movie Tie-In Editions)

『キャロル(CAROL)』ようやく観ましたよー。これね『リリーのすべて(The Danish Girl)』と同時に観たんです。

この劇場のセレクション最高じゃない?(笑)

あらすじ

1952年、ニューヨーク。高級百貨店でアルバイトをするテレーズ(ルーニー・マーラ)は、クリスマスで賑わう売り場で、そのひとを見た。鮮やかな金髪。艶めいた赤い唇。真っ白な肌。ゆったりした毛皮のコート。そのひともすぐにテレーズを見た。彼女の名はキャロル(ケイト・ブランシェット)。このうえなく美しいそのひとにテレーズは憧れた。しかし、美しさに隠された本当の姿を知ったとき、テレーズの憧れは思いもよらなかった感情へと変わってゆく……

映画『キャロル』公式サイトより引用

感想(これ以降、ネタバレ含みますので要注意)

めちゃくちゃよいです。これは、絶対に絶対に観てください!!!!!

やっときたよ。悲劇でも、政治的でも、思春期の迷いでも殺人犯でもひと夏の思い出でもない、アートでもサブカルでも気の迷いでもエロでもない、禁断でも儚くもない女性たちの愛の物語が出たよー!って叫びそうになりました。いいよー!『キャロル』ホントいい!

以下、「気に入ったポイント」ごとに、書いていきますね。

二人のセクシャリティーがしっかり描かれてれるので説得力がある。

「二人がレズビアンである」っていうことじゃないんですよ。この映画には「レズビアン」という言葉は一切出てきません。しかし、二人が女好きであることはしっかりと描かれています。

キャロルは、以前にも女性と関係を持ち、夫と揉めていたことが描かれますし、テレーズは以前に女性との経験こそはないものの、小さい頃から「鉄道が好き」だったり、彼氏に対して淡白だったり、その半面キャロルに対してははじめからケミストリーバチバチ!なところとか、そこらへんの描かれ方も、ソリッドでものすごく納得できます。

なんだろうね。女性たちの恋愛ものって「必然性がない」物が多いんですよね。『四角い三角関係(Imagine Me & You)』とかそうなんですが。え、なんでそこで二人がくっつくの?っていうのが。それまでノンケとして生きてきた女性が、突然女性と恋に落ちるためには、それなりに納得できる理由とか、心の動きの描写が必要だと思うのですが、それがないレズビアン映画が結構多い。交通事故のように、偶発的に同性と恋に落ちる。でもそんなのリアルじゃないんですよ。ちゃんと「前触れ」があるはずなんです。

というわけで、その点キャロルはものすごいよかったー。元カノのアビーと、キャロルが今も強い絆で結ばれていて、アビーが何くれとキャロルをサポートしているところとかも、「あるある」だよねえーって思いました。あ、でもアビーのキャラクターはもっと過去とか背景とかを掘ってみてほしかったかも。

年上が年下を誘惑するだけのものではない

予告編だけ観ると、年上のキャロルが年下のテレーズを誘惑〜って感じに見えるんですが、そういうありがちな展開ではないのです。むしろテレーズの方がはじめからキャロルをチェックアウトしてますし、いろいろ誘わせるようにしてますね。だからキャロルも行けたんですよ!←この、キャロルが初めてテレーズにキスするシーンめちゃくちゃ好き!!!!『Lの世界』の第一話で、マリーナがジェニーにトイレでキスしたシーン超えたかも……。

あと、二人とも自立した女性であるところもよいですね。

これで最後、キャロルが夫のもとに戻るとかだったら「はいはい」って感じですが、そうじゃないし。キャロルが姿を消すのにはきちんと理由があって、その理由も納得できるものだし。テレスも「自分で何が欲しいのかわからない」不思議ちゃんキャラであるように見えながら、最後にはきちんと「自分の欲しいものを自分で選ぶ」女性に育っていってます。

『キャロル』の原作はパトリシア・ハイスミスが変名で発表した小説で、当時もベストセラーになるなど人気を集めたそうですが、ホントそうですね。2015年になっても「なんか変」なレズビアン描写が多いなか、こんなに説得力があり、そして面白い作品をつくってくれたハイスミスには脱帽です。

ストーリーがよい

わたしは、「変なレズビアン映画」ばっかり観て育ったので、もうそういうのうんざりなんですよね(これについてはいずれ書きます)。その点、キャロルはよい。もちろん、ラブストーリーだけじゃないんですよ。ちゃんと、「映画として」面白い。

写真家になりたいテレーズがニューヨークタイムズで働き出し、キャロルも望んでいた生活を手に入れると言う主人公たちの成長物語であるのはもちろん、さらに、サスペンス的な要素もある。また、編集の仕方も凝っていて「おっ、そう来たか」って感じ。ストレートなラブストーリーでありながら、退屈さがありません。

キャストが豪華

主演のケイト・ブランシェットはもちろん、『ドラゴン・タトゥーの女』のルーニー・マーラ(っていうか、ドラゴン・タトゥーの時と顔違いすぎてわからんかったよ……)、『アメリカン・ホラー・ストーリー』のサラ・ポールソン、そして『ポートランディア』のキャリー・ブラウンスタインなど、キャストが超豪華!クィアな役者を積極的にキャストしているのもものすごく評価できます。

わたしは、クィアな役はクィアな役者しか演じられないとは思っていません(役者本人も「マイノリティー要員」みたいな役回りは嫌でしょうしね)。ストレートの役者がクィアな役を上手に演じることができるのは素晴らしいことです。でも、それによって、クィアな役者の活躍の場所が狭まってしまうことは、嫌なんですよね。そもそも、まだエンターテイメント業界は、クィアな役者がアウトで生きやすいとは言えない状況ですし。

そんななかで「アウト」に生きているマイノリティーの役者を積極的にキャストするというのはものすごく大事なことだと思っています。

『キャロル』は、原作がハイスミスだし、監督のトッド・ヘインズもゲイ、脚本家のフィリス。ナギーもゲイ。そのおかげでよい作品になったとは言わないけど、レズビアン映画にありがちな変な「勘違い」の入り込む隙間がなかったということは言えるのかな、とか思いました。

絵的に美しい

この50年代のニューヨークを舞台にしてるんですが、ノーマン・ロックウェルのポスターとか、クリスマス前のデパートの感じとか、古きよき、豊かだったアメリカの感じが伝わってきて面白いです。ブロンドに毛皮に赤い口紅でクラッシーに着飾る感じ。素敵。あとなんといっても、ケイト・ブランシェット様がかっこ良くてセクシーで美しすぎる。ケイト様の「目力」がすごすぎます。もうね、目だけであれだけの演技ができる女優ってすごい。

ああっ!こんな目で見られてたらたまらない……。ルーニー・マーラもイノセントで可愛いのですが(オードリー・ヘップバーンに似てる!)、彼女自身がキャロルに見とれたり、写真撮ったりしまくりなのですよ。ケイト様の魅力が溢れる映画でございました。

評価

  • ロマンティック度 ★★★★★
  • サスペンス度 ★★★★
  • 眼福度 ★★★★★

日本では2016年2月11日から公開中です。絶対観てね!

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